こんにちは! 『ITトレンドスタイル』ライターのあやかです。ただいま「テクノロジーと企業経営の未来を考えるカンファレンス SPIC2018」に潜入中! 数多くのセッションがあった中で、最後に紹介するのは「バックオフィス業務の効率化」についてです!

「バックオフィス」の反対語は「フロントオフィス」で、営業のことを指すって聞いたことがあります。お客さまと接する最前線にいる営業をフロント、お客さまと直接には触れあわない管理部門をバック、と位置づけているんですって。“裏方さん”にイメージが近いのかな?

縁の下の力持ち的な存在だけに、バックオフィス業務の内容や効率性についてよくわからないのが正直なところです。あ、でも、ここに編集長がいたら、「じゃあ、フロントオフィスについては詳しいのか?」ってツッコミが来そう。要するに、私の勉強不足です。ゴメンナサイ…。よし、このセッションでバックオフィス業務のことを勉強しよう!

全員リモートワークだからこそ、クラウドサービスは必須!

最初の登壇者は、株式会社OND(おんど)取締役の松田光憲さん。2017年10月に設立されたばかりで、変わった間取りやユニークな部屋の不動産物件を紹介する『物件ファン』というサイトを運営している会社です。松田さんは、株式会社オズビジョンというショッピングサイト運営会社で執行役員も務める管理業務のプロ。そんな松田さんがONDの管理部門をどうつくりあげていったのでしょうか?

株式会社OND 取締役 松田 光憲さん
(所属・役職は取材当時)

開口一番、「ONDはメンバー全員リモートワークでスタートしました」という発言にびっくり! 「普通に働くのはムリだけどリモートなら」という、イタリア在住の人が創業メンバーにいたことがきっかけだったそうです。

「そもそも物理的拠点がない。ですから、クラウドサービスを導入せざるを得なかったんです」と松田さん。た、確かにONDさんのホームページにも本社オフィスの住所の記載がありません…。すごいなぁ、「オフィスへの出勤義務がない」どころか「オフィスがない」会社が、もう出てきているんですね。

そんなONDさんが管理業務のために導入したクラウドサービスが『クラウドサイン』(弁護士ドットコム株式会社)。契約書の文言確認のやりとりから締結の押印、原本の保管まですべてがクラウド上で完結するサービスです。

導入メリットは、次の4つだそう。

  • ①契約締結に関わる時間と労力の大幅な削減
  • ②管理の効率化、データを常時参照可能
  • ③印紙税の節約
  • ④ストレスなく業務を進められる

④については、時間と労力が削減されるだけでなく、「ミスが起きる心配が大幅に減った」という精神面で大きいメリットだったそうです。松田さんいわく、「管理業務の中でも、契約書をはじめとした法務関連は、ミスが起きてはいけないもの。書面の文言の一字一句が正確かどうか、何度もチェックして、それでもまだ心配。でも、『クラウドサイン』は弁護士ドットコムさんが運営しているので、これは間違いないな、と。選ぶポイントは信頼性でしたね」とのこと。たしかに、弁護士さんは法律関係や契約関係のエキスパートですからね。心配がないのもうなずけます…!

「その業務、やめられないのか?」

続いて事例を紹介してくださったのは、ONDさんよりも社歴の長いエムティーアイさん。1996年にベンチャー企業として立ち上がり、23年目になるそうです。現在はモバイルコンテンツプロバイダーとして事業展開していて、女性のための健康管理アプリ『ルナルナ』や、音楽・動画・マンガ・本といったコンテンツを購入できるWebサイト『music.jp』などを運営している会社です。

株式会社エムティーアイ 上席執行役員 財務法務本部長 沖野 俊彦さん
(所属・役職は取材当時)

そんなエムティーアイさんがバックオフィス業務で抱えていた課題は、管理部門の人材が多く、人件費がかかっていたこと。コスト削減の打ち手は、海外への業務アウトソーシングと、クラウドサービスの導入だったそうですよ!

「2012年ごろから、ベトナムのダナンへ事務作業の半分くらいをアウトソースするようにしました。そして、2015年に『Concur Expense』(株式会社コンカー)を導入しました。モバイル用の経費精算アプリがあり、営業訪問先や出張先で使えることが大きな決め手になりましたね」と、同社 財務法務本部長の沖野さんは振り返ります。

人件費の安いダナンにアウトソースすることで、管理部門の人件費は一人あたり月6万円に。経費申請時のルール違反や誤りのある申請は、申請時点でシステムが受け付けないため、事務作業の手戻りが大幅に削減。クラウド化したことで、社内を行きかう伝票数が2割くらい減った効果もあったそうです。

それだけでなく、請求書や領収書を写真撮影したものを読み込んで経費精算などに使えるシステムを社内開発したんだとか。すごい! 「効率化していこう!」という意思を強く感じます。

沖野さんによると、「まず『その業務、やめられないのか?』というのを考えています。いい意味で『ムダな仕事はしたくない』という考えが社員全員、根底にあるんです」とのこと。ムダな仕事をしない、というのは日常的に意識しないとできないこと。すなわち時間やリソースを大事にする文化が根づいているんですね!

