安否確認システムは本当に必要なのか?
安否確認システムとは、災害時に社員や家族の安否状況を確認するためのシステムです。一斉メール配信、状況集計、掲示板などの機能を提供します。特に新しいシステムというわけではなく、古くは1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに開発されたものもあります。
安否確認システムを導入する企業が増えていますが、本当に災害時の有効な連絡手段となり得るのでしょうか?
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安否確認は企業のBCP対策における盲点だった
安否確認システムが一気に注目を集めるようになったのは2011年の3.11東日本大震災からです。それまでも多くの企業はBCP対策を実施してきました。日本は地震や台風、火山の噴火など天災が度々発生する国で、BCP対策の重要性は早くから訴えられていました。
企業はシステム冗長化やデータの遠隔地レプリケーションなど、コストの許す限り対策を講じており、災害対策マニュアルを作成して従業員に対して訓練も実施してきました。
ところが、東日本大震災発生時は想定外のことが起きました。これらのBCP対策を実行するための要となる従業員の安否が取れなくなってしまったのです。固定電話も携帯電話も不通となり機能しません。かろうじてTwitterやFacebookのメッセージで確認できる程度でした。

全従業員の安否確認に煩雑な手間と時間がかかり、この効率化が大きな課題となって浮かびあがりました。自社のBCP対策は万全と考えていた企業にとって、思いがけない盲点となったのです。
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安否確認システムは災害時の稼働を想定して設計されている
企業は災害発生時、従業員の安否確認をどのような手段で行うべきなのでしょうか。真っ先に思いつく手段として、電話やメールが考えられます。しかし、東日本大震災発生当時を振り返ってみれば、回線混雑によってなかなか電話が通じなかった記憶がある方も多いのではないでしょうか。
電話はその仕組み上、多くの人が一斉に使用しようとすると繋がりづらくなってしまうため、災害時の連絡手段には向かないでしょう。
また、メールは電話に比べれば通じやすい手段ではありますが、従業員数が多い企業にとっては返信が来ていない人はいないか、全体のどのくらいの割合が出勤可能な状態にあるかなど、確認するのも一苦労です。
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安否確認システムは「災害発生時でも必ず全従業員に連絡が届くこと」「安否確認の回答結果を素早く集計すること」などにこだわって最初から設計されています。そのため、電話やメールなどの一般的な連絡手段よりも確実性があり素早い事業継続判断に役立つ方法であり、企業にとって欠かせないシステムであると言えるでしょう。
安否確認システムでできること
では安否確認システムでは具体的にどのようなことができるのでしょうか。ここでは、安否確認システムの機能について紹介します。
メールの自動送信機能
メールの自動送信機能は、地震発生時にシステムから登録社員に向けて安否確認メールが送信される機能です。緊急時の安否確認を行う管理者・監督者が被災し、自発的な安否確認メールを送信することが困難な際にも役立ちます。
リアルタイムデータの集計機能
リアルタイムデータの集計機能は、安否確認メールに対しての回答をリアルタイムで集計し、安否確認出来ていない人を明確にする際に役立ちます。リアルタイムでデータを集計できることで、企業の事業運営における早急な対応判断が可能となります。
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安否確認システムの仕組み
東日本大震災以降、安否確認の必要性が叫ばれ、既存あるいは新規の安否確認システムを検討・導入する企業が増加しています。その仕組みは次のステップになります。

ステップ1.インストール・登録作業
まずはインストールと登録作業です。システムに安否確認の対象者となる人たちの緊急連絡先を登録します。管理者で一括登録もできますが、社員が自分で登録することも可能です。メールアドレスには、会社支給のアドレスだけでなく、私有の携帯メールアドレス、自宅のプロバイダアドレス、フリーメールアドレスなども設定するようにし、何らかの方法で連絡を可能とします。
ステップ2.メール配信
災害発生の際はシステムが自動感知し、登録された連絡先に安否確認のメッセージを一斉配信します。防災管理者が送ることもできます。防災管理者は社内にいる必要はありません。携帯電話からも一斉配信や受信ができる仕組みとなっています。
一斉配信されたメッセージを受け取り、社員は安否情報を返信。防災管理者はこれを受け取り、確認・集計し、事業継続に必要な手段を連絡・実行していきます。以降、掲示板で情報を共有します。
ステップ3.安否情報の返信
一斉配信されたメッセージを受け取り、従業員は安否情報を返信します。一定時間以上返信がない従業員に対しては、システムが自動でメールの再送を行うこともできます。
ステップ4.防災管理者への報告
防災管理者はこれを受け取り、確認・集計し、事業継続に必要な手段を連絡・実行していきます。以降、掲示板で情報を共有します。
安否確認システム導入のメリット
安否確認システムには次のようなメリットがあります。

迅速で確実な安否確認
災害発生と同時に社員・関係者全員に一斉にメッセージを発信し、何らかの返答を得ることができます。未返信者にはリトライ(再発信)できるので、確認漏れを防止できます。
災害時のセキュリティ確保
Twitterなどの場合は外部にも情報が伝わってしまうため、社内連絡には不安があります。安否確認システムは社内に閉じられた仕組みなので、社外に情報が漏れる心配がありません。
管理者の負担軽減
管理者も被災者の1人。災害時には自分や家族のケアも必要です。安否確認の作業をほぼ自動化できるため、緊迫した中でも確実に実施できます。管理者の心理的負荷も大幅に軽減できます。
パンデミック発生時の対応
新型インフルエンザなどパンデミック(感染症の全国的・世界的な大流行)の際の社員の安否確認に活用できます。海外旅行中の社員の安否も確認できます。
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安否確認システムには導入するだけの価値がある
ここまで、安否確認システム導入の必要性について解説してきました。安否確認システムは電話やメールとは異なり、災害発生時などの有事の際に運用することを最初から想定されたシステムです。だからこそ、さまざまな行動が制限される非常時において、その力を十分に発揮することができると言えるでしょう。
多くの安否確認システムは比較的安価な初期費用で導入が可能です。まずは実際の製品をチェックしてみませんか?
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