在庫管理と物品管理の違いは管理しているもの
まずは在庫管理と物品管理の違いについて解説します。
在庫管理は「製品・商品」を管理する
製造業や小売業など、非常に多くの企業で導入されている「在庫管理」システム。在庫管理システムで管理する「もの」とは何でしょうか。在庫管理の対象は「製品・商品」です。
物品管理は「物品」を管理する
では、物品管理で管理する「もの」には何があるのでしょうか。顧客に提供する「製品・商品」ではなく、自社で利用・使用する備品・機材などの「物品」が該当します。
物品管理は、具体的に以下のような「もの」を管理しています。
種類も多く数量が変動する「消耗品」
例えば医療現場で使われる医療消耗品や医療材料、医療器具などは種類が多い傾向にあります。かつ毎日の医療行為で使用される消耗品は、不足しないように使用数なども細かく管理されています。
管理点数が膨大で、日々数量の変動が大きい物品の管理は院内スタッフの大きな負担となっています。そのため、物品管理は必須のシステムといえるでしょう。
社外に持ち出される「機材」
社外への持ち出しや、社内での移動が発生する物は、紛失リスクなどを考えると物品管理システムが大いに役立ちます撮影機材や通信機器、ノートPCやプロジェクターなどの高価な機器が該当します。
顧客に提供する「商品」ではなく、社内で使用している「物品」が対象だと説明しました。しかしレンタル事業者では、貸し出すという顧客向けのサービスで物品管理システムが利用されています。
管理点数が膨大な「備品」
特殊な業種・業態に限らず、一定以上の企業規模になれば、社内の備品は膨大な数になります。台帳管理など、アナログな管理では限界があるのも事実です。物品管理システムの導入により、バーコードやタグで物品情報を登録するだけで、物品をデータ上で管理できます。
備品管理と呼ばれることもありますが、実際には物品管理の中に含まれています。両者の違いは示す「もの」の範囲の広さです。
物品管理の「目的」とは
物品管理で管理している「もの」は、社内の備品や機材などが管理対象でした。何の「目的」で管理しているのでしょうか。以下の4つの目的について解説します。
1.数量の把握
病院などで物品管理する目的は、在庫管理の目的に近いといえるでしょう。
在庫管理では「商品」を管理し、その在庫数を把握して過不足を調整することが目的です。企業にとっては、品切れによる機会損失を防ぎ、余分な在庫を抱えることによるコストを削減できるメリットがあります。
同様に病院でも、医療消耗品などの過不足を調整することが目的です。
医療行為に必須の医療消耗品や医療材料などが不足してしまうと、医療行為そのものが滞ります。そのため「商品」の品切れを防ぐことと同様、事業にとって重要な管理目的といえるでしょう。
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2.所在の把握
全社や部門内で共用される備品や機材に関しては、「貸出管理」や「持ち出し管理」が目的です。
社内のどこかで放置されるような「返却忘れ」や「紛失」「備品の私物化」などを未然に防げます。カメラなどの高価な機材であれば、なおさら重要な管理項目となるでしょう。
物品管理システムの中には、RFIDなどのICタグやビーコンなどのセンサーを組み合わせて、位置探索までできるような製品も登場しています。
また、レンタル事業者であれば、どの顧客に貸し出されていて、いつ返却されるのかまで管理する必要があります。貸出期間を重複させないように、レンタルの予約受付業務を効率的に実施することが可能です。
3.状態の把握
機材には耐用年数があります。そのため、現品管理により物品の状態を把握する目的もあります。状態を把握する際の確認項目は以下の通りです。
- ■耐用年数はどのくらいか
- ■いつまで消費可能か
- ■現在使用できる状態か
- ■修理中か
- ■故障して破棄したか
- ■使用期限はいつか
また、貸し出し前・持ち出し前の状態と照合して、故障や紛失の日時や原因、責任なども把握できます。
4.資産の把握
物品管理の管理対象となる備品や機材は、会計処理上の「資産」です。耐久消費財であれば、減価償却などの処理が必要になります。そのため、抜け漏れが発生しないように全体の状況を正確に把握しなければなりません。
膨大な管理点数になると、それぞれの購入から廃棄までの状態や償却期間、あるいはリース契約などをすべて管理するのは困難です。
棚卸し業務を効率化し、資産を正確に把握することも物品管理の目的です。
5ステップ!物品管理の手順とは
物品管理の目的がわかったところで、手順を紹介します。
1.物品管理台帳を作成する
物品管理を正しく実施するために、まず「物品管理台帳」を作成しましょう。一般的には、紙やエクセルを使って管理している企業が多いのではないでしょうか。管理台帳には、以下のような項目が必要です。
- ■管理番号
- ■物品名
- ■種別
- ■登録日
- ■登録者
- ■更新日
- ■更新者
- ■保管場所
- ■利用状況
ほかにも、リース資産や固定資産の場合に必要な項目もあります。紛失や破損があっても、物品管理台帳を見れば分かるように管理項目を決めましょう。
2.物品の分類やラベルの作成
次に、台帳での管理がしやすいように物品を分類分けしましょう。カテゴリーや頻度で分けるのがおすすめです。分類したあとは、物品にラベリングしましょう。ラベリングによって台帳での管理や棚卸がスムーズになります。
3.配置を決める
物品をどこにおいたのか把握できるよう、配置を決定しましょう。管理場所がバラバラでは、管理が煩雑になってしまいます。棚に番号をふり、物品を置く区域を決めれば台帳でも管理しやすくなります。
4.定期的な棚卸
物品には資産から備品までさまざまな「もの」があるため、棚卸は必須です。定期的に棚卸を実施することで、紛失・破損・故障などに気づけるでしょう。また、古くなった物品の交換や適正数の補充も可能です。
5.ルールや配置の周知
物品管理は社員にルールを周知しないと、物品管理が効率化しません。運用ルールや配置を周知しないと、管理がさらに煩雑になります。また、紛失や盗難にもつながりかねません。備品の使用ルールや配置、使い方をマニュアル化して周知することをおすすめします。
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物品管理で業務の無駄を省こう!
物品管理により、紛失やムダな購入などが減りコストを削減できます。物品管理は社内の備品や消耗品を管理するので、煩雑になりがちです。しかし、適切に管理することで効果がみえてくるでしょう。
物品管理をもっと簡単に行いたい!という方は物品管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。システム化することによって、管理台帳の作成や・更新もスムーズになり、棚卸もバーコードを読み取るだけで簡単に済ませられるでしょう。ぜひ一度、検討してみてください。
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