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建設業界では技術者の高齢化と後継者不足が深刻な問題となっている。他産業と比べて、若年層の割合や新卒の就職者が少ないことが背景にある。また、2020年に開催される東京五輪に向けた建設ラッシュや、その後も老朽化したインフラの修繕・建て替えなどで需要が大きい一方で、建設技術者の確保が必要な状況は続くと考えられている。

こうした状況を受けてヒューマンタッチでは技術者不足にもかかわらず建設業界が生産性向上の取り組みを行わない場合、2025年時点では必要とされる技術者35万人になる一方、実際の人数は24万人と、11万人の技術者不足が起きると予測している。

一方で、ICTを活用し、生産性向上の取り組みを行った場合には、必要な技術者は30万人で済み、実際の技術者は24万人と、需給ギャップは5万8000人と約6万人まで縮小するとの試算を出している。

生産性向上シナリオでの建設技術者数シミュレーション
生産性向上シナリオでの建設技術者数シミュレーション
(画像提供:ヒューマンタッチ)

ヒューマンタッチでは、ICTの活用に加えて「時間外労働の削減や週休2日制の導入することで、ほかの産業からの入職者増加や、(建設業界から)他産業への転職者の減少が期待できるほか、定年年齢の引き上げや、女性も働きやすい職場環境づくりなどが行われれば、この試算よりもさらに需給ギャップが改善することも予想される」(高本和幸・ヒューマンタッチ総研所長)と述べている。

編集部のココがポイント!

建設業界は、オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、施設や住宅、オフィスビルなどインフラ・建造物の整備維持から、需要が拡大することが上記からも明らかです。

しかし、建設業界の技術者不足については深刻であり、国土交通省も事態を重く見て対策に動いています。同省が進める課題解決の取り組みが、ICTを活用する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」です。これは、ICTの活用で技術者の業務効率の向上を図り、働きやすい職場を創出することで、建設業界の人材不足を解消するための施策です。具体的な施策としては、

  • 工程管理システムやプロジェクト管理システムを使った各プロセスの業務効率化
  • eラーニングなどを活用した効率的な人材育成や技能者訓練を実施するなど育成者側の生産性の向上
  • 建設技術者のキャリアパス支援

などが挙げられます。建設業界では調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新までと全ての建設生産プロセスでITの活用が可能です。具体的には設計であればCAD(コンピュータ支援設計)、それぞれの作業工程を管理するプロジェクト管理などがあり、システムを導入することで技術者不足を補い、業務の効率化が期待できるでしょう。

同省はこの他に、産官学が連携するコンソーシアムも組織しています。今後は、こうした国の後押しを受けながら、技術者不足という避けては通れない問題の解決にいち早く着手した企業だけが、生き残れるのかもしれません。

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