まず健康管理の課題を洗い出す
健康管理システムを選ぶ前に、まずは健康管理においてどんな課題があるのかをしっかりと把握しておきましょう。
課題衛生法が度々改正され、従業員に対する企業の健康管理が厳しく求められるようになりました。例えば、健康診断の受診が義務づけられ、企業は従業員に強制的に健康診断を受けさせなければなりません。
それでも受診を拒否する従業員には業務命令違反として懲戒解雇することを推奨する社会保険労務士もいます。その従業員が過労死し、裁判になった場合、数千万円の賠償金が企業に課せられるからです。
また、労働基準監督署からの指導も厳しさを増しています。「賃金」「雇用」「安全」に加えて、「健康」への取り組みが重要なテーマとなっています。これら従業員の健康管理を支援するのが健康管理システムです。監督官庁の指導に従い、社員の健康を増進するため、このシステムを導入する企業が増加しています。
その導入に当たって、企業内にどのような課題があるかを確認してみましょう
- ■健康増進への取り組み
- 健康診断は強制であり、企業は未受診者の放置を許されません。ストレスチェックなどメンタルヘルスの取り組みも義務づけられています。
そもそも、体調不良はビジネスの生産性を大きく低下させます。企業は従業員の健康増進に積極的に取り組まなければならない時代になっています。健康管理システムはこの課題を解決するソリューションとなります。
- ■健康管理業務の効率化
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労働安全衛生法などの改正によって、企業の健康管理業務は複雑になっています。健診準備、監督官庁提出資料の作成、健康情報(健康診断結果、問診結果、健康指導、面談記録、残業データなど)の取り扱いも関係部署の負荷となっています。
こうした煩雑な業務を効率化するため、あるいはペーパーレス化するために健康管理システムを導入する企業が多くなってきています。
- ■医療費の削減
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会社が負担している医療費を削減したいと考えている企業が多くあります。健康管理システムの導入によってメタボ社員を減らし、医療費を削減した企業もあります。行政の厳しい指導も医療費の国家負担の減額が大きな目的となっています。
- ■リスクマネジメント
- 従業員の入院や過労死は、企業にとって大変なリスクになります。健康診断の結果から異常値を発見し、早期に対処しなければなりません。また、長時間残業の放置も極めて危険です。健康管理システムはこれらを把握し、企業のリスクマネジメントとして機能します。
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2023.01.17
健康管理システムの活用で解決できる4つの課題
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健康管理システムの選定ポイント
企業が抱える従業員の健康管理問題を解決できる健康管理システムですが、これには様々な機能があります。これら機能の有無をチェックして、製品を選定していきましょう。
最適なコストバランスか
システム選定のポイントとして、まず最適なコストバランスの製品かどうかを確認しましょう。昨今の健康管理システムの市場には、多くの製品があり、価格や導入形態(パッケージ型・クラウド型)、機能まで様々な特徴を持った製品が登場しています。
ここで重要になってくるのがコストバランスです。いくら高性能なシステムを導入しても、自社の規格に合わなかったり、不要な機能ばかり備わっていたらシステムが複雑になり使いにくくなってしまいます。逆に低価格で性能の低いものを導入しても満足のいくサービスを受けられないかもしれません。
コストとパフォーマンスのバランスが取れた製品を導入しましょう。
課題解決に必要機能があるか
健康管理システム選定の上で欠かせないのが、そのシステムがもつ機能を把握しておくことです。導入の前に必ず自社の抱える課題を解決できる機能が備わっているのかを確認しておきましょう。
- ■人事情報連携
- 他システムとの連携機能が用意されているか確認します。人事データ取込み、勤労データ取込み機能が用意されていると業務を効率化できます。
- ■定期診断情報
- 健康診断の各種情報を一元管理します。自動判定により、異常値を発見できる製品もあります。
- ■特定保健指導
- メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に対して、生活習慣の改善など特定保健指導(動機付け支援、積極的支援)を行うことが義務づけられており、専用のシステムもあります。
- ■過重労働管理
- 過重労働者の発見を支援します。過重労働者の放置は極めて大きなリスクとなります。
- ■スケジュール管理
- 健康診断計画を支援します。自動スケジューリング、受診者一覧、関連帳票作成(受診予定者一覧表/受診のお知らせ)などの機能があります。受信者へのメール連絡機能が搭載されている製品もあります。
- ■帳票作成
- 労働基準監督署提出用「定期健康診断結果報告書」など、監督官庁提出資料作成をサポートします。定められたフォーマットに合わせて出力します。
- ■セキュリティ機能
- 健康管理システムは個人情報を扱うため、高度なセキュリティレベルが求められます。アクセス制限やログ管理などの機能があるかどうかの確認も忘れてはなりません。
自社が求める機能を持ったシステムを導入しよう
今回は健康管理システムの選び方についてご紹介しました。昨今、企業には、従業員の健康管理が強く求められています。人の手で行うと、複雑で大変時間がかかってしまう健康管理の事務仕事も、システムを導入すれば簡単に行えます。自社の従業員の快適な労働環境のため、健康管理システムの導入をご検討ください。