アクセス解析における「直帰率」とは
アクセス解析を行う際にはいくつかの数字を参照しますが、その中の1つに「直帰率」があります。直帰率とは、一体どのようなものなのでしょうか。
他のページを見ずにサイトを離れたセッションの割合
直帰率とは、他のページを見ずにサイトを離れたセッションの割合です。たとえば、あるワードで検索を行ったユーザーがサイトを訪問し、そのページだけを見て他のサイトに遷移した場合は「直帰した」とみなされます。
そして、訪問ユーザー数に対する直帰ユーザー数の割合が直帰率になるというわけです。アクセス解析を行う際に直帰率を見ることで、どのくらいのユーザーがサイト内の複数ページを遷移したか、または直帰したかを知ることができるでしょう。
離脱率との違いは「対象となるセッション」
直帰率とよく似た言葉に「離脱率」があります。離脱率と直帰率の違いは「対象となるセッション」であり、直帰率の対象となるのは訪問後1ページ目であるのに対し、離脱率は訪問後のページ数は問いません。
たとえばトップページからページA→ページBと遷移したユーザーが離脱した場合、ページBの離脱率には含まれますが、直帰率には含まれないことになります。そのため、直帰率は離脱率の一部であるという捉え方もできるでしょう。
直帰率の計算式は「直帰セッション数 ÷ 全セッション数」
直帰率は、「直帰セッション数 ÷ 全セッション数」 で求めることができます。たとえば、訪問セッション数が50、直帰セッション数が10の場合、「10 ÷ 50 = 0.2」になるため、直帰率は20%になります。
アクセス解析ツールを使えば直帰率は自動的に計算されますが、計算方法を覚えておいて損はないでしょう。式がそれほど難しいわけではないため、直帰率を参照する際に頭の片隅にでも置いておけば、片方の数字からもう片方を逆算することも可能です。
直帰率の分析・考え方
直帰率の求め方は分かりましたが、これをアクセス解析にどのように活かせばよいのでしょうか。次に、アクセス解析における直帰率の分析・考え方について解説します。
直帰率の目安はサイトによって異なる
直帰率は明確に数字によって表されるため、一般的な基準があるように思ってしまうかもしれません。しかし、Webサイトは特性や求めているものが千差万別なため、直帰率の目安はそれぞれに異なるのが現状です。
参考までに、業界やサイトの種類、チャンネル別の直帰率の目安を表記します。アクセス解析を行う際は、これらの数字を自サイトに適用しましょう。
- 【業界別の平均】
- ●金融サービス 53%
- ●病院&ヘルスケア 54.96%
- ●医療機器・医薬 55.33%
- ●不動産 57.47%/li>
- ●コンピュータソフトウェア 60.76%
- ●ヘルス・フィットネス関連 63%
- ●ITおよび関連サービス 64.21%
- ●経営コンサルティング 67.49%
参照:
BRAFTON 2017 CONTENT MARKETING BENCHMARK REPORT|BRAFTON
- 【サイト種類別の平均】
- ●EC、リテール 20~45%
- ●B2B 25〜55%
- ●リードジェネレーション 30~55%
- ●非ECコンテンツ 35~60%
- ●ランディングページ 60~90%
- ●辞書、ブログ、ポータルサイト 65~90%/li>
参照:
Bounce Rate Benchmarks: What’s a Good Bounce Rate, Anyway?|CXL
直帰率が高いから悪いサイトとは限らない
直帰率はアクセス解析を行う際に重要な数字ですが、直帰率が高いからといって、必ずしも悪いサイトとは限りません。前述の通り、直帰率はサイトの特性やジャンルによっても平均値が変わるため、解析を行う際はまず自分のサイトがどのような立ち位置かを念頭に置く必要があるでしょう。
また、同じサイトでもページによって直帰率は変化します。たとえば、特定のサービスについて記載しているようなページの場合、そこだけを見ればユーザーニーズは満たされるため、直帰率が高くなる傾向があります。
