テレワーク」は、ICT(情報通信技術)を使って会社以外の場所で仕事をする働き方のことです。自宅で働く「在宅勤務」、顧客先や移動中などに携帯電話やメールを使って業務を行う「モバイルワーク」、勤務先以外のオフィススペースを使って働く「サテライトオフィス勤務」があります。

テレワークは、日本の企業でも新しい働き方として導入する、または導入を検討する企業が増えています。しかし、実際のところは、テレワーク制度の導入に二の足を踏んでいる企業や、導入はしたけれど、うまくいっていないという企業も多いのではないでしょうか?

働き方改革でテレワークの推進が叫ばれている中、この記事では、導入で失敗しないための手順について解説します。今回は、その中でも代表的な「在宅勤務」について、メリット・デメリットを説明しましょう。

在宅勤務を導入する前に!労務部門が考えるべきメリットとデメリット

在宅勤務制度を導入している企業の状況を参考に、代表的な「メリット」と「デメリット」を紹介します。

メリット

1.通勤の時間短縮と、通勤ラッシュなどのストレスから解放される
時間を有効活用できたり、従業員の健康を促進するメリットがあります。
2.出勤が困難な場合にもキャリアを生かして仕事ができる
産休、育休、障害者、介護従事者など、出勤が困難な状況でも自宅で仕事ができるということで、家庭とキャリアの両立を図れます。これは大きなメリットとして考えられています。

デメリット

1.出社せずに仕事をする環境
在宅勤務では、上司など社内の第三者の目が届かないため、勤務時間の管理や勤怠などの管理が難しくなります。すでに在宅勤務制度を導入している企業の多くは、業務開始と終了を申告し、基本的には業務時間の超過は認めないとして時間管理をしていることが多いようです。

在宅勤務を導入することで、社員の働き方が大きく変化するわけですから、企業側としては就業規則や雇用契約など、雇用について、様々な会社のルールの整備が必要になります。これは企業にとっては簡単なことではないでしょう。
2.自宅で業務を1人ですることの「孤独感」
Web会議システムやチャット、社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が発達した現在、業務のコミュニケーションを取ることはできますが、朝のあいさつや、ちょっとした立ち話程度の会話、就業時の「お疲れ様でした」など、実際に会って交わすコミュニケーションはなくなります。実はそういったコミュニケーションがメンタルヘルスにはとても重要だとも考えられています。

労務部門では新たに整備される就業規則や雇用契約について、きちんと対応できるように体制を整えることも大切ですが、在宅勤務で働く社員のモチベーションの維持など精神面での対応についても考える必要がありそうです。

在宅勤務を導入! 失敗しないためのポイント

それでは、メリットとデメリットを理解した上で、在宅勤務制度の導入にあたっての手順を紹介していきます。デメリットで挙がった企業側の体制の整備と運用、従業員のメンタルヘルスなどの課題も、この手順を踏むことで解決につながります。

導入のプロセスは大きく分けて5段階です。

  • (1)経営判断に基づく導入計画
  • (2)現状把握
  • (3)導入に向けてのプロジェクト立ち上げ
  • (4)トライアル導入と効果測定
  • (5)本格導入

(1)経営判断に基づいた導入計画

トップをはじめとする経営層が、経営判断の中で、テレワーク、今回の場合では在宅勤務制度を導入する「目的」を明確にすることから始めます。その目的が明確になることで、どういった形態で実施するのがよいかも明確になります。

企業が新しい働き方を導入することは、今まで考えられてきた「社内の当たり前」がなくなることもあります。そのため、まずは経営層が目的を明確にし、導入を決定することが必要です。これは、現場の管理を担当するミドルマネジメント(部門長・課長などの管理職)が在宅勤務制度を理解し、協力して行動できるようにするためには重要なことなのです。

簡単にいえば、トップをはじめとする経営層の承認を取ることで、制度の改正やルールの変更もしやすくなるというわけです。

(2)現状把握

ミドルマネジメントの役割は、経営層が決定した在宅勤務制度の導入に向けた、制度や業務フローなどの仕組みについての現状把握を実施することです。改正が必要な規則はあるのか、評価制度は現状で運用できるのかなど、以下の項目を参考に確認する項目を設定しましょう。

制度(就業管理、人事評価)

  • ・ICT(情報通信技術)環境
  • ・各業務フローの確認
  • ・労務、福利厚生

現状の把握から、実施するために何を準備し、改定し、社内での体制をどのように整えるかを計画します。

(3)導入に向けてプロジェクトチームの発足

経営層、ミドルマネジメントからの権限委譲を受けたら、いよいよプロジェクトチームによる具体的な導入計画の策定から社内の調整を行う段階に入ります。

プロジェクトチームを構成するメンバーはできるだけ広範囲な関係者で構成しましょう。テレワークの導入では社内の協力を得なければいけないことが多く出てきます。協力をスムーズにするためにも広範囲の関係者でプロジェクトチームを立ち上げる必要があるのです。以下は、その例です。

  • ・労務部門
  • ・人事部門
  • ・総務・管財部門
  • ・情報システム部門(情報セキュリティー)
  • ・導入する部門のマネージャーやリーダー(オフィスワーカーの代表)

プロジェクトチームは導入にあたっての基本戦略、導入計画の策定、計画の実行管理を行います。そして、テレワーク(この場合は在宅勤務)に合った社内制度の作成や社内情報通信システムの整備、教育・研修も実施します。このとき、社内での理解が十分に得られるように配慮しなければいけません。

モチベーション管理に必要なことも、この段階である程度は想定が可能です。計画を進める段階で加味することで全体的な計画を進められるほか、必要な対応も事前に準備ができます。

(4)トライアル導入と効果測定

トライアル期間は、半年から1年程度が適当でしょう。チェック項目を設定し、効果測定の項目について調査します。この結果を基に在宅勤務制度の導入が、(トップマネジメントが決めた)当初の目的に沿っているかなどを含めて検証します。そして、本格稼働に向けて課題の解決、検討を行って本格導入に段階を進めます。ここでは、デメリットで挙がっていたコミュニケーションの方法についても考えることができます。

つまり、管理をする側、在宅勤務で働く側、どちらの課題もこの段階で顕在化し、解決策を立てることがわけです。

(5)本格導入

導入の目的や期待する効果が出るような仕組みの構築と制度の調整ができたら、在宅勤務制度の本格導入です。重要なのは、本格導入後にも目的が果たされているかを確認したり、導入後に出てきた新たな問題点や改善すべき点など定期的に状況を把握したりして課題を解決することです。

テレワークの導入を成功させるポイントは、上記の手順からも分かるように、取り組みをボトムアップではなく、トップダウンで進めることにあるといえるでしょう。

テレワークの導入は社員、企業にとって有益な効果をもたらす

日本では、2020年までには、在宅勤務などのテレワークの導入企業が現在の3倍になるといわれています。政府もテレワークを推進し、自治体も助成金の支援制度などを整備していることもあって、導入企業はこれから増えると見られています。

今回紹介した導入の手順は、短期間で簡単に進められるものではありません。在宅勤務制度は、導入することが目的ではなく、「新しい働き方」として企業にとっても働く人たちとっても有益であることが目的なのです。

そして、あなたの会社がテレワーク導入するということは、社員の生産性や仕事の意欲の向上、環境問題、CSR(企業の社会的責任)、BCP(事業継続計画)などで効果を発揮することにつながります。

今回紹介した導入の手順が、テレワーク、なかでも在宅勤務制度の導入を検討している企業の担当者や、導入済みだが課題があるという担当者の役に立てば幸いです。

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