CRMとは
CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略であり、日本語訳すると「顧客関係管理」となります。顧客管理を重視して売上やマーケティングに活用していこうという概念であり、専用のCRMシステムを使って行われるのが一般的です。
なお、顧客管理に用いるCRMシステム自体をCRMシステムと呼ぶこともあります。
CRMシステムの機能
CRMシステムの基本機能についてご紹介します。CRMシステム以外にもマーケティングや顧客管理に関連したツールは存在しますが、それらとの違いも併せて見ていきましょう。
基本機能は5つ
CRMシステムの基本機能は5つに分類されます。
名刺/名簿管理機能
1つめは、名刺/名簿管理機能です。見込み客の情報も含めた名刺を一元管理できるため、セミナーや展示会、メルマガで獲得した情報をインポートして整理できます。
インポートした顧客データには、注意メモやアラートといった形で詳細な情報を書き込むこともできます。たとえば、対応している顧客の特長やアレルギー情報などをまとめておけば、一人ひとりの顧客に対してきめ細やかな対応を行えるでしょう。
取引先管理機能
2つめは、取引先管理機能です。取引先管理機能を活用することによって、取引先の担当者情報や、入金条件といった請求周りの管理ができます。
取引先と金銭的なトラブルになることを避けるためにも、取引先管理をしっかりと行うことが大切です。
商談管理機能
3つめは、商談管理機能です。商談管理機能を活用すれば、誰がいつ誰にどのような提案を行ったかを管理できます。
合わせて、次回行うべきTODOや顧客からの要望も入力できるため、万一担当者が変わった場合でも一律の対応を行えるでしょう。
購買履歴管理機能
4つめは購買履歴管理機能です。いつ誰が何をいくらで購入したかを記録できるため、比較的売れやすい商品や入り口になりやすい商品を見極めることができます。
また、定期購入や頻度も記録可能なため、取引先の購入頻度が下がりつつあるといった予兆や傾向を探ることもできるでしょう。
分析機能
5つめは分析機能です。CRMでは入力されたデータに基づき、どんな顧客が一番LTV(※参照)が大きいか、製品やサービスにはどのような不満やニーズがあるかを分析可能です。CRMには豊富な分析機能が搭載されているため、自社の強みや弱みを掴めることはもちろん、どのような顧客と取引するべきかといった指針も設けられるでしょう。
※LTV・・・Life Time Value(ライフ タイム バリュー)の略。特定の顧客との間で取引を始めてから終わるまでの期間にどのくらいの価値がもたらされたかを計るもの。
CRMと他のツールの違いは
CRM以外にもマーケティングや顧客管理ができるツールがあります。営業支援のためのSFAやマーケティングのためのMAなどが挙げられますが、それらとCRMの間には共通の機能もあるものの、異なる点もあります。
たとえば、CRMとSFAとの違いは、CRMが顧客管理を目的にしている点に対し、SFAは営業生産性の向上を目的としていることが挙げられるでしょう。CRMと他ツールの違いについては下記記事で詳しく解説しているため、よろしければご覧ください。
CRMと他システムの違い
CRMの使い方は
CRMをうまく活用するためには、顧客管理という本来の目的に沿った使い方をする必要があります。管理するためにはまず顧客情報を正確に入力し、それにそってグループ分けを行います。分けられたグループに対し、適切な形でメール配信を行ったり、SNSを活用したマーケティングを行います。そこから得られたアクションデータを分析し、より効果の高い方法やタイミングを模索し続けることがCRMの基本的な使い方になるでしょう。
なお、CRMシステムは製品によって機能が大きく異なるため、製品の特長をしっかりと掴むことが大事です。
CRMシステムの選び方
CRMシステムを選ぶ際には、どのような点を比較すればよいのでしょうか。ここでは、CRMシステムを選ぶときの方法や注意点についてご説明します。
無料のシステムを選ぶとき
CRMシステムには有料のものから無料のものまで取り揃えられていますが、まずは無料のCRMシステムについて見ていきましょう。無料CRMでは利用人数や利用できるデータ容量に制限が設けられているものも多いため、その枠内で運用を行う必要があります。また、無料であるが故にきめ細やかなサポートを受けられるとは限りません。システムに不具合が生じた際でも、ある程度は自分たちで解決することが求められる可能性があります。
