近年、海外大手によるデータセンターの開設が相次ぐ日本。「クラウドファースト」の言葉どおり、「システム構築には優先的にクラウドの採用を検討する」という時代が到来しています。
さて、従来はオンプレミス環境で開発されるのが一般的だったクラウドアプリケーションも、Amazon Web services(AWS)などの仮想環境の拡充により、各企業からクラウドベースの統合開発環境が提供されるようになりました。
クラウド上での開発・運用が可能なクラウドアプリケーションは、クラウドネイティブによる快適な動作、ブラウザベースのシンプルでわかりやすいインターフェース、開発コスト削減の観点で高く評価されています。また、新しい開発ツールの導入が容易であることもあり、急速に普及が進んでいます。
この記事は2022年7月時点の情報に基づいて編集しています。
クラウドアプリケーション開発とは?
クラウドアプリケーション開発とは、クラウドをベースとしたアプリケーションの開発を意味します。従来のローカル環境で活用するのではなく、インターネットを経由して開発するのが特徴です。
クラウドで制作されたアプリには、場所を問わずに接続できるのが特徴です。アプリの接続同様、開発にも同じことがいえます。応用が利く開発環境ということもあり、多くの企業がクラウドアプリケーション開発に注目しています。
クラウドアプリケーション開発普及の背景
システム構築の主流は、オンプレミスからクラウドへと移行してきています。業務システムをまるごとオンプレミスからパブリッククラウドへ移行する企業も、増えました。
またSaaSビジネスの増加も、クラウドファーストの流れを加速する大きな要因です。SaaSビジネスに欠かせないサーバの運用をデータセンターに一任し、自社はサービスの開発・普及に専念するというビジネススタイルの企業も増えています。
いかに素早く低コストでクラウドアプリケーションを構築できるかが、SaaS事業における競争力の原資です。このため、短期間・低コストで開発でき、異なるクラウド間やオンプレミスでも稼働も可能なクラウドアプリケーション開発に注目するSaaS事業者が増えました。
クラウドアプリケーション開発のメリット
クラウドアプリケーション開発には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
自社内で開発環境整備が不要
クラウドアプリケーション開発を提供する企業の多くは、すでに自社が提携するIaaSから提供されるクラウドプラットフォームと自社サービスとの整合性をとっています。そのうえで、OS・アプリケーションサーバ・データベース・モジュールなどを一元的にキット化したサービスとして提供しています。つまり開発環境そのものが、PaaSの形で提供されているということです。
SaaS事業者は特に自社内で開発環境を整える必要はなく、「クラウド上に完成したアプリケーション開発環境を入手できる」メリットがあります。サーバなどのハードウェア群を含む開発環境の整備とは、時間・コスト面で大きな差が生じるでしょう。
実践的な機能を開発基盤として完備している
多くのクラウドアプリケーション開発環境では、開発ツールと実行エンジンをクラウド上の仮想環境(仮想アプライアンス)に搭載しており、仮想サーバを利用することで開発手順を大幅に短縮しています。開発手順の短縮化により、たとえばモジュールの「単体テスト」「結合テスト」をその場で実施することも可能です。
クラウドアプリケーション開発環境における開発ツールは、Webブラウザのみで使用します。そのため自社の端末にIDE(統合開発環境)をインストールする必要はなく、最小限の設定だけですぐ開発作業にとりかかれるでしょう。
また、あらかじめ開発目的別に開発されたモジュールやライブラリによって、コーディング量は最小限に抑えられます。そのため、開発コストや開発時間をさらに圧縮することが可能です。
リソースに柔軟なスケーラビリティがある
多くのクラウドアプリケーションでは、「リリース後どれぐらいの数のユーザを獲得できるか不透明」という問題を抱えています。つまり、あらかじめ準備しておくサーバなどのリソースが読めないということです。
しかし、この問題についてもクラウドによって解決できます。ハードウェア的制約を持たないクラウド環境は、想定外の急激なリソース増加にも対応できます。稼働が安定した段階でリソースを縮小することで、コストの最小限化も可能です。
クラウドアプリケーション開発導入を検討しよう!
クラウドアプリケーション開発は、開発環境や開発基盤、スケーラビリティなどの観点で多くの企業に必要とされています。今後、クラウドアプリケーション開発を選択するケースが増えていくでしょう。
自社の開発業務を柔軟に進めるために、昨今のトレンドであるクラウドアプリケーション開発を活用してみてはいかがでしょうか。