リモートアクセスとは?
リモートアクセスとは、一体どのような概念なのでしょうか。まずはリモートアクセスについて詳しく見ていきましょう。
社外のデバイスから社内のパソコンに接続すること
リモートアクセスとは、スマホやタブレット・ノートパソコンといった端末を使用して外部から社内のパソコンに接続することです。それにより、外からでも社内のネットワークやデータベースを閲覧したり、ファイルを編集することが可能です。
近年はVPNを利用するのが一般的
リモートアクセスを行う方法はいくつかありますが、近年はVPNして接続するのが一般的なやり方です。VPNは「バーチャルプライベートネットワーク」の略であり、VPNを構築することで外部デバイスと社内のパソコン間に仮想的な専用線をひくことができます。それを利用すれば、あたかも会社にいるような感覚で社内のネットワークやデータを参照することができるでしょう。
非常に利便性の高いVPNですが、その中にもいくつかの種類が存在します。以下、VPNの種類について詳しく解説します。
拠点間経路にネットを使うインターネットVPN
拠点間の経路にインターネットを含む接続を「インターネットVPN」と呼びます。アクセス網に一般的なADSLやFTTHのようなブロードバンド回線を使用できるため、導入の手間やコストを低減できるのが特徴です。
反面、汎用的なインターネット回線を使用するため、場合によっては十分な通信速度を保てないケースが生じます。加えて、閉鎖的な回線に比べるとセキュリティのレベルが落ちてしまう可能性もあるでしょう。
ネットワークの品質保証がされるIP-VPN
「IP-VPN」は一般的なインターネット回線ではなく、通信事業者が独自に有する回線を使って通信を行います。そのため、回線の安定性や秘匿性に優れており、常時安定した通信を行うことが可能です。しかし、その分導入の手間やコストがかかってしまうところが難点です。
リモートアクセスが注目された背景
リモートアクセスは確かに便利ですが、注目されているのは技術的に優れているからだけではありません。ここでは、リモートアクセスが注目されている時代背景について解説します。
ネット環境が手軽化
一昔前はインターネットといえばパソコンで行うのが主流でした。インターネットに接続するためにはモデムやルータと呼ばれる専用の機器を使い、接続業者から指定された通りに接続設定を行う必要がありました。
しかし、現代はスマホを利用すれば瞬時にインターネットに繋ぐことができます。そして、昔に比べるとインターネット接続に要するコストや手間が減少している反面、通信は高速化しています。
「インターネットに高速で繋がっている状態が当たり前」といった現代だからこそ、リモートアクセスに注目が集まっているのではないでしょうか。
働き方の多様化
現代は「働き方改革」や「人手不足」が叫ばれており、企業は顧客満足だけでなく従業員満足も追求する必要が生じています。そのため、今までは当たり前だった「毎日会社に出社する」という常識を覆し、働き方の多様化を実現しようと試みている企業も多いのではないでしょうか。
そのために必要なのがリモートアクセスを始めとする各種技術です。リモートアクセスを導入することで外から社内のデータにアクセスすることができ、業務の効率化や多様化が促されるでしょう。
加えて、何らかの理由で出社できない人を確保すれば、人手不足対策にも繋がります。
リモートアクセスのメリット
リモートアクセスを導入するメリットは数多くありますが、大まかなものとしては以下の通りです。詳しく見ていきましょう。
メリット(1)社外PCから社内ネットワークへのアクセスが可能
リモートアクセスを行えば、社外からも社内ネットワークにアクセス可能です。それによる恩恵は「業務効率の改善」という一語で表すことができるでしょう。
一例としては、取引先を訪問する際に社内データの参照が必要な場合が挙げられます。もちろん、社内であらかじめ資料を作成して持参してもよいのですが、それだと余計な手間やコストがかかってしまいます。
リモートアクセスが導入されていれば、社内データをそのまま提示することができるでしょう。他にも、在宅勤務が可能になったり、出先で報告書をまとめたりすることもできます。
メリット(2)多種多様なデバイスからの接続が安全
VPNを構築したリモートアクセスを行えば、多種多様なデバイスから社内ネットワークに安全性の高い接続を行えます。ユーザーは出先からスマホやタブレット・windows10やMacOSを搭載したノートパソコンなど、自分の都合のよいデバイスを活用してリモートアクセスサーバに接続することが可能です。
セキュリティ面に関してはVPNの種類によって差が生じますが、何の対策もせず接続するよりは余程安全です。しかし油断は禁物になるため、ネットワークに不審な外部アクセスはないかをチェックしたり、ユーザーの限定性を高めるなどの工夫を怠らないようにしましょう。
メリット(3)社外へのデータ持ち出しリスクが減少
リモートアクセスを導入すれば社外からでも内部のデータを閲覧可能です。そのため、社外へのデータ持ち出しリスクを減少させることができるでしょう。