カスタマイズ性を高めたいのであれば、オープンソースCRMを活用する手もあります。しかし、オープンソースから自社に適したCRMシステムを構築するには、システム開発のためのリソースが必要になるため、技術者を雇わなければならないケースもあるでしょう。
有料のシステムを選ぶとき
有料のCRMシステムを選ぶときには、下記のような点に理解を深めておくことが大切です。
クラウド型かオンプレミス型か
CRMシステムは、主にクラウド型とオンプレミス型のどちらかで運用が行われます。クラウド型とは、サーバや専用ハードウェアを自社で購入するのではなく、ベンダーのデータセンターに設置されているものをレンタルし、そこでCRMシステムの運用を行います。
一方、オンプレミス型の場合はサーバや専用ハードウェアを必要に応じて自社で購入し、自社内でシステムの運用を行います。どちらにもメリットとデメリットが存在し、それぞれ提供価格も異なりますが、どこからでもアクセスできるといった利便性を得るためにはクラウド型の方が好ましいかもしれません。
オンプレミス型はセキュリティや機能のカスタマイズが可能であり、自社に沿ったシステムを構築しやすいなどの利点があります。しかし、導入に時間がかかることやソフトウェアのアップデートをどうするのかといった問題も生じやすいため、手軽さという面ではクラウド型に軍配が上がるのではないでしょうか。
無料お試しも活用しよう
CRMには無料のものから有料のものまで幅広いラインナップがありますが、いきなり有料の製品を申し込むのではなく、まずは無料お試し版を活用しましょう。製品によっては期間の定めはあるものの、有料版と変わらない機能が備えられているものもあれば、ユーザー数やデータ数の制限を設けつつ永年無料で利用できるものもあります。
CRM製品を導入する前に実際の使い勝手を計っておくことは非常に大切です。導入したはいいものの操作性が悪く使いものにならなかった、または必要な機能が搭載されていなかったなどの事態を防ぐためにも、まずは無料版を気軽に試し、製品の特長をしっかりとつかんでおきましょう。
システム導入に必要なこと
CRMシステム導入の前に行っておくべき準備についてご紹介します。CRMは適正に活用してこそ成果が発揮されるため、下記のような点をあらかじめ明確にしておきましょう。
目的を整理しよう
RMシステムを導入する前に、システム導入の目的をしっかりと整理しておく必要があります。CRMシステムを活用することで顧客との関係を管理できますが、問題は「何のために」顧客管理を行うかという点です。
それに対して「売上アップのため」のような漠然とした目的を掲げてしまうと、せっかく導入したにも関わらず、CRMシステムをどのように活用すればよいのかが曖昧になってしまいます。そうではなく、たとえば「顧客のニーズにいち早く応え、顧客満足度を上げる」や「分析機能を活用してマーケティングに活かす」のような具体的かつ明確な目的を設けましょう。
その際に、自社の抱えている顧客情報や強み・弱みなどを一度棚卸しするのもよいかもしれません。自社の特長および現状の顧客管理を分析し、どのような面でCRMシステムを活用できるかといった点をしっかりと整理しておきましょう。
関係者との調整をしよう
CRMシステムを導入する際には、関係者との調整が欠かせません。CRMシステムを導入することは現場の負担を増やすことにも繋がるため、関係者や管理者に予めメリットを周知させておく必要があるでしょう。
CRMを安定運用できるようになれば逆に現場の負担は減りますが、そこに至るまでが大変です。現場に対し、現在抱えている業務に加え日々のデータ入力などの業務を課すことになるため、どうしても一時的に負担が増えてしまいます。
そういったデメリットをどのように享受してもらうかについて予め考え、関係者との密な調整を行う必要があるでしょう。もし現場の理解を得ないままCRMの導入を強行してしまった場合、システムに最低限の情報しか集まらない可能性もあります。
それでは詳細な分析を行うことも難しく、何よりも本来の趣旨である「顧客との関係改善」に繋がりません。ベンダーのコンサルタントの力を借りつつ、なるべく導入前に現場に理解を浸透させておくことが大切です。
CRM導入の際には複数製品を比較検討し、最適なものを選ぼう
CRMシステムには無料のものから有料のものまで幅広く取り揃えられていますが、大切なのは自社に合ったシステムを導入することです。そのためには、自社がCRMシステムに何を求めるかといった点を明確にする必要があり、また導入にあたっては関係者間の調整をしっかりと行うことも大切です。CRM製品を導入する際は、導入の目的を明確にした上で複数製品を比較し、自社にとってベストなものを選びましょう。