子育てしながら働く女性のイメージ図
子育てしながら働く女性のイメージ図

近年、女性の就業率(15~64歳)は上昇を続けています。
内閣府男女共同参画局によると、生産年齢人口における女性の就業率は、平成28年には66.0%と、過去30年の間に約13%も増加しています。

出典:内閣府男女共同参画局 「男女共同参画白書 平成29年版」 第1節 働く女性の活躍と課題
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h29/zentai/html/honpen/b1_s00_01.html


働く意欲のある女性が増える一方で、悩みの一つになっているのが「育児」です。仕事と育児の両立への理解は社会で定着しつつありますが、広く浸透したとまではいえません。

労働人口減少が叫ばれるなか、働き手として女性の活用は企業にとって重要です。女性に仕事と育児を両立してもらうための工夫は、人事担当者の頭の抱えどころでしょう。今回は、育児と仕事を両立して、女性が働きやすくするための制度や仕組みづくりを考えていきましょう!


「制度」と「IT」で『”時間”問題』を解決!

育児をする女性にとって一番の問題が「時間」です。仕事をすると必然的に長時間会社にいることになるため、育児にあてる時間が少なくなってしまいます。

例えば、子どもを保育園や学童保育に預けるための送迎は、残業が多い職場では難しくなります。そのために、毎日のように早退すれば、同僚などから冷たい目で見られるなど、肩身の狭い思いをすることにもなりかねません。しかし、仕事を優先すれば、育児がおろそかになり、子どもにさみしい思いをさせてしまいます。

この課題が解決できなければ、最悪の場合、退職を選択する女性社員も出てくるかもしれません。そうなれば貴重な人材を失うことになります。

では、人事担当者はどうすればよいのでしょうか。


一つの解決策として、「時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができる仕組みをつくる」ことが挙げられます。具体的には、「フレックスタイム制度」「在宅勤務制度」などの新たな就業規則を設けたり、自宅や社外で仕事をしても不便なく働ける環境を整備したりしていきましょう。

ただし、各種制度の見直しは、経営層を含めた全社的に取り組むべき項目になるため、十分な検討が必要です。一方で、社外で業務を行う環境づくりはITツールを活用することで実現できます。その一つが最近注目されている「テレワーク」です。

テレワークとは、「tele(=離れた場所で)+work(=働く)」という意味の造語で、ICTを活用して時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のことを指します。

では、テレワークには、どんなシステムが必要なのでしょうか。これについては厚生労働省の「テレワークの導入・運用ガイドブック」が参考になります。このガイドブックでは、企業規模や導入する職種などでモデルの類型を設定し、それぞれで必要なITツールを紹介しています。


各モデル類型におけるICTシステム・ツールの選択(一覧)

出典:厚生労働省 「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック」
http://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/01_01.pdf

・リモートデスクトップ方式
社内に設置されたPCのデスクトップ環境を社外で使うPCやタブレット端末などから閲覧や操作できるシステム
・仮想デスクトップ方式
会社に設置されているサーバーから提供される仮想デスクトップ(ソフトを使って複数のデスクトップ画面を作る方法)に、手元にあるPCからログインして利用するシステム
・クラウド型アプリ方式
会社の内外や端末を問わず、Web上からクラウド型のアプリケーションにアクセスして作業するシステム
・リッチクライアント
内蔵するハードディスク(HDD)に情報を保存できる端末
・シンクライアント
サーバーで情報を処理することで、入出力程度の機能しか持たない端末

この表を参考に、自社の規模や適応したい職種に応じて、システム方式やセキュリティー、労務管理やコミュニケーションシステムなど、必要な端末やシステムを検討していきましょう。

人事制度の見直しとテレワークをセットで行えば、時間問題の悩みが解決されるワーキングマザーも決して少なくはありません。もし勤務体制を変えるのが難しいようであれば、長期間の育児休暇制度を設けるなどの対策も考えられます。こうした取り組みは今後、ますます求められてくるでしょう。


幼児期の次にくる『小1の壁』にも対応!

子育て問題は、幼児期以降も続きます。その一つが「小1の壁」です。これは子どもが保育園から小学校に上がるときに、直面する社会的な問題です。

新生児から幼児までなら、夜遅くまで預かる託児所などを利用できますが、小学校1年生になった途端、難しくなります。学童保育の利用もありますが、公的な学童保育では、夕方に終わることも多く、託児所ほど遅い時間まで預かってくれる所はなかなかありません。そうなると、子どもを一人にしないために親が早く帰宅する必要が出てきます。

また、小学生は幼児期が終わり児童期に移り、自我が目覚めてきますが、まだまだ精神的に不安定なため、親がそばにいて見守る必要があります。こうした状況になると早退を余儀なくされる女性社員も多いでしょう。


こうした課題も該当する社員を見越した就業規則の変更とテレワークのセットが、人事担当者からできる解決策になりえます。就業規則では、柔軟な働き方ができるフレックスタイム制の導入が考えられます。テレワークを組合せてうまく活用できれば、時間や場所に縛られずに仕事ができるため、必要であれば育児中のすきま時間などで業務を行えますね。


共働きが当たり前となった今経済的な面や社会とのつながりなどの理由で育児と仕事の両立を望む女性は少なくありません。育児を抱える女性を戦力として活用していくために、彼女たちが直面しうる問題を予測し、対応できる制度面や働く環境の体制作りを用意するおくことが、企業には求められています。

その反面、法や制度に支えられるだけでなく、整えた環境を維持していくためにも、当事者である「働くママ」の責任感ある働き方も重要なポイントです。会社と働くママがお互い協力し合うことを前提に、人事担当者からサポートできることはしっかり行っていきたいものですね。


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