契約書管理システムの選び方は?
契約書管理システムの選び方を見ていきましょう。
導入形態は自社に合っているか
契約書管理システムの導入形態は、主にクラウド型とオンプレミス型に分けられます。
クラウド型では、インターネットを介してサービスを利用します。つまり、自社で設備を整える必要がありません。インターネット環境さえあれば、基本的にどこでも使えます。したがって初期費用は安く済むうえ、メンテナンスなどの手間も不要です。契約して短期間でシステムを使い始められるのも特徴です。ただし、ランニングコストが高くなる点や、社外に情報を預けることにセキュリティ上の不安があるのが難点といえます。
一方、オンプレミス型は自社でサーバやネットワークなどの機器を揃え、運用する形態です。クラウド型のような手軽さはなく、初期費用がかかります。しかし、自社ですべて管理できるため、カスタマイズ性に優れています。社外に情報を預けなくてよい安心感も魅力です。
導入・運用コストは適切か
契約書管理システムの導入や運用には、以下のコストがかかります。
- 導入費
- 使い始める段階でのみ発生するコストです。クラウド型であれば安く済むことのほうが多いです。
- ランニングコスト
- 導入後、運用するうえでかかるコストです。クラウド型では月額利用料、オンプレミス型ではシステムを管理する人材や機器にコストがかかるでしょう。長期的な目で見るとクラウド型のほうが高額になることもあるため、料金体系をよく確認しましょう。
- ライセンス料金
- ユーザー人数により費用が変わる場合と、ユーザー数無制限の場合があります。前者は少人数で使う場合、後者は大規模企業や人数の変動が多い職場での利用に適しているでしょう。
以上のコストが予算内に収まっているのか、よく確認しましょう。ちなみに、無料トライアル期間を設けているベンダーもあります。システムの操作性を確認するうえでも、そのような機会は有効活用したほうがよいでしょう。
必要な機能を備えているか
どんなに安くても、必要な機能が備わっていなければ意味がありません。ここでは、契約書管理システムに欠かせない3つの機能を解説します。
契約期限の通知
担当者が契約更新日や満了日をすべて覚えておくのは至難の業です。どんなに注意しても、失念のリスクは免れられません。そこで役に立つのが、契約更新期限の通知機能です。契約書管理システムに登録された契約の期限が近づいた際に、関係者にメールで通知します。
通知の仕方は柔軟に設定できます。1つの契約書について複数回通知する、月初にまとめて通知するなど、利用者の使いやすい設定が可能です。通知先を複数設定可能なため、1人が失念しても期限切れのリスクを回避できます。
管理項目の一括更新
契約書管理において、管理項目を一括更新できることは非常に重要です。たとえば、管理部署名が変更した場合、それに伴いすべての契約書の項目を変更しなければなりません。契約書を1つひとつ更新していたのでは、膨大な手間がかかるでしょう。そこで一括更新機能があれば、管理対象のすべての契約の該当項目を瞬時に更新できます。
具体的な一括更新方式はさまざまです。画面上で直接編集できるものもあれば、一旦CSVファイルとして出力し、一括編集後に再登録する方法もあります。この方式によっても手間が変わるため、よく確認しましょう。
容易な画面操作
契約書管理システムは、多くの従業員が使うことになるでしょう。そのため、一部の人にしか使えない、複雑なシステムではいけません。誰でも直感的に操作できるものが理想的です。具体的には、以下の特徴を備えたものがよいでしょう。
- ■ドラッグアンドドロップを中心とした操作
- ■ミスを防止する設計
- ■入力簡略化(自動入力など)機能
すぐに使える製品を選ぶことで、従業員の教育負担が軽減するとともに、社内での浸透を促進できます。ただし、操作性は実際に使ってみなければ分からない部分もあるでしょう。無料トライアルなどがあれば利用して、実際に触れてみることが大切です。
セキュリティは万全か
契約書の情報が外部に漏れるようなことがあってはいけません。以下のようなセキュリティ機能を備えた製品を選びましょう。
- ログ管理
- 誰がいつどのような操作をしたのか、記録をとる機能です。不審な行動があれば、被害が生じる前に対策を施せます。また、社内統制としても有効です。その場合は、履歴をユーザーに公開できる製品がよいでしょう。
- 一部機能制限
- 印刷や外部メモリへの保存など、一部の機能を禁止する機能です。これにより社外へのデータの持ち出しを予防できます。
- アクセス制限
- 部署や個人単位でアクセス制限を設定できます。具体的に何をどこまで制限できるのかは、製品によって大きく異なります。できるだけ細かく指定できる製品が望ましいでしょう。
運用サポートは充実しているか
契約書管理システム本体の性能だけでなく、ベンダーのサポート体制も重要な要素です。特にトラブル発生時に、ベンダーのサポートの有無は大きく影響します。
自社でトラブルに対応しようと思ったら、製品を詳細に把握しておかなければなりません。しかし、普段はその必要もないのに、詳しく製品のことを知っておくのは非現実的です。ベンダーからのサポートが充実していれば、トラブル時の対応も任せられます。システムの異常による業務の停滞を最小限に抑えられるでしょう。具体的には、以下のような項目をチェックしましょう。
- ■対応してもらえる時間帯(24時間365日体制が望ましい)
- ■導入前のコンサルティングの丁寧さ
- ■分かりやすいマニュアルの有無
- ■サポート時の連絡手段(電話やメール、チャットなど)
契約書管理システムをうまく活用するには?
契約書管理システムを有効活用するには、導入前の要件定義と導入後の運用ルール策定の徹底が大切です。要件定義とは、自社がシステムに求める機能を明らかにすることです。この段階で慎重に検討しなければ、欲しい機能が得られない、あるいは機能過多で使いづらくなるおそれがあります。数か月単位で要件定義を行い、その後のトラブルを最小限に抑えましょう。
導入後は適切に運用する必要があります。契約書管理システムに限らず、新たにシステムを導入する場合は、その運用方法は1から考えましょう。現行の延長だと軽んじていると、思わぬトラブルが生じます。そのような事態に陥らないよう、運用ルールを策定し、人によってシステムの使い方が異ならないようにしましょう。たとえば、上長の承認ルートや書類廃棄時のルール、編集可能なデータの範囲などを策定しましょう。
契約書管理システムを導入し、業務負担を軽減しよう!
契約書管理システムの選び方は以下のとおりです。
- 1.導入形態は適切か
- 2.導入・運用コストは適切か
- 3.契約期限の通知、管理項目の一括更新といった機能を備えているか
- 4.セキュリティは万全か
- 5.運用サポートは充実しているか
また、システムを上手く活用する方法は以下のとおりです。
以上を踏まえて自社に合う契約書管理システムを導入しましょう。