適正な勤怠管理の重要性
勤怠管理は従業員の勤怠に関するさまざまなデータを管理する重要な業務です。煩雑な作業が多く、ときとして手間や面倒に感じる勤怠管理業務ですが、なぜ適正な勤怠管理が求められるのか、その重要性について解説します。
長時間労働の是正
勤怠管理を適切に行うと、従業員の就業時間や休憩時間、有給の取得状況などの管理が把握しやすくなるでしょう。従業員の勤怠状況を可視化できるため、長時間労働を行う従業員を把握でき、必要な対策を事前に講じられるようになります。
例えば、時間外労働や休日出勤の多い部署の長時間労働につながっている問題をあぶりだし、対策を図れるでしょう。加えて長時間労働による健康被害を生じさせないよう、適切な労働時間の管理にも役立てられます。
正確な給与計算
勤怠管理が適切に行われないと、従業員に正確な給与を支払えません。
早出や残業、休日出勤などの時間外労働の管理ができていなければ、正確な時間外労働の計算は行われず給与に反映されなくなってしまいます。また万が一誤りがあった場合は、労使間トラブルに発展してしまう可能性もあります。
トラブル発生のリスクを未然に防ぐためにも、勤怠管理の役割は重要です。
コンプライアンスの遵守
コンプライアンスの遵守は企業の義務であり役割です。適正な勤怠管理は企業がコンプライアンスを遵守するための必要な管理業務の1つといえます。
適切な勤怠管理は、従業員に対する未払い賃金、長時間労働による過労死や健康被害などのコンプライアンス違反を防ぐことにつながります。
働き方改革と勤怠管理の関係性
近年の「働き方改革」の流れを受け、2018年に労働基準法が改正されました。これにより長時間労働の是正や雇用形態の多様化が盛り込まれ、各従業員の勤務時間の把握が人事担当の急務となりました。
また働き方改革関連法の成立により、2020年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され、翌2021年には中小企業にも追加施行されています。今後はパートタイム従業員や契約社員、派遣社員に対しても有給休暇を与えなければなりません。正社員以外も在籍する企業においては従業員の休暇管理業務が増大するでしょう。このように勤怠管理業務は増える一方で、効率的な作業が求められています。
参考:パートタイム・有期雇用労働法が施行されます|厚生労働省・都道府県労働局
参考:労働基準法 | e-Gov法令検索
従来の勤怠管理が面倒で非効率な理由
勤怠管理の代表的な方法は以下のとおりです。
- ●紙の出勤簿
- ●タイムカード
- ●エクセル
- ●勤怠管理システム(生体認証・ICカードなど)
テレワークの推進などで勤怠管理システムを導入する企業も増えていますが、引き続き紙の出勤簿やタイムカード、エクセルを活用して勤怠管理を行う企業も多いようです。これらの従来型の勤怠管理は、従業員規模が大きくない場合やコストをかけたくない場合などには適しているかもしれませんが、デメリットも少なくないでしょう。
ここからは、タイムカードやエクセルを使った勤怠管理の不便な一面について説明していきましょう。
紙の出勤簿やエクセルでの管理方法
紙の出勤簿やエクセルによる勤怠管理で生じる不利益には以下のようなものがあります。
- ●記録するのが面倒
- ●手作業でのデータ入力、集計なので時間がかかる
- ●記入漏れに対する指導など間接業務が発生する
- ●転記ミスなどヒューマンエラーが発生、チェックや修正に時間をとられる
- ●不正打刻が起きやすい
従業員視点でみれば、毎日出退勤時間や休憩時刻などを自分で記録入力しなければいけないのは面倒に感じるかもしれません。またそれ以上に作業負担が大きいのが、データを転記したり集計したりする人事担当者でしょう。
タイムカードでの管理方法
タイムカードによる勤怠管理方法は、後日人事担当者が就業時間の集計作業をする必要があり、その点では紙の出勤簿やエクセルと同じような負担感です。そのほかのデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
- ●出先での打刻に対応できない
- ●残業や有給管理は別途必要になる
ただしタイムカードによる勤怠管理の場合、従業員が出退勤の時刻を記録したり入力したりする手間からは開放されます。また、なかには自動集計に対応しているタイムカードもあるため、工数軽減につなげられるケースもあります。
勤怠管理システムなら面倒や非効率を解消できる
煩雑化しがちな勤怠管理への不満解消や効率化には、勤怠管理システムの導入をおすすめします。まず先に、どんな製品があるのかを確認したい方は以下からどうぞ。
では、ここからは勤怠管理システム導入の5つのメリットについて解説していきます。
勤務時間や残業時間を自動集計できる
勤怠管理システムでは、システムに直接アクセスして出退勤時間などを入力でき、労働時間や時間外労働の集計も自動化されます。人事担当者の大きな負担だった勤務時間の集計が不要になるのは大きなメリットといえるでしょう。締め日に行われていた作業がほとんどなくなり、作業効率のアップを図れます。
また、勤怠管理システムはさまざまなデバイスに対応しているものが多く、外出先でも退勤の打刻を行えます。わざわざ打刻するために会社に戻る必要もありません。
管理者も携帯端末のスマートフォン上で承認ができるため、時間や場所に限定されずに業務ができます。
適正な労働時間の管理
勤怠管理システムの中には出退勤を自動で記録できるものがあり、従来の勤怠管理と比べて従業員の負担も少なく、管理者側からしても勤怠状況が把握しやすくなります。適正な労働時間の管理にもつながるでしょう。
また不自然な出退勤のデータを見つけやすくなるため、不正が起こりにくくなる点もメリットです。
法定労働時間を超過しそうな従業員や、休暇が取得できていない従業員を知らせてくれるアラーム機能を搭載した製品もあるため、コンプライアンスを遵守した勤怠管理が行えるようになります。
給与計算システムとの連携も可能
勤怠管理システムの多くが、残業時間や休日出勤の割増手当の集計にも対応します。また給与計算システムと連携できる勤怠管理システムなら、給与計算の自動化も実現します。
不正打刻を防止
勤怠管理システムには、指紋静脈などの生体認証やGPS打刻機能を搭載した製品もあり、不正打刻を防止できます。
従来のタイムカードではなりすまし打刻が可能でしたが、勤怠管理システムは生体認証システムを採用しているため、なりすまし打刻は不可能です。また、GPS付きの機能があれば位置情報も把握できるため、虚偽の報告防止につながります。
多様な働き方へも対応
従業員の勤務形態は、在宅勤務やテレワークなど従来のものと様変わりしてきており、勤怠管理システムは多様な働き方にも柔軟に対応できます。
スマートフォン1つで打刻や申請業務が行え、在宅勤務などの多様な働き方を実現する重要なツールの1つとなるでしょう。
人気の勤怠管理システムを見てみよう!
現在の勤怠管理システムは、クラウド型が主流になっています。導入コストが抑えられ、法改正に対しても迅速な対応が可能、テレワークなどにも適した点が支持される理由でしょう。
以下の記事では2020~2021年にかけて、ITトレンドで人気を博した勤怠管理システムをランキング順で紹介しています。製品スペックについても一目でわかるため、手間や非効率から開放されたいという方は、ぜひ比較検討してみてください。
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面倒な勤怠管理はシステム導入で効率化させよう
勤怠管理システムは人的コストの削減や業務改善効果だけではなく、従業員に対して正当な賃金の支払いが可能になり健康リスクも管理できます。
従来の勤怠管理の方法で負担や不満を感じている方は、この機会に勤怠管理システムの導入を検討してはいかがでしょうか。