全産業平均よりも月間約30時間も長い、建設業界の労働時間。そんな状況を変える可能性を秘めたITサービスがあるそうです。建設業界マッチングプラットフォーム『ツクリンク』。そこで運営会社のハンズシェアさんを直撃。14年間、建築現場で職人として働いていたという同社代表の内山さんに、建設業界の働き方改革とITの活用の行方について聞いてみました!

株式会社ハンズシェア 代表取締役 内山達雄さん
建築現場の職人だったキャリアの持ち主。IT起業家となったいまも、「建設業界への愛」は深いものがあります。

「休日は週1日なのが当たり前だ」と思っていました

──厚生労働省の『毎月勤労統計調査 平成29年分結果確報』によれば、建設業界の月間平均労働時間は171.9時間。全産業平均の143.4時間よりも月30時間近くも長くなっていますね。業界に精通する内山さんの実感値と合っていますか。

ええ。14年ほど職人として働いていた経験からいうと、現場での労働時間はかなり長いです。ただ、他産業と比べて長いかどうかはわかりません。

とはいえ、建設業界に課題はあります。他産業との比較でいうと、週休2日制の導入が進んでいないことが課題に挙げられます。大手ゼネコンでは「週休2日制にしよう」という動きがあります。でも、この導入の動きは、公共工事の現場に限定され、民間工事の現場だとまったく進んでいないのが現状。一般の住宅を手がける職人さんにとっては、「日曜だけが休日」というのが当たり前なのです。私自身、職人として働いていたときは「休みは週1日なのが当たり前だ」と思っていましたよ。

──日給制で働いている職人さん自身が「できるだけ休まないで稼ごう」と考えていることもひとつの要因なのでしょうか。

そういう状況もあります。そこで、先進的な建設会社は、「一人親方」と呼ばれる個人事業主の職人さんを、正社員として雇用。月給制にして、週休2日制を確保しようと努力しています。でも、たとえば社会保険に加入している建設会社が、ほかの未加入の会社にコスト競争で負けてしまう事実もあり、なかなか職人さんの「働き方改革」が進まないんです。

──うーん、お話をお伺いしていると絶望的な気分になってきました…。

いえいえ、絶望するのはまだ早いと思います。日本の建設業界がつくりあげた建築物のクオリティは、世界のトップレベルです。トップレベルのモノづくりができる魅力を社会へしっかり伝えていきながら、旧態依然とした古い慣習を変える。そうすれば、日本の建設業界のブランド価値を高めて、「建設の世界で働きたい」という若者を増やすことができるはず。そんな想いから、私たちは『ツクリンク』を運営しています。

建設業界版マッチングサイトが現場を変える

──そういえば、2018年6月、大阪で震度6弱の地震がありましたが、建物の倒壊はごく少数だったことに、外国人が驚いていました。そんな建設業界の技術力を維持・発展させていくために、『ツクリンク』はどんな貢献ができるのですか。

働き方改革の関連なら、職人さんが働く上での非効率を解消できます。

たとえば、職人さんの人手が足りていれば1日で終わる仕事があるとします。そこで、ある建設会社が知り合いに対して「今週、手伝ってくれないか」と電話をします。仮に10社の協力会社がいたとしても、3社くらいに断られた段階であきらめて、結局、応援なしで、3日ぐらいかけて仕事をやりきることになるのです。でも、翌週になって電話をかけなかった残りの7社に会ったとき、「先週はヒマしてたよ」と言われる…、というような非効率がいろんな場面で起きていて、そのせいで職人さんが長時間、働いているケースが数多くあるんです。

でも『ツクリンク』があれば、こうした非効率はなくなります。『ツクリンク』では、「ある期間で職人さんを求めている」建設会社と、「この期間の仕事がほしい」建設会社、職人さんの情報が掲載されています。両者の情報が一目瞭然なので、『ツクリンク』上ですぐにマッチングされ、職人さんが働く時間を最適化できるのです。

──なるほど! ほかの業界では当たり前になりつつあるマッチングサイトの建設業界バージョンですね! ほかにどんな非効率を解消できますか。

移動時間のロスを解消できます。たとえば、都内の建設会社が千葉の現場で仕事をするケース、また一方で、千葉の建設会社が都内で仕事をするケース、どちらも現場への移動に時間がかかってしまいます。それを『ツクリンク』上で発見し、両者が話し合って担当する現場を入れ替えることができれば、双方の移動時間のロスを解消できますよね。

