ERPとは?
ERPとはもともと資材所要量計画(MRP)から派生した概念・管理手法のことを指しますが、現在では企業の基幹業務システムを指すことが多くあります。
企業の情報戦略において欠かせない存在
ERPのメリットは「情報の一元管理」にあります。ERPを企業内へ導入することにより、経営の基本である人やモノ、金、情報といった資源を有効活用することへ繋がります。そのため、ERPは今後の成長を狙う企業にとって、情報戦略に欠かせないシステムとなっています。
ERPの導入形態
ERPを導入する上で把握しておかなければならないポイントの1つに、導入パターンが挙げられます。具体的にどのようなパターンがあるのか見ていきましょう。
導入パターンは大きく分けて2つ
導入パターンには大きく2種類あります。どちらも企業内で扱っている情報やデータを適切に管理するために必要な導入パターンとなっています。次の段落からはそれぞれのパタ
ーンにおける基本的な情報と特徴について解説します。
オンプレミス型
オンプレミス型とは自社に用意したサーバの中へ専用のソフトウェアをインストールし、社内で運用しているデータやシステムの管理を行う形態パターンです。自社の設備を利用して運用する形態パターンとなっているため、システムの自社構築という意味を指すこと
もあります。
クラウド型
クラウド型はインターネットを利用したネットワークを介し、ERPを提供するベンダーのサーバへ接続しシステムを利用する導入パターンです。システムを利用する企業の社員は
社外にいながら、手元のパソコンやスマートフォンなどの端末でシステムを利用できます
。データ管理やシステム保守を行う企業にとっては主流となっています。
オンプレミス型・クラウド型ERPを比較してみよう
ERPを導入する前にはオンプレミス型とクラウド型、それぞれのメリット・デメリットを把握して、どちらを利用するのか判断するようにしましょう。把握しておくことで、システムをより有効的に利用することができます。
オンプレミス型のメリット
オンプレミス型にはセキュリティ面やカスタマイズ性においてメリットがあります。これらはシステムとしての使いやすさや安全に社内のデータを守るためにも必要なポイントと
なっています。この段落ではそれぞれのメリットに関して解説します。
セキュリティが堅牢
オンプレミス型は社内に設置されたサーバを利用しているため、外部へ情報が漏れる恐れやネットワークを経由して侵入してくるウイルスなどのリスクが低くなっています。また
、オンプレミス型は社内のセキュリティポリシーに対応した環境を構築し、必要に応じて対策を取ることも可能です。
自社運用なのでカスタマイズ性も高い
オンプレミス型は自社運用なので、システム環境を全て独自に構築することができます。つまり、利用するシステムを自由にカスタマイズできるということです。社内環境や業務に応じてシステムをカスタマイズすることで、よりERPを有効活用することに繋がる他、どの社員でも使いやすい環境に構築できるようになっています。
また、現場からの声(使用しづらい、使っていない無駄な機能がある等)をすぐに反映
することも可能で、より社内環境に適応したシステムへと作り上げることができます。
オフライン環境でも利用可能
自社のネットワークのみを利用しているため、インターネットに関する障害(社外ネットワークへの接続不可や通信速度が遅くなる等)が発生したとしても、システム自体が止
まることはありません。そのため、安定したシステムの利用が可能となっています。
オンプレミス型のデメリット
オンプレミス型にもデメリットがいくつか存在します。特に、コスト面や導入時に必要な期間などは事前に確認しておかなければ、後のトラブルに発展する恐れがあります。あら
かじめ対策を取っておくためにも確認しておきましょう。
初期・導入のコストが高い
社内へのサーバ設置や社内ネットワーク環境の構築など、オンプレミス型の導入にはさまざまな準備が必要です。これらにはある程度のコストが必要で、ハードウェア関連の設備
だけでも100万円以上かかるケースが存在します。これに必要なソフトウェアをインスト
ールすることを含めると、100~200万円程のコストが発生する可能性があります。
予定していたコストをオーバーしないかどうかを検討して、どのような設備が必要なのかを確認することが大切です。
システム構築に時間を要する
オンプレミス型導入のために社内環境を構築していくには、ハードウェアや必要なシステムを事前に用意する必要があります。しかし、これらを設置し運用していくには環境に合
わせた設定をしなければなりません。実際に稼働するまでには1ヶ月以上の期間を要する
こともあります。
必要なタイミングですぐに稼働しはじめることができないため、早急にシステムを利用したいと考えている場合は適応できないことを把握しておきましょう。
クラウド型のメリット
クラウド型には社外へのネットワークを利用してシステムを利用するという特徴を活かしたメリットがあります。オンプレミス型とは違ったメリットとなっているため特徴を把握
