SCMシステムの導入後の4つのステップ
ステップ1 評価指標を理解できる人材を増やす
SCMシステムは、サプライチェーンの最適化を実現するために導入されます。そしてSCMシステムは、各種数値をもとにサプライチェーンの状況を分析してサプライチェーンを評価する指標を算出します。
サプライチェーンを評価する指標として、調達あるいは生産から消費者の手元に渡るまでのリードタイム、在庫率、棚卸資産回転率、ROAなどがあります。システム上で算出されたデータをサプライチェーンの改善へと活かすため、これらの指標に関する知識をもつ人材を増やす必要があります。特に現場レベルでこうした知識を有する人材が多くいれば、サプライチェーン改善への施策のスピードを一層高めることが可能となります。
ステップ2 現場レベルでマスタを管理できるようにする
SCMシステムでは、サプライチェーンでやり取りされる加工品や製品を追跡することでサプライチェーンの評価に必要なデータを収集します。そのためSCMシステムでは、各製品、あるいは製品で利用されている原料や部品をマスタ管理する必要があるのです。
一方で、サプライチェーンを流れる品目の数が多くなればなるほどマスタの数も増えることになります。そして、膨大な量のマスタを本部のみで管理することは困難です。
そのため、SCMシステムの導入後には現場レベルでマスタ情報を更新できるようにする必要があります。各拠点でマスタ管理を行えば、本部機能の負担を軽減しSCM業務を飛躍的に効率化することができるからです。
ステップ3 SCに関係する他の組織と緊密に連携し、衝突を避ける
サプライチェーンに関係するのは、言うまでもなく自社だけではありません。サプライチェーンには、常にさまざまな組織が関係します。そして、各組織間で利害が対立しているということも珍しくありません。
そのため、「すべてをシステムの指示通りに進めよう」という考え方は危険です。システム上で示される分析結果やサプライチェーンの形は、あくまでも自社にとって利益となるものです。したがって、他の組織によっては不利益となることも少なくないのです。
SCMシステムの導入後には、必要に応じて各関係組織と連携しながらそれぞれにとって受け入れられる形でのサプライチェーンの構築を目指す姿勢が必要となるのです。
ステップ4 システムを利用している現場の声をくみ取る
SCMシステムでは、あらかじめ組み込まれているプログラムやデータ、あるいはシステム導入後に蓄積したデータをもとに分析などを行います。一方でサプライチェーンに介在する各現場では、他の工程や内部事情などシステム上のデータとして反映されにくい事情を加味して最適な業務フローを構築しています。
最適なサプライチェーンを構築するには、このシステムと現場の双方の求める形を融合させながら形作っていかなければなりません。そのためシステムの導入後には、システムを利用している現場での声もくみ取りながら必要に応じて柔軟にシステム設定の変更やプログラムの改修をはかる必要があります。
システム導入をSC最適化へとつなげる4ステップ
このようにSCMシステムの導入後には、「評価指標を理解できる人材の増員」「現場においてマスタを管理できる人材の育成」「他の組織との連携」「現場の声の反映」という4つのステップに取り組むことが重要。
そして、この4ステップを実行することで、システムの導入によるサプライチェーンの最適化という目的の達成をより確実なものにできるのです。