オンラインストレージ導入3つの失敗例
オンラインストレージを導入した時の失敗例を把握し、うまく運用にのせましょう。
失敗例1 サービスの変更・終了
ECサイトでの小売業を営むA社は、自社サーバでのデータ管理の管理運用コストの急上昇に耐えきれず、オンラインストレージサービスの導入を決定した。
試用期間内無料で運用開始したサービスはとても有用で、A社は人件費も含めたサーバー運用管理費の大きな削減に成功し、その後数ヶ月間で、A社の利益率は向上し、事業計画の上方修正も検討し始めた。
しかしその時、オンラインストレージサービスから、料金改定とサービス内容変更の通知があり、A社は苦境に立たされた。
通知内容の通りの変更が実施されれば、現状の経費内で同規模の事業継続は難しく、かといって移転するにもその人員を調整することは容易ではなかった。
A社は渋々内容に承諾してサービスの継続を行った。その結果、A社の事業計画は下方修正する以外に選択肢がなくなってしまった。
失敗例2 セキュリティリスク
記事ライティングを営んでいるB社は、ライターと直接契約をして案件を展開し、オンラインストレージを介して顧客と翻訳者との仲介を行っていた。
顧客からの依頼資料は極秘資料が多いため、B社はオンラインストレージサービス業者の選定は非常に吟味しており、セキュリティポリシーや設備、過去の情報取扱事故の有無なども確認し、少し割高だが業界屈指のセキュリティレベルを誇るオンラインストレージサービスを利用していた。
しかしある時、B社が請け負った資料がネット上に公開されていることが判明する。
B社は直ちに公開しているサーバの運用元に削除要請をし、流出経路を調査した。
結果、契約していたライターの一人が、不注意にもウイルス感染し、そこから資料流出していたことが判明した。B社は激しいバッシングの中、より厳しいライターとのNDA契約を締結することで、業務の存続を図ることになったが、業界内での生き残りは厳しくなってしまった。
失敗例3 使用容量の増大
営業の外部委託を請け負っているC社の所属社員は、様々な業種の営業として作業しており、あまり社内に戻ることがなかった。そのため、日々の作業報告や作成資料などについては、オンラインストレージ上の共有フォルダを使ってやりとりしていた。
ある時、C社の情報システム担当者宛に、オンラインストレージ容量が逼迫している旨の報告があがった。
調査の結果、確かにオンラインストレージの容量は契約容量の90%まで使用されていた。そのため、情報システム担当者はオンラインストレージ使用者に不要ファイルの削除を要請したが、ほとんど使用容量が減ることがなく、日が経つにつれて増えるばかりだった。
本来はファイルのやりとりをするだけで、そこにファイルが蓄積されることはないはずだが、領域の逼迫は限界に達し、業務を止めるわけにもいかないC社は、使用容量の追加契約を進めるしかなくなった。
オンラインストレージ導入失敗を防ぐには?
導入に失敗した事例を紹介しましたが、防ぐ方法も紹介します。
信頼できる提供会社を選ぼう
A社については、安易な業者選定と自社での管理能力の欠如が問題です。オンラインストレージサービスは多数存在し、中にはサービスレベルが非常に低い業者も存在します。
オンラインストレージサービスは、自社のデータを他社に委託するようなものだと肝に銘じ、いざという時にはすぐに乗り換えられるような体制を整えておく備えも必要になってきます。
情報の取扱は徹底しよう
失敗例2のB社の問題はセキュリティポリシーの弱さです。オンラインストレージだけの問題ではありませんが、外部から重要情報にアクセスできる環境というのは、漏洩のリスクと隣り合わせであり、その情報の取り扱いは慎重に行わなければなりません。
使用目的を明確にしよう
C社の一番の問題は使用用途の曖昧さとそれを放置してしまっていたことにあります。個人のPCでも同じですが、サーバー上では第三者のファイルであるために勝手に整理することもできないため、個人のPC以上に不要ファイルが残留してしまいます。
定期的な削除ルールを策定するなどして適切に管理しなければ、すぐに容量が逼迫します。特にオンラインストレージの場合は容量が月々の経費に直結しますので、その管理はより厳密にしなければいけません。
オンラインストレージ導入の際はしっかり確認しよう!
いかがでしたでしょうか。オンラインストレージサービスは、ここで紹介した失敗例のように、ファイル整理やセキュリティなどのポリシー管理に注意を払わなければ、思わぬ落とし穴にはまる場合があります。
しかし、その辺りをしっかりと策定・管理することで、固定経費の削減と業務効率化を実現することができるでしょう。