日本における外国人留学生採用の現状
日本で働いている外国人留学生の数は、どのくらいいるのでしょうか。ここでは、外国人留学生採用の現状を紹介します。
外国人留学生の採用は近年増加傾向
独立行政法人「日本学生支援機構」によると、平成30年度の外国人留学生は約30万人で、前年と比較すると12%増加しています。
法務省入国管理局によると、平成29年度に日本で就職するために在留資格変更の申請をした外国人留学生は約28,000人で、実際に在留を許可された数は約22,000人でした。前年と比較すると15.4%増加しています。
日本企業への就職を希望する外国人留学生の在留許可数が過去最高になりました。
これに伴い、企業側も積極的に外国人留学生を採用し始めています。株式会社ディスコによると、調査に回答した企業732社のうち大卒以上の高度外国人材を雇用した(または雇用予定のある)企業の割合は68.2%でした。
参照:
平成30年度外国人留学生在籍状況調査結果|独立行政法人 日本学生支援機構
平成29年における留学生の日本企業等への就職状況について|法務省入国管理局
「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査」
<2018 年 12 月調査> |株式会社ディスコ
背景には人手不足とグローバル化
外国人採用が増加したのは、少子高齢化による労働人口の不足に加え、企業のグローバル化が進行したためです。海外での事業活動が増え、外国人人材のニーズが高まり、外国人留学生を採用する企業が増えています。
外国人であれば、語学力を身に付けなくても外国人との交渉が可能です。
日本で就職したい留学生は多い
日本に就職したいと考えている外国人はなぜそのように考えているのでしょうか。
- 生活環境に慣れているから
- 外国人として日本語力をいかしたい
- 給与面
- 治安が良い
これらの理由から日本への就職を希望している留学生が多いようです。一番多い「生活環境に慣れているから」は、学生として長い期間日本に住むことで生活環境に慣れ、そのまま生活したいと思う留学生が増加することからそう考えるようです。
外国人留学生採用のメリット
外国人留学生を採用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
優秀で意識の高い人材を確保できる
外国人留学生は自国を飛び出してまで、海外で勉強しようとしている人たちです。そのため、優秀で意識の高い人材が多い傾向にあります。特にエンジニア領域には、能力が高い学生が多いようです。
これから徐々に労働人口が減る日本にとって、優秀な若手は大きな戦力となるでしょう。
海外進出時の大きな武器になる
海外進出しようとする企業にとって、異国の文化を理解している外国人留学生は貴重な人材です。その国の言語や文化習慣を知っていると、現地での交渉もスムーズに進むでしょう。その国の正確な情報を掴むことは、ビジネスを有利に進めるのに役立ちます。
新たなビジネスアイデアの創出につながる
日本とは異なる文化で育ってきた外国人留学生は、日本人では思いつかない新たなビジネスアイデアを提供してくれる可能性があります。外国人の発想を取り入れることで、従来よりも活発に議論できるようになるでしょう。
また、海外発祥のサービスを日本人向けに販売するときなどにも活躍してくれます。
外国人留学生採用時のポイント
外国人留学生を採用するときは、以下のポイントをしっかり押さえましょう。
就労ビザの手続きをサポートする
就労ビザは、外国人留学生が日本で働くために必要なものです。ビザを取得させずに働かせれば、不法就労助長罪にあたり、採用した企業も処罰を受けます。ビザを有効期限内に更新しなかったときも同様です。外国人留学生を採用するときは、「入管法」(出入国管理及び難民認定法,2019年4月改正)の内容をしっかりと把握しておきましょう。
就労ビザの申請から認可がおりるまで、3ヶ月程度かかります。手続きは専門の行政書士に依頼するのもいいでしょう。
在留資格の変更申請は、「外国人留学生本人」「外国人留学生の法定代理人」「取次者」のみができます。法定代理人による申請は、外国人留学生が16歳未満であるときのみです。取次者とは、「地方入国管理局長から承認を受けた者」「地方入国管理局長に届け出た弁護士または行政書士」などが該当します。
外国人にとって快適な社内環境を整備する
異なる文化・慣習を持った外国人にとって、日本での就業は負担になりやすいです。
外国人留学生を受け入れる場合は、外国人が働きやすい環境を整備しましょう。日本語研修やマナー研修などを実施し、日本で働く上で必要なスキルを身に着けてもらいます。
上司との定期的な面談を実施し、仕事上の問題をその都度解決していくことが大切です。採用目的を明確にし、一緒に働く日本人社員の了解も得ておきましょう。現場で働く日本人社員が受け入れる意識を持つことで、スムーズに仕事を進められます。
宗教上の配慮や人事評価の透明性を高めることも必要です。
労働条件を明確にしておくこと
外国人労働者でも日本人労働者と変わらず、労働基準法を遵守することとなります。書面提示など法律に則り契約をおこなってください。また、相手は日本語ネイティブではないので、口頭で契約条件を伝える際はニュアンスの違いなどに特に気をつけるようにしてください。
労働契約などに関する法律に関しては下記の記事で詳しくまとめていますので、そちらをご確認ください。
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外国人留学生には優秀で意識の高い人材が多く、社内に新しい刺激を与えてくれます。
国内の労働人口不足に加え、グローバル市場への進出を視野に入れている企業にとって大きな戦力となるでしょう。採用に際し、就労ビザの管理を企業がサポートし、外国人が働きやすい環境を整備しましょう。
社内の受け入れ態勢を整え、外国人留学生の能力を積極的に活用してください。