また、今後は職人さんの正社員化も後押ししていきたいと思っています。「仕事がない日があっても、定額の給与支払いを保証しなければいけない」というのは、建設会社にとって、職人さんを正社員として雇用しづらい大きな理由のひとつです。

これを解消するためにも、当日に仕事がなくなった職人さんへ、ほかの現場の仕事を手配することを、近い将来、『ツクリンク』で実現していきたいです。たとえば当日に雨が降ると、現場はお休みですよね。そのとき、職人さんを求めていて、晴天で稼働している別の現場があれば、そこに行ってもらえばいいのです。少しの工夫で、少しずつ職人さんの正社員化を後押しできるとも思っています。

若者が魅力を感じる建設業界へ

──「建設業界の魅力を若者に伝えていく」という側面で、今後『ツクリンク』でやろうとしていることはありますか。

職人さんや建設会社を評価できる軸を『ツクリンク』でつくっていきたいですね。優秀な職人さんの表彰を行っているゼネコンやハウスメーカーなどがありますが、その評価は一般の人々は知らないわけです。そこで『ツクリンク』上で、「この職人さん・建設会社は、いい仕事をしますよ」という評価軸を提供していきたいのです。

──その評価軸で判断して、施主が直接、職人さんに発注することもできそうですね。

ええ。『ツクリンク』で建設業界における多重請負の構造をできるだけコンパクトにしていきたいとも考えています。たとえば「クロス張り替えだけ」のような小規模な施工に対しては、クロス貼り職人さんへ直接依頼すればいいですよね。必要のない中間業者を省くことができれば、職人さんが受け取る金額は上がり、施主が支払う費用を抑えられます。職人さんも施主も双方がハッピーになりますね。
なにより、「いい仕事をする」と評価されることで、職人さんがプライドをもてるようになります。「自分もそうなりたい」と若者が建設業界に入ってきてくれることにもつながると考えています。

ITで新たなお客さんと出会える

──すばらしい構想ですね! 2018年7月時点で、約2万4,000社が『ツクリンク』に参加しています。さらに普及させていくための課題はなんでしょう。

そうですね…。建設業界の一部に根強くある、ITに対する不信感の払しょくでしょうか。建設業界はリアルなモノをつくる世界。そんな仕事をしている人たちからすると、IT業界って手ごたえのない、虚構の世界のように見えがちなんだと思います。だから、「あやしい」とか「だまされるんじゃないか」といった不信感をもつ人が少なくない。

でも、いまの職人さんはスマホを使いこなしているので、スマホ感覚で利用できて、かつベネフィットが大きいITサービスであれば、きっと使い続けてもらえると確信しています。まずは『ツクリンク』を使ってもらい、その便利さを体感してもらう。それによってITに対する不信感が解消され、さらなるIT化が促進される。そんな、きっかけになってほしいと考えています。

──実際にサービスを活用したユーザーの声を教えてください。

たとえば、独立したばかりの職人さんからは、「『ツクリンク』の会員になったことで、新たなお客さんと出会えました。仕事が増えてきたので、法人化することになりました!」との声をいただきました。建設会社では、「いままで特定の元請け会社の仕事しか受注していなかったが、より利益率の高い元請け会社の仕事を受注できた」という事例もあります。

やってみてダメだったらやめればいいだけ

──では最後に、「働き方を変えていこう」と志している建設業界の関係者にメッセージをお願いします。

建設業界の人手不足が叫ばれていますが、週休2日制を導入している建設会社には若い人たちが集まるようになってきています。きちんとした待遇を用意すれば認めてもらえる成功例が確実に増えているのです。つまり、働き方改革を推進したほうが経営的にプラスになると思います。

ただ、その大前提として、「いつも週5日分の仕事がある状態」をつくりだす必要があり、それを実現するツールが『ツクリンク』です。『ツクリンク』は無料で利用することができます。使ってダメだったらやめればいいだけ。ですから、とりあえずトライしてみてほしいですね。

──大手ゼネコンが音頭をとって業界で取り組む「上からの」働き方改革推進も重要ですが、『ツクリンク』は建設業界全体のあり方を見直し支えることで、働き方を変えていこうとしているんですね。これからも、さらに便利な機能をどんどんアドオンしていくという『ツクリンク』の今後の成長が楽しみです。本日はありがとうございました!

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