給与計算の仕組みを知ろう!
言葉ではなんとなくわかっていても、どのような項目でいくら引かれているのかわからないという方も多いと思います。まずは、給与計算の仕組みについて理解を深めていきましょう。
給与計算をするうえで必要なのは、主に以下3つです。
- 1.給与計算の方法や諸手当などが定められた「給与規定」
- 2.基本給の金額や手当の額に関連する家族構成などの「人事データ」
- 3.勤務時間や残業状況を把握するための「勤怠データ」
給与額は、主にこれらのデータをもとにして社員ごとの総支給額を算出し、そこから社会保険料や住民税などの税金控除や残業代などの増額賃金などを考慮して導き出されます。
給与計算で使われる用語を詳しく解説
給与計算の仕組みにおいて頻出する用語について説明していきます。
「支給」とは
雇用契約により定められた基本給や、交通費、住宅補助などの諸手当などを含めて、企業から従業員へ給与が支払われることです。
「控除」とは
社員が必ず支払わなければならない「厚生年金保険料」や「健康保険料」などの課税対象外の項目が、総支給額から引かれることを指します。
「勤怠」とは
その月にどれくらい出勤し、働いたかのデータを指します。ここには休日労働などの時間外労働手当も含まれており、この時間外労働時間には通常よりも高い金額の時給を支払わなければなりません。
支給額の内訳・種類を解説
給与支給の詳細について見ていきましょう。
基本給
基本給とは基本賃金のことで、勤続年数や役職などの階級などに応じて決められます。時間外手当や役職手当などの各種手当は一切含まず、企業で定めた給与規定に則って算出されます。
時間外労働手当
時間外労働とは、労働基準法32条に定める1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えた勤務時間のことで、ここに対して支払われる手当を時間外労働手当と言います。残業代、残業手当など、企業によって呼び方は変わります。時間外労働手当は、通常の労働賃金よりも割増して支払わなければなりません。
資格手当
業務に活用できる資格を保有している社員に対して支払われる手当のことです。毎月の給与に上乗せされて支払われる資格手当と、資格取得時に一時的に支払われる合格報奨金などがあります。
住宅関連手当
従業員の住宅費用を企業が補助する手当のことです。賃貸物件の家賃を負担する場合と、住宅ローンの返済を補助する場合の2つがあります。支払われる金額は企業によって異なります。
出張手当
出張の際にかかる滞在費や交通費などの経費や慰労に対して企業が支払う手当のことです。出張では、移動や宿泊費などの他に現地での食事など様々な雑費が生じます。一般的にこれらの雑費は経費として処理されないことが多いため、出張手当として支給されることがあります。
控除額の内訳・種類を解説
ここでは、給与計算に必要な控除の種類について詳しく見ていきましょう。
労災保険
労災保険とは、業務や通勤中に生じたケガや病気に対して保険給付をおこなう制度で、すべての社員が適用されます。保険料は事業主が全額負担するため、給与計算では控除はおこないません。
雇用保険
失業したときや雇用継続が難しくなった際に安定した生活や雇用を実現するために給付される制度です。この保険料は、決められた保険料率に則って事業主と社員でそれぞれ負担します。
住民税
住民税とは、1月1日時点で居住している地域に収める税金のことです。本来は社員が各自手続きして支払うべきものですが、企業が給料から控除することで徴収されています。
所得税
各社員の所得に応じて課される税金のことです。住民税と同様、本来は社員本人が支払い手続きをするべきものですが、企業が代わりに給料から控除しています。
厚生年金保険料
厚生年金とは、企業で働く人が加入する公的年金のことです。保険料は標準報酬月額に 保険料率を掛け合わせて算出され、事業主と社員で折半負担となっています。
健康保険料
健康保険とは、厚生年金と同じく企業で働く人が加入する医療保険のことです。加入することで、病気やケガでの出費における自己負担額が軽くなります。
介護保険料
介護を必要とする高齢者などの治療費を支援するために、40歳以上の人が加入している保険のことです。被保険者となる社員の保険料を、企業が給料から控除しています。
給与の計算方法を解説
給与計算を行う際には、「総支給額」と「控除額」の2つを算出する必要があります。
- ■総支給額の計算方法
- 総支給額=基本給+時間外手当+各種手当て
- ■控除額の計算方法
- 控除額=住民税+社会保険料+源泉所得税+その他控除
よく「手取り」と言われるのが、控除額を引いた実際の支給額を指します。計算式は次のとおりです。
差引支給額(手取り)=総支給額-控除額
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必要書類を自動で作成・送付
社員名と書式を選択するだけで、給与明細や各種帳票を自動で作成・送付することができます。
雇用体系や労働形態に柔軟に対応
人事システムと連携したり事前に情報を登録しておくことで、雇用体系や労働形態が違っても柔軟に対応でき、一人ひとりに合わせて自動計算することが可能です。
人的ミス防止
給与計算業務は、勤怠データの集計から年末処理まで多岐にわたります。これらを人の手でおこなうと、どうしてもミスが起きやすくなってしまいます。給与計算システムを導入することで、煩雑な作業をシステマティックにおこなえるため、人的ミスの防止につなげることができます。
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