企業の意思決定の問題点
Rob氏は、多くの企業の意思決定における問題点を指摘しています。
横断的な意思決定ができていない
Rob氏「すでに述べた問題点に連動して、組織が問題を解決するための“横断的なコラボレーション”ができていないということも問題です。縦割りの意思決定しかできていないということです。
さらに、多くの企業における経営会議などの意思決定の場において、データの整合性を検証することがメインで行われているのです。データの量が膨大で、それぞれの組織・部署が正しいデータを把握していないため、正しいデータを基に一貫した議論ができずにいます。
つまり、意思決定の場が“このデータは信用に足る”とか、“このデータはこの解釈で間違いない”といったことを合意する場になってしまっており、これに膨大な時間がかかっているのです。」
ビジネスを拡大するための示唆を与えることを求められる経営計画の業務ですが、現在は“事後対応”に多くの時間を取られているといいます。そして、経営陣が迅速で正確な意思決定ができない状態でビジネスを進めざるを得ないのが現状だというのです。
正しいデータを基にした、将来的な議論ができていない
また、現在多くの企業において、経営会議では正しいデータを基にした議論は行われておらず、一貫した将来的・予測的な議論も行われていないといいます。そして、データの整合性に合意をするための会議になってしまっているという警笛をRob氏は鳴らしています。
つまり、データを活用するのではなく、データを整理すること、利用するデータを決めることで終わってしまっているということです。本来は、そのデータから何が得られ、どんなビジネスチャンスがあるかを判断し、舵取りの方向性を決めるべきでしょう。
企業の経営体制における問題点
Rob氏があげた課題について、Fred氏は次のように付け加えた。
最適な経営計画が立案できていない
Fred氏「我々のサービスは全世界50カ国以上で利用されています。そして、Rob氏があげた課題は世界万国共通の課題であり、あらゆる規模の企業で起こっている問題なのです。これらの問題が引き起こされる理由は、経営計画についての最適なシステムが欠如しているからだと言えます。
また、企業における経営計画は往々にして財務担当者や経理担当者といったファイナンス部門が行ってきましたが、ファイナンス部門と実務を担当する現場部門に乖離が生まれていると感じています。よって、お客様がどのようなことを考えているか、現場ではどのような考え方を持っているか、リアルタイムな現場の声を反映させることができていないと感じています。」
横断的なコラボレーションがない
「一方、我々のサービスは必要なメンバーを全員巻き込むことが可能な仕組みとなっています。よって、現場の担当者も含めて、経営計画の場に必要とされるメンバーが参加する状況を、簡単に実現できるのです。」
現在のビジネスではあらゆる部門、人々が横断的にコラボレーションをして、あらゆる情報を駆使して経営計画を行うべきだが、全世界のほとんどの企業においてこのような体制を構築することができないでいるというのです。
つまり、企業は本来持つポテンシャル、可能性をフルに発揮することができていないということになります。それはつまり、ユーザーに対して100%の力で向き合うことができていないということに他なりません。
不完全な経営計画体制で勝ち残ることは可能か
理想的な経営計画体制が構築できていない企業は今後どうなるのか?彼らの率直な意見を伺いました。
Rob氏「質の高い経営計画体制を保有している企業は、市場の中で特に優位性を発揮し、業界の最先端で活躍することができると言えます。
ある研究結果では、効率的な経営計画(レポーティング、分析、横断的なデータ活用)ができている企業においては、最終的な利益が高いというデータが発表されています。つまり、質の高い経営計画と利益には相関関係があるということです。
しかし、効率的な経営計画体制が構築できていないことが、企業の衰退に繋がるとは言い切れないでしょう。ただし、効果的な経営計画を遂行できる体制構築は、企業にとってプラスになることは間違いないと言えます。」
理想的な経営計画を実現するためには?
効率的な経営計画が重要であることは彼らの話から良く分かりました。では、これらを実現するためにはどのような体制を構築する必要があるのでしょうか?
アクティブプランニングを活用する
Rob氏「データが散逸している、リソースが足りない、といった状況で効率的な経営計画を行うために、アクティブプランニングという考え方を取り入れることで、良好なプロセスへと改善することができるでしょう。」
アクティブプランニングとはAdaptive Insightsが提唱する経営計画を行う一つの手法です。限られたメンバーが、膨大な古いデータを基に行う従来の計画手法ではなく、横断的に必要なメンバーを包括的に巻き込み、リアルタイムにデータを処理し、迅速かつ正確に経営の見通しを立てるという手法を指します。
さらに、効率的な経営計画には次のようなシステムが必要であるとFred氏は語ります。
すべてのメンバーが扱えるシステムにする
Fred氏「効率的な経営計画を実現するためには、すべてのメンバーが簡単に扱うことのできるシステム導入が必要です。これまでのシステムは品質が高いとしても、すべてのメンバーが扱えるシステムではありませんでした。財務のプロであるメンバーしか使えない、現場のメンバーが使えないというシステムでは、横断的な経営計画はできないのです。
我々のサービスはこの点が非常に優れていると言えます。企業がアクティブプランニングを行う場合の大きな手助けになると考えています。」
理想的な経営計画を実現するフレームワーク
フォーラム中にRob氏が発表した最新のフレームワーク、「Customer Journey Program(カスタマージャーニープログラム)」とはどのような考え方なのかを訪ねました。
カスタマージャーニープログラムとは?
Rob氏「我々はCustomer Journey Program(カスタマージャーニープログラム)というフレームワークを構築しました。“Process、People、Model、Data”という4つの構成要素から企業の経営計画を分析し、アクティブプランニングを実践するためのフレームワークです。
100社の企業には100通りの経営計画が存在するので、何が正解で、どこから始めるのが正解ということはありません。自社の現状を分析し、期限と目的を設定し、実現したい順番で、実現したい体制を構築して欲しいと思っています。そして、それは同時にアクティブプランニングを実現することに他なりません。」
アクティブプランニングを取り入れてみよう!
後編では、「サービスや競合他社ありきでは考えていない」と話すRob氏とFred氏の今後のミッションについて伺いました。こちらからご覧ください。
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