して、導入時の判断材料にしましょう。
低コストですぐに導入が可能
クラウド型の場合は社内へのサーバ設置やネットワーク構築をする必要がないという特徴により、導入時のコストがほとんどかからないというメリットがあります。導入時に発生するコストは、システムを提供しているベンダーへの登録料や使用料などを支払うのみとなっているため、数千円~数万円程度です。
また、クラウド型を導入する際の手間は提供されているサービスへの登録や、ベンダーのサーバへログインするためのアカウント作成で完了します。そのため、利用するサービスの中には登録した当日から利用開始できる種類もあり、スピード感のある導入ができます。
システムの運用・管理業務が不必要
クラウド型は社内に環境を構築している訳ではないため、システム自体の運用や管理業務はベンダーに全て任せることができます。つまり、システムを利用する企業は社内の業務
にのみ集中することが可能です。
また、運用・管理する上で必要になる専門的な知識を持つ社員を用意する必要もないことで、余計なコストを省くことにも繋がります。
クラウド型のデメリット
手元にシステム環境がないクラウド型には特有のデメリットが3つあります。
ここからはそれぞれのデメリットに関して解説していきます。しっかり対策を立て、導入後に運用できなくなるようなトラブルを防ぐためにも確認しておきましょう。
オンプレミスと比較するとセキュリティに懸念
クラウド型はネットワークを介してシステムを利用するという特徴があることで、本来社外秘であるはずのデータを外部のサーバへ保管することになります。そのため、情報漏え
いやウイルスの侵入といったセキュリティ面に関する不安が出てきます。
この導入パターンを利用する際はサービスを提供しているベンダーのセキュリティ要件を確認し、本当に問題がないかどうかを判断することが大切です。
従来のオンプレミス型に比べてカスタマイズが難しい
ベンダーから提供されるシステムを利用するクラウド型は、機能のカスタマイズを独自に行うことが難しいというデメリットがあります。ベンダーによっては自社の社内環境や業
務に応じてカスタマイズを行ってくれるところもありますが、余計なコストの発生や使用
製品が限定されるといった問題が発生します。
これらの問題に関する対策としては、自由にカスタマイズできるERPを事前に選定しておくことです。カスタマイズできる幅が広いERPであれば、社内環境や業務に合わせやすくなります。
インターネット環境がないと利用できない
社外からでも利用できるクラウド型ですが、インターネット環境がなければシステムを利用することができません。ネットワーク環境に関する何かしらの障害が発生した場合、シ
ステムの稼働が停止する恐れもあります。
そのため、インターネットインフラには注意を払い、システムが停止したとしても問題なく運用できるよう、予備のインフラを準備しておくことが大切です。
ERPの選定ポイントをおさえておこう
ERPを導入する際は選定ポイントを押さえて、社内環境に合わせた運用ができるようにしなければなりません。
目的を明確化すること
ERPの導入に関して、まず考えなければならないポイントは導入の目的です。このポイントが明確になっていなければ導入前の課題を解決することや、経営戦略に沿った運用がで
きなくなる恐れがあります。
また、目的を明確にする際は業務や経営を効率化させることを意識することが大切です。これらを意識していなければシステムのメリットや特徴を十分に活かしきれない可能性がある他、本来の目的が達成できないこともあります。
自社の業種・業態によって最適なERPを選ぶ
業種・業態によって最適なERPは異なります。業種・業態ごとに効率化しなければならない業務や課題が異なるため、製品内における単一機能の検討だけではなく、それらに対応
するERPの機能を選別して導入しなければ本来の能力を発揮することが難しくなってしま
います。ERPの導入を検討するときは特徴や強みなどを把握して選別するようにしましょ
う。
セキュリティ対策を確認する
セキュリティ面はERPの導入にあたって確認しておかなければならないポイントの1つです。ERPを導入すると、これまで分散していたデータを一箇所に集め運用することになります。
データが集約するということは情報漏えいが発生した場合、全てのデータが社外に
出てしまうことに繋がります。このようなトラブルを防ぐためにも、セキュリティ面に問
題がないかを十分にチェックすることが大切です。
サポート体制は充実しているのか
ベンダーのサポート体制が充実していることで導入後に起きたトラブルをすぐに解消できる他、トラブルを未然に防ぐ効果にも期待できます。そのため、ERPの導入にあたってはヘルプデスクや機能改善、といった対応をベンダーに取ってもらえるのか確認しておきま
しょう。
具体的に製品を比較してみよう
ERPの製品はいくつも販売されており、それぞれ異なった特徴を持っています。導入を検討する際は具体的に製品同士を比較し、どれが最も自社に適しているのか選別することが
大切です。
導入前に押さえたい注意点!
