債務管理・債権管理システムの導入前によく見られる課題
経営資源としてあげられる「ヒト・モノ・カネ」のうち、カネの情報管理すなわち会計システムの導入は、どの企業においても効果が期待できる分野です。しかし、企業が成長して取引量が増えてくると、債権や債務の明細数も増えてくるため、一般的な会計システムだけではきめ細かい管理が難しくなってきます。そこで債権・債務の管理に特化したシステムを導入することで、一連の処理を効率化し精度を向上させることが可能になります。また債権・債務の情報を可視化することで、キャッシュフローの状態を高いレベルで維持できるようになります。
債務管理システム、債権管理システムの導入前に見られる課題には以下のようなものがあります。
- 売掛金にかかわる作業が煩雑
- 債権回収の業務効率が低い
- 買掛金、借入金の残高、弁済状況が可視化されていない
- 複数拠点における債権・債務の一元管理が難しい
債務管理・債務管理システムによってこれらの課題をどのように解決できるのか、具体的に見ていきましょう。
債務管理・債権管理システムの導入メリット
導入メリット1. 売掛金にかかわる作業の煩雑さを軽減できる
売掛金と入金の紐付けは、経理部門の日常業務において特に負荷の高い業務でしょう。取引先ごとに請求額と銀行振込データとマッチングする作業、売掛金の明細と入金額をひも付けて消し込んでいく作業、これらは意外に複雑なうえ件数も多いため、それだけに人手にのみ頼っているとミスも招きやすい作業です。
売掛金管理システムを利用することで、このマッチングと消し込みの作業を自動化できるため、業務効率と精度が大幅に改善します。
とくに、現在一般的となっているファームバンキング/エレクトロニックバンキングのデータと連動させることで、上記の処理を大幅に効率化することが期待できます。
導入メリット2. 債権回収業務を効率化できる
債権管理の基本は、まず請求を確実に行うことからはじまります。通常の請求はもちろん、支払期限の過ぎた債権を見逃さないようにし、請求書や督促状など必要な書面を滞りなく作成・送付することも必要です。
債権管理システムを導入すれば、回収スケジュールや取引先ごとの集計額など債権の全体的な状況を可視化し見通すことができるようになります。これにもとづいて債権回収業務を計画的に進めることができるようになります。さらに、債権管理システムは書面、帳票の作成機能や請求履歴の記録・検索機能も備えているため、必要な対応をスピーディーに行えるようになります。
導入メリット3. 買掛金、借入金の残高、弁済状況を可視化できる
企業が信頼を築くために、買掛金、借入金など債務を確実に弁済していくことが必要不可欠であることは言うまでもありません。
債権管理と同じく、債務についても買掛金と支払額とのマッチング、消し込みを確実かつ効率的に行う必要があります。債務管理システムにより、この煩雑さの解消と業務効率化の課題を解決します。
また、短期債務だけでなく長期借入金などの債務も含めて、支払利息を見積もるなど債務の弁済シミュレーションを行うこともでき、余裕をもって資金計画を立てることができるようになります。このように、債権と同じく債務の状況を可視化して将来を見通せるようになることは、債務管理システムのもたらす大きなメリットと言えます。
導入メリット4. 複数拠点の債権・債務を一元管理できる
債権・債務の管理を困難にしているもう一つの根本原因は、情報が企業内に分散してしまっていることです。情報を各所から収集するのに時間を要していたり、そもそも拠点ごとに経理処理のルールが違っているなどの理由で、債権・債務の情報がうまく活用できていないケースが多くみられます。この課題は、ネットワークを介して情報とその処理を一元化することで解決を図ることができます。
キャッシュフロー管理の効率と精度を向上させるためには、まず会計処理に関するルールの整備と徹底を欠かすことができません。本社と支社・支店間で統一されたツールを用いるようにすることで、このルールの徹底を図りやすくなります。また業務フローも統一でき、トラブルに対する対応もスピーディーに行えるようになります。
このように債務管理システム・債権管理システムの導入メリットは、債権・債務の明細管理と全体像の把握を同時におこなえるようになる点にあります。製品の選定にあたっては、あらかじめ自社の債権・債務管理業務を十分に分析し、課題を明確にしておくことが必要です。
各製品は様々な特色を備えているため、この課題の洗い出しが不十分なままですと、どの製品がもっとも相応しいのか正しく判断することができません。
オンプレミスかクラウドかといった運用形態、販売管理や購買管理など他のサブシステムの連携機能、手形取引、ファームバンキング、外貨取引等への対応など、製品ごとの特色・機能をよく調べ、自社課題の解決にもっとも適合する製品・サービスを選択してください。