一方、サイトのトップページを訪れたユーザーはそこから詳細ページに遷移することが想定されるため、直帰率は低くなる可能性が高いでしょう。すなわち、サイトのトップページの直帰率が高い場合は、何らかの対策が必要ということになります。
直帰率の改善策
直帰率が大事な数字であることに変わりはありません。では、直帰率を下げるためにはどのようなことを意識すればよいのでしょうか。ここでは、直帰率を改善するための4つのポイントについて解説します。
1 ユーザーのニーズを満たしているか
Webサイトを訪れるユーザーには、それぞれニーズが存在します。それを満たしてくれるようなサイトであれば深掘りされるでしょうが、求めている情報が得られない場合は離脱してしまうでしょう。
ユーザーがサイトを訪れるきっかけとして、特定ワードの検索はかなりのウエイトを占めるのではないでしょうか。検索から入ってくるユーザーは比較的ニーズが明確なため、それに沿ったサイト運営を行っていれば直帰率が低くなる傾向があります。
もし自身が管理するサイトの直帰率が高い場合、まずはユーザーニーズを適切に満たしているかどうかを見直しましょう。
2 スマホ対応しているか
直帰率を下げるためにすべきこととしては、サイトのレスポンシブ化(※参照)が挙げられます。今やユーザーはパソコンだけでなくスマホやタブレットといった多様なデバイスからインターネットを活用しています。
そのため、サイトがレスポンシブ化されてない場合はレイアウトが崩れ、非常に見づらくなるでしょう。見づらいサイトを敢えて見ようとするユーザーは少なく、結果直帰率が上がってしまうというわけです。
それを避けるためには、ユーザーがどのデバイスで閲覧してもレイアウトが崩れないように作ることが大切です。レスポンシブ化だけでなく、ボタンは押しやすい位置にあるか、読みやすいフォントが設定されているか、といったデザイン部分にまで気を配りましょう。
※レスポンシブ化・・・どのような画面サイズのデバイスで見てもレイアウトが崩れないようサイトを構築すること
3 ページの読み込みは遅くないか
ページの読み込みが遅いのも直帰率が低くなってしまう原因になります。前述した通り、現在はモバイル機器からインターネットを利用しているユーザーも多いです。したがって、サイトがモバイルに最適化されていない場合は読み込みが遅くなってしまう可能性があります。
読み込みが遅いページはユーザーにストレスを与えるため、ブラウザバックを誘発してしまう恐れがあります。ユーザーの多くがサイトにアクセスしたものの読み込みが遅く離脱してしまった場合、結果的に直帰率が上昇してしまうでしょう。
それを防ぐためには、サイトの読み込み負荷を軽くすることが大事です。各デバイスに最適化するのはもちろん、画像のサイズを最適化したり、不要なコードは省くなどの工夫を行いましょう。
4 そのページに内部リンクはあるか
直帰率を下げるためには、サイト内に有効な内部リンクを貼ることもおすすめします。ユーザーは何かしらの情報を得たくてサイトを閲覧しているため、その情報に関連するページを提示すればアクセスが期待できるのではないでしょうか。
ユーザーが内部リンクからサイト内のページに遷移した場合、その時点で直帰率の計算からは除外されることになります。すなわち、適切な内部リンクを貼ることによって直帰率の低下が見込めるというわけです。
もちろん、内部リンクは関連性のあるものに限定する必要があります。また、貼りすぎるのではなく、適切な数を保持することも大切です。一番に考えるべきはユーザビリティであり、ユーザビリティを高めるために適切な内部リンクを用意する、という考え方を基本に据えることをおすすめします。
直帰率を分析してサイト改善に活かしましょう
直帰率が高いからといって、必ずしもそのサイトの評価が低いわけではありません。しかし、トップページの直帰率が高かったり、内部リンクによって誘導する目論見を設けているページの直帰率が高い場合は問題視した方がよいでしょう。
大事なのは、「サイトがユーザーニーズを満たせているか」という点です。ユーザーニーズを満たせていないサイトは自ずと直帰率が低くなり、アクセス数の低下や検索サイトからの評価が下がってしまう恐れがあります。
アクセス解析の一要因として直帰率を的確に分析し、サイトを訪問したユーザーの満足度を高めましょう。