eラーニングの仕組みとは?
eラーニングは「学習管理システム」と「教材」から構成されています。
学習管理システム(LMS:learning management system)
学習管理システムとは、eラーニングの基盤となるシステムです。主な機能として、受講者の登録、教材の配信、学習進捗管理、テストの実施などがあります。教育の始まりから終わりまで管理しているのが学習管理システムです。
教育を提供する側は、学習管理システムによって受講者をモニタリングして、習得の遅れがちな者には督促メールを送信できます。理解を確認するために小テストを実施し、採点結果を返す機能が用意されています。レポートを集める機能や、教材をダウンロードする機能、掲示板・専用のコミュニケーションツール(電子メール)が装備されている製品もあります。
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教材コンテンツ
教材はeラーニングにおいては「コンテンツ」とも呼ばれます。教科書を電子化したもので、テキストや音声・画像・動画を効果的に組み合わせて作成するのが一般的です。テストも教材に含まれます。教材の品質がeラーニング導入の効果に直結することも覚えておきましょう。
わかりやすい教材であれば高い学習効果が期待でき、わかりにくい教材は逆となります。したがって、効果的な教材作成は、eラーニング導入企業の課題といえるでしょう。課題を解決するため、専用の教材作成ツールや教材作成を専門的に代行するサービスも現れています。
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eラーニングを導入するために必要なもの
eラーニングを実施する際には、主にハードウェア・ソフトウェアが必要です。
ソフトウェア
- 学習管理システム(LMS)
- LMSは受講者が教材を登録して講義を受けたり、学習結果を管理したりしてフィードバックを行うほか、受講者同士・講師と受講者間のコミュニケーションもできるシステムです。
- 教材コンテンツ
- eラーニングを行うためには、それぞれ学びたい分野の教材をLMSに登録する必要があります。この教材は、一般的なものならシステムにデフォルトで搭載されているものや、市販されているものもあります。自社のオリジナルコンテンツなどは、作成するか社外のプロにアウトソースも可能です。
ハードウェア
- LMSを動かすサーバー
- LMSを動作させるためのサーバーです。大規模なシステムを動かすなら、独立したサーバーの導入が好ましいでしょう。
- データ保管のためのサーバー
- eラーニングシステムの教材や、受講者の情報・成績情報などを管理するサーバーです。
- 受講者用の端末
- 受講者用のPCやスマホ・タブレットなどのハードウェアです。
eラーニングの機能を知りたい方はぜひ以下の記事をご覧ください。
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eラーニングに必要な準備についてさらに詳しく!
一覧で紹介した通り、eラーニングを導入するにあたって必要なものは「ソフトウェア」と「ハードウェア」です。ここではそれらを掘り下げ、詳しく解説していきます。
ソフトウェア:学習管理システム(LMS)
eラーニング実施に欠かせないもう1つの要素「eラーニングシステム」は、教材を配布するのに欠かせないシステムです。音楽CDだけあっても、再生装置がないと音楽が聞けないのと同様、「eラーニングシステム」がないと「eラーニングコンテンツ」は配信できません。
教材である「eラーニングコンテンツ」の配布や再生を行うとともに、受講者の成績を記録する役割を担うのが「eラーニングシステム」となります。
「eラーニングシステム」選定の際に知っておきたいSCORMとは?
SCORMとは、eラーニングを共通化するための標準規格です。「学習コンテンツの再利用性(reusability)」「アクセス可能性(accessibility)」「耐用性(durability)」「相互互換性(interoperability)」の規格を定めたものです。
SCORMは製品選定の重要ポイント
製品選定に際して、そのシステムがeラーニングの国際標準規格(SCORM)に沿っているかどうかが、1つの基準となります。
「eラーニングシステム」がこの規格に対応していることで、より多くのコンテンツを選択できるようになります。規格に沿っているシステムであれば、異なるLMS間であっても、コンテンツが互換性を持ち、幅広い分野から教材を選定できます。
製品の選び方はほかにも様々なポイントがあります。以下の記事でチェックしてみてください。
ソフトウェア:学習教材・コンテンツ
「eラーニングコンテンツ」とは、学習したい科目や内容の教材のことです。
その教材の入手方法は以下の3つが考えられます。
- ●市販教材を購入する
- ●外部業者に委託して作成する
- ●自社内で作成する
ではそれぞれ詳しく見ていきましょう。
市販教材を購入する
コンテンツベンダーから「市販教材を購入する」のがもっとも手軽でコストもかかりません。しかし、コンテンツの内容については一般的な学習内容が中心で、自社の業務に合わせてカスタマイズすることは難しいでしょう。
社外のプロのアウトソース
その点で「外部業者に委託して作成する」「自社内で作成する」という方法ならば、自社の学習内容に合った教材を作成できますが、コストや制作時間がかかってしまいます。特に「自社内で作成する」方法を採用すれば、自社の業務に最適な教材を作成できますが、より多くのコストと社内のリソースが必要です。
自社内で作成する
市販の教材を活用するとどうしても汎用的な内容になってしまいがちです。自社の業務内容に合わせて外注するとなると、費用もかかります。そこでeラーニングシステムの中には、自社で作成したオリジナルの教材をアップできる製品や作成機能の備わっている製品があります。
オリジナルのコンテンツが作成できる「eラーニング教材作成ツール」を活用することで、自社内でのコンテンツ作成を効率化できます。コストやリソースのためにも「eラーニング教材作成ツール」について調べておきましょう。
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ハードウェア:サーバー
サーバーは、オンプレミス型(自社に設置するタイプ)・クラウド型(自社に設置しないタイプ)と選択の幅があります。オンプレミス型は初期費用・運用費がかかります。クラウド型は従量課金制で使ったら使った分だけ費用が掛かりますが、メンテナンス・運用の必要性がありません。
規模が大きいシステムはオンプレミス・そうでないものはクラウドサーバーを使うといいでしょう。
ハードウェア:受講者用の端末
受講者用の端末は、自社で専用端末を用意する場合と、自前のものを利用する場合があります。
PCやタブレット端末は、会社が用意するケースが一般的ですが、スマホは自前のものにアプリを入れてeラーニングを行うという場合も多いでしょう。
今後のeラーニング活用とは
現在、人材の流動化が促進され、人材市場では優秀な人材の争奪戦が繰り広げられています。これは、採用コストの高騰につながります。そして、苦労して採用した人材の流出も会社が被る損失は少なくありません。このような状況の中、社員教育を見直し、充実させることには、2つのメリットがあります。
教育のフロー化
1つは、採用困難な優秀な人材ではなく、新卒を含む潜在能力の高い若い社員に充実した教育研修によって、優秀な人材に教育できる道筋を用意できることです。eラーニングはビジネスマナーやビジネスレターの書き方だけでなく、専門的な技能もわかりやすく・順序だてて伝えられ、高度な教育のフロー化に役立ちます。
社員が成長できる環境
もう1つは、社員が成長できる環境を作れることです。社員の成長を促すことは、会社の競争力の向上にもつながります。また、優秀な人材は「成長できる場」を求めて転職するケースが目立つといいます。高度な教育研修プログラムを整備することは優秀な人材の引き止め効果も期待できるでしょう。
そして、そのような高度な教育研修プログラムこそ、eラーニングが適している領域になります。自社で準備できなくても、外部の専門家に動画を含むコンテンツを用意してもらえます。
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