そもそも安否確認とは
安否確認とは、社員の安全性の確認と会社へ出勤可能かを確認するために行うものです。医療機関やライフラインに関わるような災害時に緊急性を問われるビジネスを行っている企業にとっては、重要なことです。東日本大震災では多くの企業で社員と連絡がとれない事象が発生し、安否確認システムの需要が高まっています。
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2023.01.17
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安否確認システムの3つの活用ポイント
近年増えつつある地震や台風で安否確認システム導入の重要性が高まっています。しかしシステムを導入しただけでは、災害発生時の対応が万全であるとは言えません。安否確認システムをどのように活用すべきかを各企業がよく理解しておく必要があるのです。今後、見舞われるかもしれない災害に備えて、安否確認システムの効果的な活用方法を確認しておきましょう。
活用ポイント1.担当者を決めておく
まずはシステムのIDやパスワードを管理する担当者を決めることが必要です。
通常は企業内で危機管理を担当している人が該当するかもしれませんが、その担当者自身が被災することも考えなければいけません。そのため、各部署の責任者なども、このシステムを利用して安否確認を行う手順を理解しておく必要があるでしょう。
また、新入社員の登録や退職者の情報を削除するような場合、企業によっては人事担当者がシステムに直接ログインする必要があるかもしれません。現在提供されている安否確認システムは、担当者の端末に専用のソフトウェアをインストールする方式と、クラウドのサービスとしてWebブラウザから利用する方式に分かれます。
どちらにしても、複数の担当者・端末から利用できるような体制をとる必要があります。それはどの部署にある端末であっても、大災害によって使用できなくなる可能性があるからです。
活用ポイント2.システムを利用した定期的な訓練の実施
どれほど素晴らしいシステムを導入しても、非常事態が発生したときに初めて利用するのでは意味がありません。
定期的にテストを行い、全ての従業員および関係者に対する安否確認が可能であるかを確認することが重要です。このようなテストを安否確認システムにログインする権限を持っている担当者が交代で行うことによって、いつでも有事に対応できる体制を実現することが可能となります。日頃から操作しているシステムであれば、非常時にも慌てることがありません。
日頃からシステムに触れるという意味では、非常時以外にも通常の連絡手段として安否確認システムを利用している場合もあるようです。一斉にメールを送信できるだけではなく、社内の特定グループ内での連絡メールなども送信できれば、使い勝手も悪くありません。実際の事例としては、学校と保護者間の連絡に安否確認のサービスを利用しているケースがあります。
活用ポイント3.システムの管理、準備の必要性
日頃から生活している自分の部屋であれば、たとえ、停電になったとしても手探りで解決できる場合があります。それと同じように、日頃から触っているシステムであれば、大きな災害が発生したとしても冷静に必要な操作を行うことができるはずです。そのためにも、安否確認システムの仕組みと運用方法を事前に理解しておく必要があるでしょう。
このシステムを経由して届いた安否情報から、次にどのような対応を行うかを判断するためには、まず届いた情報を確認することが必要となります。そのときになって、システムへのログイン方法を思い出せなくなるような事態だけは避けるべきです。
これからの安否確認におけるIT活用
安否確認システムの利用にはさまざまなIT技術の活用が必要になります。ここからはそれらのIT技術について紹介します。
「ビーコン」と「スマホ」の活用
安否確認システムでは、メールの一斉配信で社員の安否や所在地を収集することができ、1995年の阪神淡路大震災後から見られるようになりました。
しかし、これら既存のメール基盤を利用したシステムでは、点呼や避難場所の確認に時間がかかる、外出先の点呼ができない、管理者が名簿を持って避難できないなどの課題が浮かびあがりました。この対策として開発されたのがビーコンやスマホのGPSを活用した安否確認システムです。
ビーコン(Beacon)は、BLE(Bluetooth Low Energy)を使って位置情報を配信する小さな装置のことです。この装置から発信される電波をスマートフォンやタブレットで受信することで、ビーコンを所有している社員の安否状況をすばやく確認できるようになります。
社員はビーコンを常に携帯しておき、地震発生時にビーコンを持って避難します。社員に必要な行動はこれだけ。このビーコンから発する電波をスマートフォンでキャッチします。
例えば、社長があらかじめアプリケーションをインストールしたスマートフォンを携帯し、社員からの電波を受け取り、社員の所在を一覧できます。社長は屋内にいる必要はなく、社員と同じように避難場所に避難していてもかまいません。これにより、社員を個々に点呼をする必要がなくなります。
同じような活用方法がスマートフォンのGPS(全地球測位システム)でも可能です。スマホにGPS機能が内蔵されていることをご存じの方は多いでしょう。そのGPSの位置情報から社員の所在地を確認します。国内の地震のみならず、海外で災害に遭遇した社員の所在情報をキャッチすることもできます。
「DTN」の活用
ビーコンもスマホも既存の通信基盤が機能していることを前提としています。しかし、災害時は通信機能が不能になったり、通信の混雑により使い物にならなくなったりすることがしばしばあります。そこで、試行されているのがDTN(Delay Tolerant Network=アドホック通信ネットワーク)です。
DTNは既存の携帯網のインフラや無線LANのアクセスポイントなどを利用せず、端末同士の無線通信のみにより構築されるネットワークのことです。たとえば、スマートフォンに無線通信機能を持たせ、アドホック通信ネットワークを構築します。これにより、場所を選ぶことなく通信ネットワークができあがり、バケツリレーのようにデータを遠方まで転送していくことが可能になります。
スマホにDTN機能を持たせる実験も行われており、テキストや写真データの収集実績も積み重ねられています。近い将来、安否確認システムとして製品化されることが期待されています。
「ドローン」の活用
ドローン(無人航空機)による災害状況の把握はすでに現実化し、テレビなどでご覧になった方も多いことでしょう。このドローンを使った安否確認システムは、通信インフラが使えない状況において、ドローンが中継システムとして飛び、避難場所にメッセージを届けたり、避難者からメッセージを受け取ってくるものです。
これも実験が行われており、ドローンに無線通信機能とメッセージ送受信機能を持たせ、孤立した避難所まで飛ばします。上空50メートルを飛行し、現地からメッセージの送受信に成功しています。
出典: KDDI研究所「無人航空機を活用したEメール配送システムを開発」
http://www.kddi-research.jp/newsrelease/2016/022502.html
安否確認システム最大限活用しよう
実際、経験しないとわからない震災への対策が多くあります。その代表的なものが、避難者の情報収集です。そのために、多くの事業者や研究機関が新たな安否確認システムの開発に着手しています。
安否確認システムを十分活用するためには、自社にあったシステムやツールを選択し、再び見舞われるかもしれない災害に備える必要があるでしょう。安否確認システムの導入を考えている方は、自社に合った製品の選び方を以下の記事からチェックしてみましょう。
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