データセンターを利用する前の課題
データセンターを利用する前には、以下のような課題があります。
- ■サーバ機器の更新や設備の最新化ができていない
- ■データを災害から守ることが困難
- ■サーバ管理の専任者を維持できない
- ■サーバルームのセキュリティが甘くなる
ここから詳しくみていきましょう。
1.サーバ機器の更新や設備の最新化ができていない
自社内でデータ管理を行うためには、一定期間でサーバ機器を更新する手間と費用がかかります。また、サーバを安定稼働させるために、冗長性のある電源設備や空調設備、高速ネットワーク設備を整えたサーバルームを準備・維持するための費用負担が大きくなります。
2.データを災害から守ることが困難
自社が入居している賃貸ビル内にサーバルームを設置したり、自社ビル内にデータセンターを設置している場合、災害などで賃貸ビルや自社ビルの機能がダウンしてしまうと、データを守ることができません。
3.サーバ管理の専任者を維持できない
サーバ管理のために、24時間365日対応可能な高度なスキルを持った専任の人員が必要になりますが、専任者を維持することが困難です。こうした場合、上手くサーバ管理を行うことができません。
4.サーバルームのセキュリティが甘くなる
自社内のサーバルームでは、施設内に入場する際のセキュリティが甘くなりやすく、監視カメラを設置するなどの監視体制も省かれてしまいます。また、機器の破壊や盗難に対する対策も甘くなります。
データセンターを活用する5つのメリット
データセンターを活用することにより、課題を解決することができます。
導入メリット1.データ管理に最適化された施設が用意できる
データセンターにはサーバやネットワーク機器などを安定的に稼働させるために、専用の電源設備や空調設備により最適な環境が維持されています。
これらの設備は、企業が自社のオフィスやビル内に設置したサーバルームなどと異なり、徹底的な安全対策としての冗長性が確保されているため、稼働中の設備に電源設備の障害が発生しても、すぐに予備の電源設備がバックアップするなどして、施設としての機能は停止することがありません。
導入メリット2.災害対策が行える
データセンターは、地震や火災などの災害に備えた堅牢な建築物に置かれているため、通常のオフィスビルよりも災害に対して耐性があります。
また、データセンター自体が災害に耐えても、外部の送電設備などに障害が発生する場合もあるため、非常用発電設備やUPS(無停電電源装置)でデータセンターの機能がダウンしないように守られています。
万が一データセンターで火災が発生したとしても、窒素などの消火ガスを利用して鎮火することで、サーバなどの機器が液体で濡れて破損しないような工夫も施されています。
導入メリット3.年中無休の24時間体制での運用・保守が期待できる
自社のサーバ設備では、停電やビルの保守点検などにより、停止させなければならないことが多くあります。また、従業員も昼の就業時間外や休日は出勤していないため、サーバに障害が発生しても、対応が遅れてしまうことがあります。
しかし、データセンターでは、24時間365日サーバを停止させることなく保守点検が行える設備が整っており、保守要員も24時間の監視体制を敷き、万が一障害が発生してもすぐに復旧できるように交代で待機しています。
導入メリット4.トータルコストを下げることができる
データセンターは大量のサーバをまとめて効率的に管理しているため、設備投資や機器と設備の保守費用などを自社だけで賄うよりも低コストで運用できます。
またデータセンターでは大量のサーバをまとめて監視するため、高度なスキルの専任者に対する人件費を分散することが可能です。
導入メリット5.高水準のセキュリティを確保できる
データセンターでは、物理的なセキュリティとして、フラッパーゲートを設置し、生体認証や非接触ICカードによる入退出の管理が行われ、監視カメラによる24時間有人監視体制が敷かれています。
また、ネットワークセキュリティにおいても、高度なネットワークセキュリティシステムと専門知識を持った人員による監視体制が敷かれています。
▼データセンターのデメリットを知ろう!
参考記事:データセンターのメリット・デメリットを5分で解説!
データセンターにおける今後の課題
近年はシステムのクラウド化が進んでいますが、クラウドにもセキュリティやコンプライアンスなどいくつかの点においてデメリットがあります。そのため、クラウド移行をせずにデータセンターを利用する企業もまだまだ多くあります。
では一方でデータセンターにおいて考えられる、今後の課題とはなんでしょうか。
ビッグデータ活用にともなう電力消費量の増加
ビッグデータの活用やAIによって扱うデータ量か膨大になったにより、大規模化を余儀なくされたデータセンターも出てきました。それにともない、データセンターの消費電力が増大してきており、いかに電力効率を良くするかが課題となっています。
▼ビッグデータとデータセンターの関係とは?
参考記事:災害対策とビッグデータ活用で注目されるデータセンター
施設の老朽化
データセンターは災害対策やセキュリティ対策が施されていますが、老朽化には耐えられません。今後多くのデータセンターで考えられる課題であるため、思わぬ移転とならないように選定の際は注意しましょう。
▼ビッグデータとデータセンターの関係とは?
参考記事:データセンター選定を失敗しない7つのポイント
データセンターを活用するためには?
データセンターソリューションの今後の課題も紹介しましたが、ビッグデータを本格的に活用するためにデータセンターを利用する企業もあります。
企業のデータを安全に低コストで管理するためにはデータセンターの活用が有効です。施設の規模や立地条件などにより、費用などの条件が変わってきますので、自社が管理したいデータ規模や予算に適したデータセンターを選ぶようにしましょう。