「働き方改革×IT」にまつわるさまざまな“素朴な疑問”に、サイボウズ社長室フェロー・野水さんに回答してもらう本企画。今回は、働き方改革が進んだ先にある未来の職場像について。そのイメージが具体的でないために、表面的な改革になってしまったり、改革に積極的なメンバーを集められなかったり、といった問題が起きています。社員に対して多様な働き方を許容し、ITをフル活用している会社として知られるサイボウズ。さらにそこから進化した理想の職場とはどのようなものなのか。野水さん、お願いします!

サイボウズ 社長室 フェロー 野水 克也さん
(所属・役職は取材当時)

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多様な働き方を認めたら、マネジメントが大変では?【教えて、ご意見番!vol.4】

“いろんなところの顔”を持っていることが大切

──ITがどんどん進化して、働き方改革が進んだ理想の職場というのは、どのような職場なのか。イメージを教えてください!

そうですねぇ…。原点に立ち返って、たぶん理想だろうなと思うことが2つあります。会社と個人が対等であることがひとつ。そしてもうひとつは主従関係ではなく、協力関係で仕事が進められることです。主従関係があるからブラック企業になるわけですからね。「上司の言うことに逆らえなかった」とか。夫婦関係でも主従関係ができてしまっているところは、DVとかブラックなことが起きてくる。

みんながイキイキと働ける会社は、会社と個人が対等なんです。対等な関係を築くためには、個人の方もその会社だけに依存しない状態をつくらないといけない。そうなると個人の理想としては、同時に3社くらいで働くのがいいのかなと思いますね。

──いろんな場所に身を置くということですね。

そうです。会社に限らないですけど。家庭でもいいんです。家庭を大事にして、家に帰ってパートナーの胸で泣ける、と。そんな場所があれば、そこもまた自分の居場所のひとつです。まぁ、スナックはもうからなくなりますけど(笑)。要は、いろんなところの顔と居場所を持っていることが重要。いろんなところでいろんな新しい体験をするからこそ、会社に変化をもたらすことができると思うのです。

情報の流出よりもヒトの流出を心配しろ

──会社に変化、ですか?

はい。サイボウズは社員に副業をすることや、いったん辞めて別の仕事に従事した後に復帰することを認めています。そのおかげで教育コストが下がり、会社が変化できるっていう利点もあるんです。結果として副業先や転職先で得た知見をサイボウズへもってきてくれるし、言葉は悪いですが副業先や転職先で教育してくれているようなもの。その成果をタダでもらっているわけです(笑)。

──さすが、先進的な考え方ですね。でも、逆の発想をする経営者が多いと思います。「副業先や転職先にウチの情報が流出するからNG」とか。

よほどの最先端企業が悪事を働いている企業でない限り、いまどき自分の会社の秘密を漏らしても大した損にはなりません。時代の流れが早いので秘密情報もすぐに陳腐化します。副業も復帰も認めればいいんですよ。むしろ情報の流出よりヒトの流出を心配したほうがいいと思います。いまどき、「副業はダメ!」なんて言っていたら、どんどん社員が逃げていって、結局はつぶれますよ。

──個人が会社と対等な関係を築いていく方法を教えてください。

前回お話したベンチャーがいい例ですよね。同じ志の人が集まって事業をやる。SNSでいろいろなコミュニティができて。そのコミュニティをそのまま事業化している人もいますよね。仕事の連絡も全部SNSでやっています、みたいな。

──なるほど、そういったたくさんのコミュニティに参画している状態をつくれば、主従関係でなくなっていくわけですね。

はい。そうなっていくと思います。現にIT業界だとSNSを使って仕事をするのは当たり前じゃないですか。僕の日常でも、サイボウズのグループウェアのメッセージが2つ立ちあがって、Facebookのメッセージ窓も4つ立ちあがっていて、6つくらいの画面を同時並行で見ながら仕事したりしています。

──すべてのプロジェクトに対して、いちメンバーとして参加しているわけですね。どことも主従関係はないという感じですね。

ないですね。ただ、こっちはサイボウズの人間として参加して、こっちはカメラマンとして話をしていて、時々、頭の中がグチャグチャになっちゃいますけどね(笑)。

いいことも悪いことも増幅するコミュニケーション

──いまのお話を聞くと、SNSが出てきて、世の中がいい方向に進んでいる感じがしますね。

いやー、僕も最近までそう思っていたんですけど…。いいSNSもあれば、悪いSNSもありますからね。結局のところSNSっていうのは、増幅装置だと思うのです。

──いいことも増幅するし、悪いことも増幅する?

そうそう。音楽にたとえるとわかりやすいかな。すごくいいアンプとスピーカーが出てきたと。「これで世の中はいい音楽で埋まるぞ」と思ったら、街宣カーに使われて騒音をまき散らかされちゃった、みたいな。しょうがないですよね、アンプだから(笑)。でもね、悪いコミュケーションが会社の特定のメンバーの間で出てきたとしたら、それはそのメンバーたちが悪いんじゃない。会社の中にもともとあった悪いものが増幅されて出てきたってことなんですよ。反対に、いい会社はいいものが増幅されてくる。

インターネットというものが基本的にはコミュニケーション増幅装置ですからね。コミュニケーションを増幅した時に、いいコミュニケーションが増幅されるのか、悪いコミュニケーションが増幅されるのか、その違いです。もちろん実名と匿名の違いとか、コミュニティの作り方とか、工夫の余地はあると思いますけど。私も知り合いの意見しか帰ってこないFacebookより匿名にリプされるTwitterはかなり慎重に発言しますんで。

日本に住みながらシリコンバレー的な仕事をする

──なるほど。そうしたインターネットをはじめ、ITを活用して働き方改革を推進していけば、日本は再び輝くんでしょうか。

最近の状況を見ている限りでは、残念ながらあんまりそう思えないですね。産業競争力ではもう勝つのは難しいんじゃないかと思います。ただ、住んでみていい国かどうかでいえば、そんなに悪くない。ご飯はおいしいし、安全だしね。爆発的に成長はしないかもしれないけど、多くの人が安心して暮らせる国であり続けられるようにできる可能性はあるでしょう。

若い人はITをフル活用してテレワークでシリコンバレーの仕事をして、高い給料をもらいながら、でも日本に住んでいる。そんな感じが理想かもしれませんね(笑)。

──同時に複数の会社に勤める。多くのSNS上のコミュニティに参画する。そしてシリコンバレーで働きながら日本に住む。ITを活用すれば「テレワークOK」「副業OK」「時短勤務OK」といった、いま先進的とされる取り組み以上の「多様な働き方」が可能になるんですね。ありがとうございました! みなさんも「働き方改革」を推進するうえで、参考にしていただけたらと思います!

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