
こんにちは! 『ITトレンドスタイル』ライターのあやかです。はぁ~、今日も原稿をひたすら書き続けるのかぁ~。あ、編集長、「好きでライターの道を選んだんだろう」ですって? もちろんです! でも、ほら、気が乗らないときだってあるじゃないですか。はぁ、私が寝ている間に原稿を書き上げてくれる7人の小人とか、出てこないかなぁ。
おっ、そんな私にカンファレンスの取材依頼が。2018年7月開催「テクノロジーと企業経営の未来を考えるカンファレンス SPIC2018」。なになに? 「『生産性向上』について詳しい政府関係者、有識者、生産性向上につながるテクノロジーを提供している企業の経営者の方々をお招きして、リアルな実態を紹介します」とのこと。寝ている間に原稿を書き上げてくれるテクノロジーもあるかしら? これは行くしかありません! いざ!
と、意気込んで会場である東京・港区の虎ノ門ヒルズへ。SPICとは「SaaS Productivity Improvement Conference」の略で、直訳すると「SaaSを使った生産性向上カンファレンス」。働き方改革が注目度の高い話題とあって、第一回目ながら予想を超える参加希望があったんだそう! 主催は、働き方を考えるイベントも以前開催していた一般社団法人 at Will Workさんです。
働き方改革は“第2章”に突入!?
いよいよ、最初のセッションがスタート! 経済産業省 産業人材政策室 室長補佐の白石紘一さんによる「生産性向上へ向けた“働き方改革 第2章”」というテーマの講演です。

(所属・役職は取材当時)
「人口減少とAI時代の到来により『働き方』だけでなく『暮らし方』がガラッと変わった」と白石さんは話します。「人生100年時代」、「ヒトの質」が問われるこれからの時代を、幸せに過ごしていくための方法を考えなければいけないのだそうです。
そのひとつに「学び直し」があるそう。いちど学んだ学問やスキルだけでは、時代の変化のスピードに対応できなくなってきました。「人生3ステージ制」で、30~40歳でキャリアをいちど休む。そこでたとえば大学に行って学び直すといったことが必要になってくるそうです。
「いまあるスキルが通用しなくなるまでのサイクルが早くなっているので、スキルのアップデートをひんぱんにやっていかなくてはいけない」と白石さん。うぅ…。耳が痛い。けれど、そんな時代になってきていることは確かに実感します。
そして、しっかりスキルをアップデートしたうえで、個人の生産性を向上させるには「デジタル面とアナログ面の両方が大切」なのだそうです。
- デジタル面
…AI化や自動化で、いらない作業を戦略的にやめていく - アナログ面
…働く一人ひとりがイキイキと働ける環境を整備する
働き手自身が多様性を認めたうえで、自分らしく働けて活躍できる環境を整備する。その下支えとなる部分をテクノロジーが担うことで、よりモチベーション高く働けるようになる。これも生産性向上の大切なポイントなんだそうです。
確かに、気が乗らないときに、締め切り間近だからって原稿書かされると、ぜんぜん進まないもんね…。これはアナログの問題だったのか。
「本日はテクノロジーがテーマになっていますが、テクノロジーがすべてではありません。アナログとデジタルを融合したうえで、どう働き方改革をつくり上げていくか、ここが重要になってくると思います」という、白石さんの最後の一言。会場のみなさんは大きくうなずいていました。なにごともバランスですよね。
ジョブディスクリプションが未来の経営のカギに
続いての講演テーマは「テクノロジーで変わる経営の未来」。テクノロジーでこれだけ個人の暮らしや働き方が変わるんですもの。もちろん、企業だって変わらざるを得ませんよね! 登壇者は、東京大学大学院経済学研究科 経済学部教授の柳川範之さん。

(所属・役職は取材当時)
まずは「なぜ企業にも働き方を含む変化が求められているのか?」という問いからスタート。その答えは、「時代が変わるスピードが極めて速いから」。技術革新を経営戦略へ迅速に取り入れることもとても重要で、実際に技術の変化に対応できた企業は成長性が高いのだそうです!
「テクノロジーの進歩は、私たちの働き方を大きく変えました。すなわち、時間と空間にとらわれない働き方です。ネット環境さえあれば、いつでも、どこでも仕事ができます」。ふむふむ、確かに。「時間や場所の制約なしに、パラレルキャリアや、ダブルワークで働くことが当たり前になりつつある時代。企業は働く人に『選ばれる』必要があるのだ」と柳川さんは話します。
では、企業が働く人に「選ばれる」ためにはどうすればいいのでしょう。柳川さんが挙げたポイントは3つ。
- 本当に「そこで働きたい」と思える会社になること
- 生きがいを持って働ける人を集めること
- 多様性のある人材と接触させる機会を企業がつくること
なるほど。先の経産省の白石さんのお話にあった「アナログ面」の企業版ですね。「AI化や自動化で、人を減らせればコスト削減はできます。しかし、日本では解雇条件が厳しく、簡単には人を減らせない。いくら高度なテクノロジーを入れたとしても、それだけでは単なるコスト増になってしまいます」と柳川さん。
うーん、じゃあ人をどんどんクビにしないと生産性向上にならないってこと? 柳川さんは「人を減らすのではなく、テクノロジーで働き手の負担が減った分、企業は個人がイキイキと働ける場を提供することが必要なのです」と主張します。
そこでカギになるのがジョブディスクリプション(職務分析)。「いま、誰にどの仕事をさせているのか」を把握したうえで、適切な業務の再編成をすること。生産性向上には、テクノロジーを入れるだけではなく、まず組織を編成し直していくことが大事なんですって!
働き手の意識こそ進歩の源泉
テクノロジーの話題だったのに、最終的には働き手自身の改革が求められる、という結論に。すなわち、働き手の変化なしには生産性向上はできない、ということなんですね!
確かにクラウド化や自動化によって「働きやすく」なっている現代。そのスピードはさらに増すことでしょう。しかし、いつの時代においても大切なのは、テクノロジーを使ってより高みを目指す「人の意識」にあるのかなと感じました。ハッ! 「寝てる間に誰か原稿書き上げて…」なんて言ってる場合じゃない! 気合いモードで次のセッションに向かう、あやかでした!
↓↓次のセッションレポートはコチラ↓↓
●コミュニケーションの促進で生産性向上はできる?【SPIC2018潜入レポート②】
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●テクノロジーで人事・労務の業務はどう変わる?【SPIC2018潜入レポート③】
●バックオフィス業務のムダ、どこまで削減できる?【SPIC2018潜入レポート④】
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