安否確認システムとは
安否確認システムとは、災害時に従業員のケガの有無や出勤の可否を確認したり、会社からの一斉連絡をするためのシステムです。従業員の回答状況を一目で分かるようにグラフで可視化したり、自由に連絡をしあえる掲示板などの機能を備えており、電話が通じにくくなる災害時に迅速に連絡を取るための有効な手段となります。
台風や地震といった災害が近年増加しつつある中で、BCP(事業継続計画)対策を実施する企業が増えていますが、企業にとって重要な資産であると言える人材、つまり従業員の安否確認手段の策定が遅れている企業も多いようです。
関連記事
watch_later
2023.01.17
安否確認システムの基本とは?機能、メリット、選定ポイントも紹介
続きを読む ≫
企業が安否確認を行う必要性はあるのか
そもそも安否確認システムを必要だと感じていない企業も多いのではないでしょうか。実際、矢野経済研究所が2011年5月に実施した調査では、「あまり導入したいと思わない」「導入しない・不要である」と答えた企業が32.1%にも上ります。
しかし、2017年4月の同研究所の調査によると、安否確認システムを含む危機管理ソリューション市場は2021年度に1 兆 632億円まで拡大すると予測されており、確実に国内でのニーズは高まってきています。背景には東日本大震災を含め、台風や豪雨、地震などの大災害の発生の増加が理由として挙げられるでしょう。
従業員の安否確認は災害発生後の事業継続の可否の判断材料となります。また最近では災害時に従業員を出勤させることに対して、企業が批判を受ける場合も増えており、まずは従業員の安全確保を第一にすべきと考える企業も増えているようです。
関連記事
watch_later
2023.01.26
安否確認システムの必要性は?導入する価値はあるのか徹底解説!
続きを読む ≫
安否確認システム導入のメリット
安否確認システムを導入すると、具体的に次のようなメリットがあります。
災害発生時の自動で安否確認メールが配信される
安否確認システムは一定規模以上の大災害が発生した際に、自動で従業員に安否を問うメールを送信することができます。災害時に人事や総務の担当者が社内にいるとは限りません。ただでさえ混乱する災害発生時ですから、システム側で一斉にメール配信してくれれば、企業として初動対応を早めることに繋がるでしょう。
携帯電話やPCなど複数のデバイスで利用できる
災害時に電話で安否確認をする初動対応フローを策定していないでしょうか。東日本大震災の時など、回線が混雑して電話が繋がらない現象が多く見受けられました。災害時に電話で安否確認を行うのは厳しいと言えるでしょう。
PCや携帯電話など、多様なデバイスから利用できる安否確認システムであれば、従業員がその場で自分が使用できるデバイスから自分の状況を伝えることができます。
関連記事
watch_later
2023.01.17
安否確認システムの導入メリットを紹介!利用時の注意点も
続きを読む ≫
企業が安否確認システムを導入前に行うべきこと4つ
安否確認システムを導入する前に行うべきことを紹介します。
1.安否確認の目的を明確にしよう
そもそも安否確認とは、次の2つを確認することです。
もし医療関係やライフラインのように災害直後から稼働する必要がある企業なのであれば、早急に従業員が無事かどうかを確認し、事業継続の態勢を整えなければなりません。
しかし、逆にそれ以外の企業の従業員は災害直後に急に出勤をする必要はありません。ただし企業の被害状況を確認したり、その後の計画を練るための最低限の人員は必要となります。
このように、各企業で自社の事業内容に合わせて「何のために」「災害発生からいつまでに」安否確認をするべきなのか考えておきましょう。
災害発生時の指揮命令官を決めよう
企業の安否確認の意義は単に無事かどうかを確認することではなく、出勤・稼働が可能かどうかを知ることにあります。そしてその時に誰が指揮官になるのかを決めておくことで、災害発生直後の迅速な稼働が可能になるでしょう。
大抵の場合は社長や副社長が務めますが、災害発生直後に必ずしもそれらの役職の人物が動ける状況にあるとは限りません。代行できる人物もあらかじめ決めておく必要があります。これにより限られた人員でも組織的な行動をとることができます。
また人員が確保できたときに、具体的にどのような対策を行うのかも事前に決めておきましょう。何を行うのかを決めていないと、せっかく安否確認システムで連絡を取り人員を確保しても無駄になってしまいます。
災害直後の行動指針とチェックリストを作成しよう
災害後に組織的な行動をとることが事業再開に大事とはいえ、個人で対応しなければならない場面も出てくるでしょう。特に災害直後の身の安全の確保や状況確認の成否は、個人的な行動によるところが大きくなります。
そのため、災害直後の行動指針を決めておきましょう。例えば地震直後はデスクの下に隠れる、安否報告は責任者に行うなど、いくつかの項目を記載したチェックリストを準備しておきましょう。
安否確認システム利用の訓練をしよう
行動指針を定めたら、実際にそれが実施できるように訓練を行わなければなりません。チェックリストがあっても、実際に行動に移したことがなければ、いざ災害が発生した時に冷静に対処できません。
多くの企業では、訓練として地震・火災発生のアナウンスから外に退避する移動の流れを確認するのみです。しかし、これでは行動指針やチェックリストが活かされていません。
実際にチェックリストに則って対処できるか、あらかじめ決めた責任者や指揮官とスムーズな意思疎通を図ることができるかなど、より実際の状況に即した方法で訓練を行うことが大切です。
導入前の準備を万全にして災害発生に備えよう
安否確認システムを導入することで、災害発生時の初動対応をスムーズに行うことができるでしょう。しかし、単にシステムを導入しただけでは、最大限活用しきることはできません。導入前の準備を万全にすることで初めて安否確認システムの導入が大きな意味を持ってくるのです。
普段から対策を練り訓練を行うことでシステムをうまく活かし、早急な事業再開につなげましょう。
関連記事