ERPを導入する前にはいくつかの注意点を押さえておきましょう。まず、社内のネットワーク環境やサーバなどのインフラ整備の他、導入後の運用にかかるコストを確認します。
インフラ整備が整っていなければ運用時にトラブルが起こる可能性があります。さらに、
インフラ整備にかかるコストの他、自社運用のERPの場合は人件費などのランニングコス
トも発生します。
また、セキュリティ面に関しては安定的な運用を続けるためにも、特に注意しなければなりません。中でも、オープンソースソフトウェアの製品を利用する場合は、セキュリティ
における脆弱性なども把握しておく必要があります。
クラウド・オンプレミス対応のERP比較9選
ITトレンド編集部おすすめのERP製品をご紹介します。是非参考にしてください。
GRANDIT(グランディット)
GRANDIT株式会社
- check基幹業務を超えて全てを統合した比類なきオールインワン
- check多彩な業務ノウハウを集大成させた次世代コンソーシアム方式
- check幅広い企業規模や業種に対応する、すぐれたフレキシビリティ
組立製造業、商社・卸売業、情報サービス業、サービス業、プロセス製造業、小売業、建設・工事業など様々な業種の様々な企業へ導入実績があり、拡張性が高いERPパッケージです。
ユーザー系のSI企業を中心にコンソーシアムを立ち上げ本パッケージを作り上げているため、各社から集めた多彩な技術と業務ノウハウと経験が集結されています。工事進行基準への対応や内部統制、標準プロセスの導入による業務改革、精密な予実管理による経営分析などといったソリューションを実現することができます。
Microsoft Dynamics 365 Business Central
株式会社パシフィックビジネスコンサルティング
- check世界196カ国で22万社以上の導入実績!(2018年9月時点)
- check多言語・多通貨対応のグローバルERPソリューション
- check複数拠点展開に最適な統合型ビジネス管理ソリューション
中堅中小企業に向けた 財務・販売・仕入・倉庫・生産・サービス・リソース管理等の機能を備えたERPパッケージで、全世界で16万社以上の導入実績を誇ります。初期画面は、業務別に異なる画面が21パターン搭載されており、必要な機能へ簡単にアクセスし業務を効率化することが可能です。
また、カスタマイズが容易で自社で運用メンテナンスでき、さらにクラウドを活用すれば自社サーバの構築・運用も不要です。さらに、同時接続ライセンスの形態であり、低コストで利用できます。多言語・多通貨に対応しており、グローバルに展開する大企業が子会社や海外拠点用に利用する事例も多くあります。
- check受注前の見込案件から登録。精度の高い売上・利益予測を実現!
- check部門・顧客・案件などセグメント別の「原価・利益を”見える化”」
- check販売累計14万ライセンス!ベンチャー・上場企業まで豊富な実績
販売・購買・在庫・勤怠・工数・工程経費などの管理に加えて管理会計や経営モニタリングの機能も備えたクラウド型ERPで、500社を超える販売実績を有します。プロジェクト工程管理機能では、ガントチャートにより作業工程を一元管理でき、進捗を見える化することで納期遅延を防止することができます。
また、経営モニタリング機能では、プロジェクトや部門の収支を常にモニタリングすることでスピーディーな経営管理を可能とします。その他にもプロジェクト管理機能や管理会計レポート機能など様々な機能を持ち、経営と業務の効率化に貢献します。
- check会計軸のERPが、業務統合から経営意思決定支援までフルカバー
- check豊富なソリューションの全てを自社運営クラウドで提供
- check自社開発・直接販売・自社一貫体制で、将来の安心をお約束
累計で20,000社を超える導入実績を持ち、16年連続でERP累計導入社数シェアNo.1を誇るERPソリューションです。会計、人事情報、給与情報、就業情報、販売情報、生産情報、経営分析の7種のラインナップを有し、様々な業種・業務に向けたソリューションと連携することにより、お客様それぞれに最適な業務統合を行い、業務の効率化を実現します。
また、セキュリティ管理やワークフロー、共通のマスタ管理などの基本情報が情報基盤上で一元的に管理されており、連携性や拡張性を備えていることも特徴的です。全てのシステムがクラウドでの導入にも対応しています。
「Galileopt NX-Plus」
株式会社ミロク情報サービス
- checkIT業務処理統制の実現と、経営資源の最適化をしたい企業
- check経営の効率化をはかりたい企業
- checkPDCAサイクルをダイナミックに動かす「マネジメントシステム」
財務を核としたマネジメントシステムとして、企業の業務最適化をサポートするERPです。業務効率化はもちろんのこと、経営情報の可視化・ワークスタイルの変革・高度な経営計画・内部統制の強化などに貢献します。
