こんにちは! 『ITトレンドスタイル』ライターのあやかです。ふだんは政治にあまり興味のない私ですが、2018年6月末、国会での「働き方改革関連法案」の可決・成立は、さすがに興味をもってニュースを追っていました。賛否両論あるけれど、国は本気で「いまの日本の働き方」を変えようとしているんだなぁ…って。あ、編集長、「それなら、この取材に行ってこい」ですって? おーっ、経済産業大臣の世耕さんが登壇されるイベントがあるのですね! それでは行ってきまーす!

国・地方・大企業・ベンチャーの4者で討論

『デジタルイノベーション実現会議』と題された今回のイベント。「働き方改革と成長戦略の本質を検討し、飛躍的なイノベーションの実現を促して世界の持続的発展に貢献するための議論を醸成・普及する場」と位置づけられています。

このイベントの主催は、新時代の働き方を創造することで、個人、組織、市場の発展を支える公共戦略プロジェクト、一般社団法人働き方改革コンソーシアム(CESS)です。トップページに記載の、『「カイシャのなかの自分」を超えて、自分のスタイルのなかで仕事をする』というメッセージが印象的!

会場は、日本の文化発信地でもある日本橋にある、ベルサール東京日本橋。 会場に入ると、どちらかといえば落ち着きのある、高い役職についていらっしゃる参加者さんが多いようです。よし、私もオトナ気分。帰りに三越に寄って高級ドレスを…買えないから眺めてから帰るとしよう…なんて考えているうちに、パネルディスカッションがスタートしました!

国・地方・大企業・ベンチャー企業という、4つの異なる領域からのパネリストさんと、ファシリテーター竹中平蔵さんによるディスカッション形式。竹中さんって、小泉純一郎さんが総理大臣だったころ、郵政民営化担当大臣だった人だ! 政治に関心のない私だって見たことあります!

パネリストは以下の4名の方。

世耕弘成さん
参議院議員・経済産業大臣
「本当は、『経済産業大臣、内閣府特命担当大臣、原子力経済被害担当大臣、産業競争力担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣』という長い肩書きを持っているんです」とご本人が説明されていました。

十河宏輔さん
AnyMind Group Limited 共同創業者 兼 CEO
AIを活用したSaaSソリューションを提供している会社の創業社長さん。会社の名前が外国式なのは、シンガポールに本社を置いているからです。先祖は戦国時代に「鬼十河」といわれた猛将なんですって。カッコいい!

富田能成さん
横瀬町長
埼玉県の北西部にある、横瀬町生まれの現・町長さん。横瀬町といえば、アニメ『心が叫びたがっているんだ。』の舞台ですね! そのファンによる“聖地巡礼”を招き入れるなど、民間活力を呼び込む施策を次々に展開しているそうです。

中畑英信さん
株式会社日立製作所 代表執行役 執行役専務
人財担当として、グローバルで30万名以上になる日立グループの従業員の育成や最適配置の仕組みづくりの陣頭指揮をとっている方です。持論は「働き方改革をしなければ、日本は海外からどんどん遅れを取る」。

何度でも学び直して何度でも転職しよう!

まず議題にあがったのが、「第4次産業革命」について。えぇっと何だっけ…と途方に暮れる私に助け舟が。経済産業省さんが第4次産業革命について、4つのキーワードを使ってまとめてくれていました。

  1. IoT
  2. いまよりもっと多く設置されたセンサーが情報を収集する。

  3. ビッグデータ
  4. 収集された情報は、通信によって集約されてビッグデータとなる。

  5. AI
  6. ビッグデータはAIにより分析され、活用できる形になる。

  7. ロボット
  8. 活用できる形になったデータは、現実の世界にロボットによるアクションによってフィードバックされる。

この「IoT→ビッグデータ→AI→ロボット」の流れが人間の手を介さずに自動的に行われることによって、新たな価値が猛スピードで生まれていく。それが第4次産業革命なのだそうです。そんな時代の新しい働き方とは──。

世耕さんが強調していたのは「学び直し」でした。なにしろ、猛スピードで新しい価値が生まれる革命が起きるのです。学校で得た知識はすぐに陳腐化するでしょう。いままでの「大学まで学んで、卒業後ずっと働く」というような「学びが1回、就労が1回」の時代は終了。「学んでは働き、また新たに学んで働く」を何度も繰り返す時代になる、というのが世耕さんの予想でした。第4次産業革命だけでなく、「人生100年時代」といわれる長寿化も、それを後押しするはず、とのことです。

会場の参加者からの「転職を促す仕組みをどうお考えですか?」との質問に、世耕さんは「転職するのは当たり前のこと、と捉えて企業の新陳代謝をしていくことが大切だと思います」と回答。「いまのビジネスモデルに合わない人材に一定の金銭を支払って雇用契約を終了する。雇用終了や転職をネガティブにとらえず、リカレント教育を受けて学び直し、その後、身につけた知識やスキルを求めている企業へ転職する。こんな仕組みを社会全体で整えていくことが急務だと思います」。

なるほど、明確なビジョンがあるんですね。いまはITのおかげで、いつでもどこでも自由に学べる時代。「つねに学び直す」という個人の意識が大切なんですね!

