失敗例1 利用開始前には想定していなかった作業の発生
ハウジングサービスでは、提供事業者がデータセンター内のラックスペース、電源、ネットワーク回線などを提供します。またそれ以外にも、各種付帯サービスを利用できる場合もあります。
付帯サービスの具体例としては、サーバOSやミドルウェアのインストールと設定の代行やネットワーク環境の構築などです。あるいは、サーバ障害や不正アクセスの発生した場合に必要な対応を行うサービスもあります。
一方で、サービス利用開始後に「環境設定は提供事業者側でやってくれると思っていた」、「サービス利用開始時にはすぐにサーバへ利用できる状態になっていると思っていた」といった付帯サービスにかかわるトラブルに直面してしまうケースもあります。
このような事態は、ハウジングサービスの利用に際して提供事業者との間でサービス範囲に関して十分なすり合わせを行っていないことによって引き起こされてしまうのです。
失敗例2 回線事業者に関する調査が不足による思わぬ支出
ハウジングサービスでは、提供事業者の保有するネットワーク回線を利用してデータセンター内のサーバへとアクセスすることができます。そのため、ハウジングサービスを利用する場合には原則として提供事業者の指定した回線事業者のネットワーク回線を利用しなければなりません。
そして回線事業者によっては、選択できるプランが限定的であることも少なくありません。プラン数の少ない場合には、必要以上のスペックを有するネットワーク回線を利用するという事態も発生します。
高スペックなプランは、当然利用料も高額となります。そのため提供事業者の指定する回線事業者のサービス内容について十分調査していなかった場合には、サービス利用開始後に思わぬ支出が発生してしまうこともあるのです。
失敗例3 サーバ管理の業務効率が低下
ハウジングサービス提供事業者の保有するデータセンターは、入退室管理システムや監視カメラなどによって守られた非常に堅牢なものとなっています。これは、自社の情報資産を確実に守るという情報セキュリティ上の観点からすると、非常に大きなメリットです。
一方でこうしたデータセンターのセキュアな体制というのは、時として業務の非効率化にもつながります。たとえばデータセンターへと赴く場合には、原則として事前に提供事業者に対して訪問予約をしなければなりません。
またデータセンター内には、あらかじめ届け出た上でIDカードを有している者しか入室できません。さらに、セキュリティ上の理由から、サーバのパーツ交換などにも事前の届け出と承認を必要とすることも少なくありません。
そして、こうした各種手続きは社外のサービス提供事業者に対して行います。そのため社内での申請よりも時間を有し、自社サーバを運営していた時と比べてサーバ管理業務の効率が低下してしまうことも少なくないのです。
ハウジングサービス利用の失敗を防ぐためには?
このように、ハウジングサービスの利用では「想定外の作業コストの発生」「不必要な支出の発生」「業務効率の低下」という3つの失敗に陥ってしまうことがよくあります。
そして企業でのITシステムの利用シーンがますます拡大している今日において、サーバはあらゆる業務において必要不可欠な存在となっています。だからこそ、ハウジングサービスの利用によって今回ご紹介したような失敗に陥ることは、業務全体の効率低下やコストの増大に直結してしまう可能性があるのです。
本当に自社にハウジングサービスが必要なのか、サービスレベルが合っているのかをよく確認し、導入を検討しましょう。