財務、販売、債権債務、給与、人事、資産管理、工事といった機能に加えてフロントオフィス機能を有します。フロントオフィス機能は、ERPの情報を一元管理するDWHを核として、自由に設計できる入力画面やシュミレーション機能を備えたワークフロー、権限・役割に合わせたポータル画面、経営状況のモニタリングやリアルタイム分析など、様々な機能を搭載しています。
- checkクラウドでスモールスタート、短期導入が可能
- check販売管理業務のフル機能活用も部分機能の活用も可能
- checkその他のクラウドサービスとも連携し新たなハブERPを実現
フルWebアプリケーションであることから、インフラを選ぶことなく様々なクラウドサーバーへの導入が可能で、販売管理から生産管理までの業務をサポートするクラウドサービスです。NX会計との連携により、統合ERPとして活用することも可能です。
また、ERPが保有する取引先や商品データをベースに、モバイル、BIなどと連携し、情報をインテグレートすることもできます。必要な機能だけをピンポイントで利用できるため、既存のシステムでは不十分な機能を補完するシステムとして、すぐに部分利用をスタートするといった使い方も可能です。
Dynamics 365 for Finance & Operations
株式会社パシフィックビジネスコンサルティング
- check様々な業種業態とグローバル対応
- check事業の成長や変化に合わせた、拡張的な導入が可能
- checkPower BIが組込まれ、全社員が経営情報を活用できます
グローバルな財務と業務を一元化することで、データに基づいた判断をスピーディーに下すことを可能とするシステムです。財務のパフォーマンスを強化させることができる特徴として、タスクの優先順位をつける機能や自動化機能、Office 365 アプリケーションと統合することを可能にする機能などがあります。
また、財務プロセスを自動化し、債務・予算計画/管理などビジネス全体で運用コストを削減することも可能です。また、有機的に連携したオペレーションによってスマートな業務運用を実現したり、サプライ チェーンを自動化・合理化させることもでき、ビジネスの成長を加速させることに貢献します。
中堅企業向けInfiniOne ERP
FutureOne株式会社(英文表記: Future One, Inc.)
- check40年にわたる実績・ノウハウを凝縮
- check全体最適による業務の迅速化・効率化、正確性の担保
- check食品製造/小売・総合商社向けなどの業務テンプレート
国内の商慣習に対応した中堅企業向けのERPパッケージです。営業・生産現場で発生する日々の活動記録を、発生の都度仕訳データに変換することでリアルタイム経営を実現します。また、販売、購買、債権債務、生産、原価、会計、貿易、在庫管理を全て搭載し、一元的に管理します。
そのため、部門間の処理を迅速・効率化し、正確性の向上を促すとともに、全社レベルで全体最適を実現できます。基幹業務のプラットフォームを自社で実装しているため、、システムの導入からサポートまでをワンストップで提供できます。
「Infor SyteLine」
京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)
- checkグローバルで製造業を中心に6,000社以上の導入実績!!
- check国内外の生産拠点の統合管理を実現し、企業力強化!!
- check自社運用が可能なカスタマイズ性と容易なバージョンアップ!!
海外拠点へのシステム導入や、国内・海外共通での情報管理を行いたい企業に向けたグローバルERPパッケージです。20言語を超えるマルチ言語対応や、使用取引通貨数に制限のないマルチ通貨対応、企業での拠点・工場・物流センタごとなど組織に合わせてマルチサイトによる複数拠点の連携などの機能によりグローバルでの利用をサポートします。
その他、案件を営業活動からサポートまで顛末管理できる機能や、従来の部品表に工程情報を加え、統合部品表として設定できる機能などを有します。
以下の記事では特徴別にERPをご紹介しています。自社に必要な機能や仕様から自社に合う製品を見つけてください。
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2019.11.28
ERPを種類・業種・提供形態で徹底比較!これで最適な製品が選べる!
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まとめ~ERPの選定は慎重に~
ERPの運用を検討する際は、自社の環境や目的に合った製品を選んで導入することが大切です。ERPによって影響を受ける業務は多岐にわたるので、導入する際は慎重に行いましょう。
もし、製品に関して不明な点や不安に思うことがあれば、無料で資料請求することも可能です。