「働き方改革」の波を受け、労働時間の短縮を図っても、「なかなか成果が上がらない」と嘆く企業も少なくないのが実情です。そんな中、ロボットに業務を任せることで、時短につなげたベンチャー企業の事例をご紹介しましょう。「RPAなんて、導入して効果があるのは定型業務のボリュームが大きい大企業だけだろう…」そんな風に思われがちですが、実際はそんなことはありません。正社員200名規模の家事代行サービスのベアーズさんが、1部門の特定業務だけにRPAを導入し、大きな効果をあげているのです。同社マーケティング部部長の後藤さんに詳しくお話をうかがいました!

株式会社ベアーズ マーケティング部 部長 後藤 晃さん

月初5日間、優秀な営業が社内に「缶詰状態」で作業

──法人顧客向けの報告書を作成する業務に、RPAを導入したそうですね。

はい。当社では個人から直接、家事代行を依頼されるBtoCのほかに、企業の福利厚生サービスのメニューにも取り入れてもらって、社員の方々に利用してもらうBtoBtoCのビジネスも展開しています。そうした会員企業の担当部署へ、利用状況に関する報告書を毎月、月初に提出しています。

現在、法人会員は520社ほどで、それぞれ報告書のフォーマットが異なります。そのフォーマットにあわせてCSV出力したデータをコピーして貼り付け、集計後チェックしていると、ミスが発生しやすくなります。さらには、目視でチェックし、修正まで対応していたので、膨大な時間がかかってしまっていたのです。

──事務スタッフが担当しているのですか。

いいえ。法人向けの営業担当の仕事です。1人が数十社ほど受け持つ場合もあり、月末から月初の5日ほどは、外へ出られないような状況でした。本来は、報告書を持ってすぐお客さまのところへ行き、「先月の利用状況を踏まえて、次は利用者を増やすための施策を打ちましょう」といった商談をしたいのですが、その営業時間が減ることは、営業生産性に対し、ボディブローのように効いていました。

とはいえ、月初5日だけ。事務要員を採用するほどの業務量ではありませんし、基幹システムに取り込むような大掛かりなこともできません。そのため、「問題がある」と認識しながらも、これまで放置されていたのです。

──報告書が企業によって異なることが問題なら、報告書フォーマットを統一する手もあるのではありませんか。

いまは難しいですね。というのも、私たちが提供している家事代行というサービスの認知度は、まだそれほど高くはありません。だからこそ、会員企業ごとのフォーマットに合わせたり、きめ細やかな対応をしたりすることで、サービスの幅を拡げていくことを優先したいのです。

クラウドサービスだが親身な個別対応

──なるほど。それでRPAを導入したわけですね。では、数多いRPAサービスの中で、今回、『BizteX cobit』(BizteX株式会社)を選んだ理由はなんでしょう。

大きく2つあります。1つ目は非常に低コストでスタートできるということ。2つ目は、担当の方が本当に親身になって、導入のためのシナリオを一緒に考えてくださったことです。

私個人の体験ですが、実は6年ほど前に、現在RPAと呼ばれているシステムの導入にかかわったことがありました。そのときはオンプレミスで立ち上げようという話で、数億円かかると試算していました。しかし、いまのRPAなら、クラウドで月10〜20万円前後の金額でスタートできるとのことだったので、「これだったらいける」と思いました。

また、BizteXさんの担当者は、導入前からさまざまな相談に乗ってもらい、スムーズな立ち上げに協力してくださいました。たとえば、私たちの社内のシステムでは、データを抽出するときに、セキュリティのための画像認証をクリアしなければ、システムに入れないようになっていました。この仕様のままでは、『BizteX cobit』は当初クリアできなかったのですが何度も検証を重ねることでうまくクリアできるようにしてくださいました。

──めずらしいですね。クラウドサービスは画一化されたサービスを多くの企業に提供するもので、個別対応をあまりしていないイメージがあります。

おそらく、企業文化ゆえでしょう。BizteXさんは、まだ立ち上げて1年ぐらい。それだけに「PDCAを回してどんどんサービスを良くしよう」というフェーズだと思います。小さい単位でモジュールを迅速にリリースするようなイメージで、私たちに対応してくださったのです。

お客さまに自信をもって数字を示せる

──それがベアーズさんのニーズとマッチしたわけですね。では、導入後の変化を聞かせてください。

営業担当の作業がだいぶ減りましたね。いまはロボットが夜にデータを報告書にコピー、集計してくれて、翌朝社員が出社したら報告書が完成している。まだ導入2ヵ月程度なので、確認作業はしていますが、それでも以前より約2日分の作業時間を短縮できたのではないかと。確認作業がなくなると、おそらく5日間かけていた作業が1日で終わってしまうでしょうね。

──お客さまのもとへ積極的に営業に行けるようになりますね。

はい。そのうえ、これまで使用したことのないデータをレポートにして、お客さまに提案ができるようになりました。たとえば、『BizteX cobit』によってエゴサーチやSNSのつぶやきを収集・分析して提案につなげた事例があります。最近、テレビの情報番組で、当社のサービスが取り上げられた際、『派遣スタッフのアイロンがけのテクニック』が紹介されました。その直後に、ツイッターでつぶやかれているワードの統計を確認したところ、「“家事代行でアイロンがけもしてくれる”なんて知らなかった」と驚く方が大勢いることがわかったのです。そのデータをもとに、「御社でも社員向けに“アイロンがけをしてくれる家事代行”を強調するPRをすれば、利用率が高まるはずです」といった提案ができるようになりました。

──RPAのユーザーである営業担当からはどんな声があがっていますか。

「精神的に楽になった」という声があがっています。営業担当は、必ずしもエクセルに詳しい人ばかりではありません。以前は、お客さまに提示する数字が間違っていないか、大きなプレッシャーがあったのです。正確な数字かどうか、人が確認することにも限界がありますから。いまは、正確無比なロボットが計算した数字ですので、お客さまに自信を持って提示できるようになっていますね。

──今後、別の業務にRPAを導入する計画はありますか。

あります。近々、コールセンター部門にRPAを試験導入する予定です。当社は家事を代行することで働く女性を応援しています。そんな会社の働き方は、柔軟性が必要だと考えています。また、「家事」をサービスにしているので、社員が家族と一緒に過ごす時間を持ってこそ、サービスの新たな糸口を見つける機会が増える。業務時間を短縮できるツールは、これからも積極的に導入していくつもりです。

機械に任せればミスを減らせる

──RPAの導入を検討している経営者・管理部門担当者にアドバイスをお願いします。

「人間のやることにはミスはあるけれど、機械のやることはミスがない」と思っています。ですから、定常業務化されていてミスが許されない業務については、どんどん機械に任せるべきです。いま、それが低コストで、簡単に実現できる世の中になっているのですから。パソコンに向かうデスクワークに多くの時間を割くよりも、人と対話して心を通わせることに時間を割くほうが、企業の強みを活かせるはずです。

正確な仕事をするのは日本人の長所ですが、それゆえに労働時間が長くなる傾向もあります。自動化を推進することこそ、日本人の生産性を高め、同時に働く人のワーク・ライフ・バランスに寄与する最適な打ち手かもしれません。

──RPAを導入したことによって、社員の労働時間が短縮されただけでなく、自社のサービスをよりよくするためのアイデアも出やすくなったのですね。RPAがもたらすものは、単なる業務の効率化ではないことがわかりました。本日は貴重なお話をありがとうございました!

気になる製品は無料でまとめて資料請求もできます。

おすすめ記事もチェック!