政府でも、『第4次産業革命スキル習得講座認定制度』を設置し、より高度なITスキルを身につけてもらうためのはたらきかけをしています。「経済産業大臣が認定すると、厚生労働省からお金が出る仕組みになっています(笑)。ぜひ、このような制度をフル活用してほしいなと思います」と世耕さん。

小さな町だからこそAIとの親和性がある?

一方、「第4次産業革命は、地方にこそアドバンテージがある!」と熱く話していたのが横瀬町長の富田さんです。うーん、でも、第4次産業革命を説明する4つのキーワードになっているテクノロジーのイノベーションって、地方で起きているイメージないけど…? 「わが横瀬町は住宅が3,300軒しかない。だからこそ、AIと親和性があるんです」と富田さん。…なぜだ???

富田さんによれば、「地方でイノベーションを起こしやすい最大の理由は、AIを活用するニーズがあるから。たとえば『バスがない!』という自治体であれば、無人でバスを運用する実証実験に積極的になります。イノベーションを実現するための貴重な場になると思います」。納得!

「AIが人間の仕事を奪う」という悲観的な将来予測もありますが、そもそも「人間がいない」ことに困っている地方であれば、そんな心配はありえないですもんね。「このままだと過疎化が進む一方だ」という危機感を町民と共有できている自治体であれば、きっとAIの活用に積極的でしょうね!

グローバル視点でニッポンの働き方を見ると…

ディスカッションはいよいよ「働き方改革」がテーマに。ここでは、中畑さんと十河さん、グローバル視点をもつお二人のお話が興味深かったです。

中畑さんは、68ヵ国に事業所を展開し、16万人の日本人と14万人の外国人で構成されている、まさにグローバル企業である日立製作所の人財責任者。「働き方改革関連法案」の成立によって裁量労働制の適用範囲が拡大されたことについて、「非常に意義のあること」と話していました。「働き方改革をやらなければ、世界に負けてしまう」という中畑さん。優秀な人材が「働きたいだけ働ける」ようにすることで、やっと世界のレベルに追いつける可能性が出てきた、とのことでした。

一方、起業する場所としてシンガポールを選んだ十河さん。日本の「働き方」を客観的に見たときに、ユニークなポイントは「新卒の一括採用」と「『仕事をしたい!』という熱いパッションがなかなか感じられないこと」と話します。海外はインターンから企業に入っていくのが主流なので、一括採用という概念がないんだそうです。「海外では、働きたい人、成長したい人が入ってくる。だから、『残業が嫌だ』という感覚もあまりないですね」。えーっ、そうなんだ。確かに、そんな考え方の人たちと競争して、日本人が勝ち抜くためには、裁量労働制の拡大も必要なのかもしれません。

「最近の日本にある『働き過ぎるのはよくない』っていう傾向は、ちょっと違うなぁと感じています」というベンチャー起業家として活躍する十河さんならではの意見に納得。やっぱり、働くことがプラスのイメージにならないと、続けていけないですよね。その考え方に共感する人も多いみたいで、ファシリテーター竹中さんの「働かないで大きくなったベンチャー企業なんかないですもんね」という言葉に、参加者のみなさんも大きくうなずいていました。

働き方改革は、始まったばかりなんだ。

いままで私はいろんな企業で推進されている、さまざまな働き方改革を取材してきました。それぞれすばらしい取り組みなんですが、私の視野がミクロに寄りすぎてしまっていたかも。パネルディスカッションが終わって、最初にそう思いました。

「第4次産業革命」「人生100年時代」を見すえて「働き方改革」に取り組む国や地方のビジョン。グローバル競争に勝つための「働き方」を実現しようとする企業の模索。そうしたものに触れて、マクロな視点で「働き方改革」をとらえる必要性を痛感しました。そして、マクロ視点でみれば、働き方改革はまだ軌道に乗りだしたばかりだということ。それが今日の私の「学び」です。

よし、次はこの「学び」を「働く」に活かそう!「地方で進んでいるAI×IoTの取り組みを取材したい」って編集長に提案してみようかな? 私って働く意欲マンマンかも…!? と、前のめりで帰路につく、ライターのあやかでした!

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