「働き方改革×IT」にまつわるさまざまな“素朴な疑問”に、サイボウズ社長室フェロー・野水さんに回答してもらう本企画。今回は、日本の多くの企業にある「社員が一緒に一致団結して働くからこそ一体感が生まれ、成長することができる」という意識について。根強いこの意識が、多様な働き方を認める「働き方改革」がなかなか進まない要因のひとつ。サイボウズのメンバーであると同時に、カメラマンとして活躍する、文字通り「多様な働き方」を実践中の野水さんに、「会社の一体感ってどうなの?」という疑問をぶつけてみました。

サイボウズ 社長室 フェロー 野水 克也さん
(所属・役職は取材当時)

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“待ち合わせ場所”が明確なら、どんな道順でもいい

──「多様な働き方を許容すると、会社の一体感やアイデンティティが失われるのではないか」と不安に思っている経営者も多いと思います。

会社のアイデンティティっていうのは、本来は「お客さまになにを提供するか」っていう「理想」にあると思います。だから、それ以外のところ、たとえば「朝9時にいっせいに出社する」といったルールでしばることで社員に一体感を求めるのは、おかしな話だと思いますよ。

──でも、多くの会社がルールでしばりたがります。

ええ。本来は、まず理想があって、その理想を実現するために会社のルールをつくる。「ルールに従っていけば理想に届く」という考え方をしているわけです。

でも、そのルールをガチガチに決めたがる会社は、理想があいまい。グラグラなのです。みんなの頭の中に描いている「理想」がバラバラだから、行く道を細かく指定しないと迷子になっちゃう。目的の場所までたどり着けないわけです。「待ち合わせの店の場所がよくわからない。でも、『この駅の○番出口を出て、○○タワーが見える方向に通りを歩いて、3番目の信号で左に曲がって…』という指示に従って歩けばいいんだな」という。

一方で、いい会社というのは、みんなが思い描いている理想が同じ。だから、どんな道をたどってもそこに行くことができる。待ち合わせ場所が「○○タワーの下」と明確なんです。どういう道順で来てもいい。ルールがゆるく、多様な働き方が認められるのはそのためです。

──社員が会社の理想に共感しているかどうか、どうしたらわかりますか。

ルールを破る人が多かったら、共感していないということでしょうね。だからできることなら、自分の会社のルールをいったん撤回してみるといいんです。ルールをなくしてみたけれど、仕事がうまく回るのだったら、みんなが理想に共感しているんじゃないかな。「朝何時に来てもいいよ」ってなっても、事業に向かっていく仲間意識が保たれている雰囲気があるのなら、その会社はきっと理想が共有されているんでしょうね。

社員を子どもあつかいしているだけ

──考えてみればその通りですね。なのに、なぜ経営者の多くは、朝同じ時間にそろっていることを望むのでしょう。

昭和の家庭像のノスタルジーですね。昔の家族って、夕食のときに座る席が決まっていて、晩ご飯までには家族全員が帰宅しなきゃいけなかったでしょう。門限があって、娘さんが門限を破ると怒られちゃうみたいな。そういう一体感です。要するに、社員を子どもあつかいしているんですよ。でも、「これからみんなで新しいことをやって社会を変えよう! 事業を成功させよう!」という仲間同士なのに、子どもあつかいしてどうするんだってことだと思います。

家庭だって、もう時代が変わっていますよね。親のいいつけをきちんと守った子どもが、社会で大活躍しているのか? むしろ、自分勝手に海外に飛び出していっちゃった子とかのほうが、活躍しているんじゃないかと思うのです。会社も一緒です。

「いい雑談」で理想を共有しよう

──なるほど。では、互いに大人である社員どうしが事業の理想を共有するために必要なことはなんでしょう。

雑談かな。だって、みんな、自分の理想に共感してほしいからLINEやFacebookを使っているわけですよね。事業の理想も同じで、みんなに共感してもらおうと思ったら、雑談を通して、いろんな言葉で議論しなければいけないんです。

社内チャットとかも使って雑談をする。そのなかに、おいしい焼き鳥屋さんの話が入ってもかまわないけど、職場の雑談ってけっこう仕事に結びついている話が多いんです。「社長がこないだ言っていた、あの考え方だけどさ」とかね。それは実をいうと、仕事にとって重要なテーマだったりするわけです。そういう雑談をオンライン上でもちゃんとできないといけない。オンライン上のメリットは、本店・支店も関係ないし、オフィス・自宅も関係ない、時間や場所にしばられずに雑談に参加できることです。

──でも、たいていの会社は「私語禁止!」っていうルールをもうけています。

そういう会社ほど社長が私語ばっかりしてる気がしますけどね(笑)。いいマネージャーは「私語を慎め。雑談するな」なんて言わない。反対に、雑談ができる環境をうまくつくっていく。いい雑談をさせるのがマネージャーの役目ですね。

──「いい雑談」の定義を教えてください。

定義というか例え話になりますけど、マネージャーが経営者に自部署のグループメッセージを見せて、「ウチの社員がこんなことを言っているけど、この議論っておもしろくないですか?」と言える。これが「いい雑談」。逆に、「これは社長には見せられないぞ」という雑談ばかりだったら、「悪い雑談」。というか、その会社はブラックですね(笑)。

──社内チャットで雑談ができるかどうかが、いい会社か悪い会社かをわけるなんて考え方は、とても斬新でした! 確かに、多様な働き方を認めて、オフィスに出社しない人がいたとしても、チャットなら参加できます。雑談が盛り上がっている会社が、「一体感のある会社」というわけですね。働き方改革が進んでも一体感を保つヒントが、そこにありそうです。次は、マネジメントについて、ご意見をお聞かせください!

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