機密情報が社外に漏れる経路として、従業員が直接データを持ち出すというものも考えられます。
その場合、いくら外部対策を行っても防ぐのは難しいのではないでしょうか。
少々極端な話になりますが、リモートアクセスを導入してデータの持ち出しを一切禁止するという手もあります。一般的にリモートからのアクセスは全てログが残るため、誰がどのタイミングで情報にアクセスしたかを追跡することができるでしょう。
メリット(4)担当者の出張コストが削減
リモートアクセスを導入すれば、担当者の出張コストを削減できる可能性があります。リモートアクセスの強みは「当人がその場にいなくとも作業できること」なため、作業内容によっては担当者が現場に出向く必要性を下げることができるでしょう。
従業員の移動を抑制することができれば、それにまつわる各種コストの削減に繋がります。そこには出張費はもちろん、交通費や各種手当も含まれるのではないでしょうか。
リモートアクセスツールの機能
リモートアクセスを導入する際にはリモートアクセスツールを使うのが一般的です。ここでは、リモートアクセスツールに搭載されている各機能について解説します。
機能(1)社外から社内のパソコンを操作できる
リモートアクセスツールを使えば、社外から社内のパソコンを操作できます。それにより、出先や自宅から会社内にあるデータを閲覧・編集することが可能です。
また、リモートアクセスによる遠隔操作で保守やメンテナンスを行うこともできるでしょう。ノートパソコンだけでなく、スマホやタブレットからも遠隔操作を行うことができます。
機能(2)社外のデバイスと社内のパソコン間でファイルを転送できる
リモートアクセスツールを活用することで、社外のデバイスと社内のパソコン間でのファイルのやり取りが容易になります。互いに必要なファイルのみをダウンロード・アップロードできるため、余分なデータの持ち出しを抑制できます。
万一「ファイルを持ってくるのを忘れてしまった」というような場合でも、即座に対応できるでしょう。
機能(3)社外から社内パソコン内のメールが読める
リモートアクセスツールを利用すれば、社外から社内のパソコンに届いたメールやメッセージを閲覧できます。閲覧したメールに対する返信も外部から行うことが可能なため、コミュニケーションの速度を上げることができるでしょう。
特に、出張や外出の多い職種の場合は大幅な業務効率化が期待できます。
機能(4)不正アクセスを防止するセキュリティ対策がある
リモートアクセスを行う際に気になるのはやはりセキュリティ面。社外からのアクセスを許可すればするほど社内ネットワークのセキュリティレベルは低下するのが一般的です。
しかし、リモートアクセスツールにはセキュリティを高めるさまざまな機能が搭載されています。一例としては、IDとパスワードによるユーザー認証や指紋認証、端末固有情報や電子証明書の取得、暗号化通信などが挙げられるでしょう。
セキュリティを高めるために、ネットワークを内部で完結させ外部からのあらゆるアクセスを遮断するという手もあります。しかし、それでは利便性が犠牲になってしまうため、両者のバランスを上手く取り、自社の業務に最適なポイントを探るのが重要です。
リモートアクセスの活用シーン
ここでは、リモートアクセスの活用シーンについて解説します。リモートアクセスは、どのような場面で真価を発揮するのでしょうか。
社外から容量の大きいデータの送受信を行う
外から容量の大きいデータを送受信したい時はリモートアクセスを活用しましょう。社外からデータの受け渡しを行う際はメールなどを活用するのが一般的ですが、容量制限が設けられている場合も少なくありません。
リモートアクセスにはそういった制限は設けられていないため、大きなファイルの受け渡しに適しています。ただ、一般的なインターネット回線を使用している場合、回線状況によっては通信が重くなってしまうケースも考えられます。
外出先から社内のデータを更新する
外出先から社内のデータを更新する際にもリモートアクセスは効果的です。リモートアクセスの利点は「外から内部のデータを閲覧・編集できる」ことになるため、本旨に沿った使い方といえるでしょう。
一例としては、取引先との商談を終わった直後にまとめて報告したり、グループウェアに必要な情報を記載するなどが挙げられます。外出が多い従業員の業務効率化に加え、情報のリアルタイム性を高める効果も期待できるのではないでしょうか。
リモートアクセスを利用して、より生産性の高い仕事をしよう!
リモートアクセスは、社外から内部のネットワークに接続できる技術です。それにより、出先や自宅から社内のデータを閲覧・編集できるようになり、業務効率化に繋がることが期待できます。
リモートアクセスは企業だけでなく大学などでも活用されています。大学の関係者であればリモートアクセスサービスに接続し、データベースやジャーナルを閲覧できる仕組みです。特徴やセキュリティリスクについてしっかりと学び、リモートアクセスを活用して「働き方改革」に備えましょう。