リモートアクセスツールの5つの選定ポイント
リモートアクセスツールには、さまざまな提供形態があり、また特徴によってはセキュリティの強度や利便性も異なります。検討する際に押さえておきたい選定ポイントを見ていきましょう。
選定ポイント① 「接続先」
リモートアクセスツールを活用して、どこに接続させたいのか、を考えましょう。社内のサーバにアクセスしたいのか、それとも、社内のパソコンにアクセスしたいのか、は大切な検討ポイントです。

サーバーアクセス型
サーバーアクセス型は、外出先から直接社内サーバにアクセスできます。社内でノートパソコンを使用していて、そのまま社外に持ち出すようなパターンにおすすめです。
ただし、データをクライアント側(ユーザー側)にダウンロードできてしまうので、情報漏えい対策が必要になるので注意しましょう。
クライアントアクセス型
クライアントアクセス型では、直接サーバにアクセスできる権限を端末ごとに付与します。社内に固定されたデスクトップパソコンがあって、台数が少ない場合、または、経営層やシステム部門など、一部のユーザーだけが使用する場合に適しています。
この場合、アクセスしたい社内パソコンの電源を、遠隔地からONできる仕組みが必要です。
選定ポイント② 「接続タイプ」
リモートアクセスツールの接続タイプは3つに分類されます。

社内LAN延長接続タイプ
社内LANと端末の間に暗号化したトンネルを張り、VPNで社内サーバに接続します。これにより外出先の端末上で、社内LAN端末と同じような環境を実現できます。社外から会社のファイルをダウンロードしたり、基幹システムやメールサーバを利用したり、リモートデスクトップなどでリモート操作したりできます。
社内システムの大半を利用できることになるのでメリットは大きいですが、その分、高速な通信回線や情報漏えい対策は必要です。
Webアプリ限定接続タイプ
Webアプリのみに接続し、ブラウザ対応のパソコンやスマートフォンなどで接続できます。PCやモバイル端末から社内のWebシステムにアクセスする場合に役立ちます。
Webアプリによっては接続できないものもあるので、事前に検証しておくとよいでしょう。
PC遠隔操作タイプ
外出先のPCから社内PCに接続して、画面やマウス、キーボードなどの情報を転送して、遠隔操作します。社内サーバにアクセスして基幹システムなどを利用でき、シンクライアントとしても利用できます。
低速な通信回線でも社内システムの大半を利用できるのがメリットですが、社内PCの電源をONにする仕組み整える必要があります。
選定ポイント③ 「課金モデル」
リモートアクセスツールで代表的な課金モデルは「従量課金制」です。利用者の数、使った分だけ課金されます。従量課金の反対は、定額課金で、毎月固定の支払い金額が発生します。
従量課金制では、リモートアクセスで接続したいパソコンへ、付属のUSBトークンを差し込みます。これだけで、対応するパソコンへリモートアクセス接続が可能です。あるいは、管理者が権限を付与している人のみ接続できるタイプなど、ユーザーを限定してリモートアクセス利用させられるものもあります。
「小規模で低コストの運用をしたい」「リモートアクセスを試験的に運用したい」という企業におすすめです。しかし、USBトークンの配布やアクセス権限の管理には手間がかかり、接続人数が限定されるため、大規模な組織では不向きとなるでしょう。
選定ポイント④ 「セキュリティ強度」
リモートアクセスツールを利用する上で気になるのはセキュリティではないでしょうか。特に組織が大規模なほど、リスク対策をしておきたいものです。
リモートアクセスツールの中には、以下のようなサービスが含まれているものがあるので、チェックしてみてください。
- ・接続する際、携帯電話を使用したワンタイムパスワードの承認が行える
- ・データの接続履歴を監視するなど、提供会社がその役割を担ってくれる
従業員のアクセス記録管理を外部サービス会社へ委託することは、不正アクセスの防止にも繋がります。さらに、導入によって発生する自社の人的コストを最小限に留めることができるでしょう。
選定ポイント⑤ 「利便性」
リモートアクセスツールの接続タイプでも触れたとおり、3種類の形態があって、自社に合うタイプを選ぶことができれば利便性も高まります。どんなシーンで使うことがあるのか、洗い出してみて、利用する人数もカウントしたうえで、合うタイプを選ぶとよいでしょう。
リモートアクセスツールの選定ポイントについて理解していただけたでしょうか。この選定ポイントを意識して製品選定を行うことで、より自社にあった製品を選ぶことが可能になります。以下の記事ではリモートアクセスツール製品を徹底比較していますので、ぜひご覧ください。
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失敗例から学ぶ!導入前に考えたい注意点
ここまで、リモートアクセスツールの提供形態や特徴に注目して、選定ポイントをご紹介しました。ここからは、すでに導入した企業で失敗してしまった例から、注意したいポイントを見ていきます。
注意点① 「機密データの情報漏えい」
リモートアクセスツールを利用するからには、セキュリティ対策を行うことが大切です。しかし、システム側だけで対策していて、社員のセキュリティリスクに対する意識を高めていないケースがあります。
この場合、リモートアクセスツールを活用した結果、社員の注意力不足のために、社外に機密情報が漏れてしまうことにつながりかねません。
注意点② 「勤務時間の管理」
カフェや在宅での勤務が可能にもなるリモートアクセスツール。しっかりと勤務時間を把握できる体制を作っておかないと、いざ問題が起きたときに、ツールへのアクセス履歴や接続時間が当てにならないこともあります。
注意点③ 「在宅での公私混同」
リモートアクセスツール導入と同時に、在宅勤務を許可するのであれば、在宅勤務をしていいい社員を選ぶ仕組みも整えたほうがよいでしょう。
生産性が上がると思って導入したにもかかわらず、社員の意識レベルが高まっておらず、勤務時間中に私用をして、なかなか業務が進まない、ということも起こりえます。
まとめ 検討ポイントをおさえて自社に合うツールを!
いかがでしたでしょうか。リモートアクセスツールを選ぶ上で検討したいポイントや注意点を解説しました。
企業規模や使用環境によって適切なツールを選ばないと、リモートアクセスのメリットを活かしきれないことになります。むしろ手間が生じるばかりか、セキュリティ面で不安要素が増えることにもなります。
まずは自社の現状・課題を考え、必要な機能や利用シーンを踏まえたうえでツールを選んでみてはいかがでしょうか。