Q.従業員の休業や自宅待機に関する給与の取り扱いは?
新型コロナウイルス感染症の影響により、従業員に休業や自宅待機を命じた場合の給与の取り扱いはどのようにすればよいでしょうか。
A.従業員が新型コロナウイルスに感染した場合
新型コロナウイルスの感染し、都道府県知事が行う就業制限により従業員が休業する場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるため、給与や休業手当の支払い義務はありません。
A.従業員に感染の疑いがある場合
新型コロナウイルスかどうか分からない段階で、従業員が自主的に休む場合は、通常の病欠と同じように扱います。従業員の申出による欠勤となるため、給与や休業手当の支払い義務はありません。
ただ、「熱が37.5度以上ある」など一定の症状が出ている従業員を会社の指示で休ませる場合、つまり事業主の判断で休業させる場合は、事業主の不可抗力には該当せず、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまるため、休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う義務があります。
参考:新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省
Q.テレワークをした場合のインターネット料金は誰が負担?
新型コロナウイルス感染拡大防止の為、従業員に自宅でのテレワークを命じた場合、インターネット利用にかかる通信費をどのように取り扱えばよいのでしょうか。
A.法的なルールはありません
テレワークで使用するインターネットの通信費に関しては、法的なルールはありません。しかし、会社と従業員との負担の割合を就業規則等で決めたほうがよいでしょう。
その他、通信費の他にテレワークで使用する備品などの負担の割合については、社内ではっきりとしたルールをつくり、従業員に対して説明し納得してもらうことが大切です。
- 1.テレワークで使用する通信機器に関して
- おおよその場合、テレワークに使用するパソコンやプリンター等の周辺機器、携帯電話などに関しては、会社から無償で貸与している場合が多く見られます。
- 2.テレワークで使用する通信回線費用
- テレワークで使用するインターネット料金(通信費用)については、プライベートでの使用と業務使用との線引が難しくなります。そのため、テレワークにかかった実費を負担することが困難なため、月額3,000円など一定額を会社負担として給与と一緒に支払う場合が多くあります。
また、従業員の自宅にインターネット環境がない場合、初期工事費用の一部を会社が負担する場合もあります。
Q.従業員のプライベートな行動を規制することはできるか?
社内の感染拡大や対外的な理由から、従業員のプライベートな飲み会や会食を禁止し、行動を管理することはできるのでしょうか。
A.原則として法的な拘束力はありません
従業員の就業時間外のプライベートな飲み会や会食を禁止することはできません。あくまでも「お願い」や「要請」として伝えるようにしましょう。会社が決めた就業時間以外の従業員の行動について、会社が禁止や管理をし違反した従業員に対して罰則を与えることは問題となりますので注意が必要です。
しかし、事業主からの「お願い」もしくは「要請」は大きな強制力を持つことがありますので注意が必要です。「要請」をする場合は、「なぜそのお願いをするのか?」を従業員にきちんと伝え、協力をしてもらうようにしましょう。
また、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着くまでは、会社主催の飲み会の開催や、従業員強制参加の会食などは、会社の信頼性を下げるだけでなく、感染拡大のリスクが高まるため控えたほうがよいでしょう。
Q.従業員のプライベートな旅行や帰省を禁止できるか?
新型コロナウイルス感染者が未だ多く出ている中、従業員の旅行や帰省を会社は禁止することができるのでしょうか。
A.旅行や帰省を禁止することはできません
従業員の就業時間外の飲み会などを禁止することができないのと同様に、旅行や実家への帰省を禁止することはできません。ただし、労務管理上必要な場合は、注意事項を伝えたり、行き先などのヒアリングをすることは可能です。
従業員の旅行や帰省を禁止することはできませんが、感染者の多く出ている地域への移動や感染リスクの高い場所への旅行の場合は、感染をした際のリスクを会社から事前に伝え、注意喚起をする必要があります。
旅行先のヒアリング等は個人のプライバシーに関わることでもあるため難しい問題ではありますが、万が一のリスクに備えるためにも会社としての判断しましょう。
Q.従業員へのPCR検査を強制できるか?
サービス業や接客業などにおいて、顧客や従業員の安全性確保のため従業員全員にPCR検査を受けさせることはできるのでしょうか。
A.検査の強制はできません
従業員に対して、PCR検査を強制することはできません。また、検査をした場合も本人の同意なしに検査結果を会社が取得することにも問題があります。安全性確保の観点から、PCR検査を行う場合は、従業員個人の意思で受けてもらう必要があります。
また、PCR検査の検査費用を会社が全額負担した場合も、検査結果の取り扱いには注意が必要です。事前に必ず、検査結果取得の同意をもらっておきましょう。感染の疑いがない場合、PCR検査はあくまで自由意志で行われるものであり、強制できるものではありません。
参考:労働基準法|電子政府の総合窓口(e-Gov)