“言いだしっぺ”の人がツールを選び運用する

さて、セッションでは自社の取り組みを紹介してくださったおふたりに、「ツールを選定するための基準は?」をうかがうコーナーへ。参加者のみなさん、この話題には関心が高いのか、ぐっと前に身を乗り出す感じ。

『クラウドサイン』を導入したOND松田さんは、「ツールを使ってどんな課題を解決するのか、まずは目的を明確にすることがいちばん大切です。その目的にマッチしたサービスを選ぶことです」と話します。確かに…。でも、どうやったら目的が明確になるんだろう?

松田さんいわく、『導入したい』と思った人が選び、運用もしてもらう、とのこと。なるほど! 最初に導入の必要性を感じた人がいちばん目的をわかっているはずですもんね! “言いだしっぺ”の人が運用を担当すると、導入後の運用もハマりやすいんだそうです。「うちの会社は意思決定がボトムアップ。たいていのことは個人や部署で決められるので、こんなやり方ができるんです」と松田さんはいいます。

一方、エムティーアイさんの場合は、まずは費用対効果を見るのだそう。いちばん費用対効果が高いソリューションをその都度、選んでいるのだとか。でも、費用対効果って計算するのが難しそう。私なんて、出張取材の費用対効果の計算が「ドンブリ勘定が過ぎる」って、いつも編集長に怒られているのに! でも、エムティーアイさんは違うそうです。「うちはメンバー全員、常に費用対効果を見たり、かかったコストを算出したりする文化があるんです」と沖野さん。す、すごすぎる!

「あるプロジェクトでツールが必要になったときは、プロジェクトリーダーがツールを選んでいいことになっています。費用対効果をちゃんと計算できているはず、という信頼がありますから。ただし、うちは月に2回、組織変更がある会社。変化に柔軟に対応できるサービスでないとダメなんです。そのため費用対効果も短期で見るのではなく、柔軟性やカスタマイズに耐えられる拡張性も含めて、長期的な観点で算出するようにしています」(沖野さん)。

同じバックオフィス業務の課題解決のためのツール導入といえども、選定基準は違いますね。ツールを選ぶプロセスには、「その企業らしさ」が出るような気がしますよね!

ツール導入の前に組織文化を変えていこう

一方で、「いまの自社の企業文化」を前提にして、「自社らしいツールを選ぼう」と考えるのはちょっと違うのでは? そう警鐘を鳴らすのは、ツールを提供する側の立場からセッションに参加していた株式会社コンカー 事業開発本部 事業開発マネージャー兼 Concur Labs Tokyo 代表の上田純平さん。

株式会社コンカー 事業開発本部 事業開発マネージャー 兼 Concur Labs Tokyo 代表 上田 純平さん
(所属・役職は取材当時)

「たとえば、出社主義が文化になってしまっている企業。モバイルで経費精算の申請や承認ができるツールはそれほど必要ないですよね。でも、そのままでいいのでしょうか。まず、出社主義を変えるべきなのでは?」と話します。

確かにそうですよね。「自社の文化」「ウチらしさ」と言われるものの中に、「変えたほうがいいもの」「変えてはいけないもの」がありそうです。それはどうやって見分ければいいの?

「社員全員の労力が下がり、本来やるべきビジネスに注力できる。そのことが社員の幸せにつながって、会社の拡大にもなる。変えることによって、そう判断できるものは、変えたほうがいいでしょう」という上田さんの言葉に、みなさん、大きくうなずいていました。OND松田さんも「いきなり文化を変えるのは難しいけれど、少しずつ仕組みを変えていくのが大切ですよね」と話していました。

「どの業務のどこを、どんな目的で効率化するのか?」

今回取り上げた全4回のセッションを通じて感じたのは、テクノロジーによる生産性向上は、相当に可能だということです。ただし、「どの業務のどこを、どんな目的で効率化するのか」ということが明確になっていないと、「ただ高額なテクノロジーを導入したけど、あまり効果がなかった」ということになってしまう危険性が高い、ということもわかりました。

一方で、「業務の効率性を上げて、時間に余裕ができた分、新たなアイデアが生まれやすくなる」という気づきもありました!

うーん、私も原稿執筆の効率性がもっと上げて、記事の企画とかのアイデアがもっと出したい! はやくレポートを書き終えて、編集長に効率性を上げる方法を相談してみよう! と足早に、すっかり夜になった道を家路につく、ライターあやかでした!

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テクノロジーで生産性向上、どこまでできる?【SPIC2018潜入レポート①】
コミュニケーションの促進で生産性向上はできる?【SPIC2018潜入レポート②】
テクノロジーで人事・労務の業務はどう変わる?【SPIC2018潜入レポート③】

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