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2026年04月14日

FOLIOの「4RAP」活用ファンドラップが預り資産1,000億円突破——SaaS型投資一任プラットフォームが金融機関の新選択肢に

FOLIOの「4RAP」活用ファンドラップが預り資産1,000億円突破——SaaS型投資一任プラットフォームが金融機関の新選択肢に

FOLIOの「4RAP」活用ファンドラップが預り資産1,000億円突破——SaaS型投資一任プラットフォームが金融機関の新選択肢に(写真はイメージ)

SBIグループのFOLIOが提供するSaaS型投資一任プラットフォーム「4RAP(フォーラップ)」を基盤に構築されたファンドラップサービス「岡三UBSファンドラップ」の預り資産残高が、2026年4月9日時点で1,000億円を突破しました。2024年10月のサービス開始からおよそ1年半という期間での達成となります。

「4RAP」は、銀行や証券会社といった金融機関が既存システムへの大規模な改修を行わずに、独自ブランドの投資一任サービスを立ち上げられるよう設計されたSaaS型のプラットフォームです。岡三UBSファンドラップはその代表的な活用事例であり、UBSアセット・マネジメントの運用ノウハウとFOLIOのシステム基盤を組み合わせたサービスとして、個人投資家が通常アクセスできない機関投資家向けファンドや海外ファンドへの投資を可能にしている点が特徴的です。

現在「4RAP」はSBI証券・愛媛銀行・足利銀行にも導入が広がっており、金融機関の資産運用サービス設計のあり方に変化をもたらす存在として、業界内での注目度が高まっています。

「貯蓄から投資へ」の流れが加速する中で生まれたサービス

日本の個人金融資産は長らく現預金に偏重してきましたが、2024年からのNISA(少額投資非課税制度)の大幅拡充をきっかけに、資産運用への関心は急速に高まっています。証券口座の新規開設数は記録的な水準で推移し、投資初心者を含む幅広い層が市場に参入しつつある状況です。

こうした流れの中、金融機関にとって課題となっているのが「どのように投資一任サービスを自社で提供するか」という点です。ロボアドバイザーや資産運用アドバイザリーサービスへのニーズは高まる一方で、独自にシステムを構築するには多大な時間とコストがかかります。また、金融商品取引法に基づく投資運用業の登録や、適合性原則に則ったサービス設計など、規制上の対応も複雑です。

FOLIOが提供する「4RAP」はこうした金融機関の課題に対応するために設計されています。「運用基盤システム」と「運用商品」をセットで提供するSaaS型のサービス構造により、金融機関は短期間で自社ブランドの投資一任サービスを展開できる環境を手に入れられると考えられます。岡三UBSファンドラップが1,000億円という規模に達したことは、このアプローチが実際の市場で受け入れられつつある一つの証左と見ることができます。

また、相続時受取人指定サービスといった付帯機能の整備も、資産形成層から資産承継層まで幅広いニーズを取り込む工夫と受け取れます。高齢化が進む日本では、資産の世代間移転に関連するサービスへの期待は一段と高まっており、こうした機能の充実は差別化要素の一つとなっています。

既存アプローチとの違いと「4RAP」の独自性

投資一任サービスやロボアドバイザーをめぐる環境は、近年急速に変化しています。「4RAP」の位置づけを理解するうえで、既存の主なアプローチと比較することが有効です。

個人向けロボアドバイザーとの違い

ウェルスナビや楽天証券の「楽ラップ」、SBI証券の「SBIラップ」などの個人向けロボアドバイザーは、サービス提供者が運用まで一体的に担うBtoCモデルです。一方「4RAP」は金融機関をパートナーとするBtoBtoCモデルであり、各金融機関が自社のブランドや顧客基盤を活かして独自サービスを展開できる点が根本的に異なります。

フルスクラッチ開発との比較

金融機関が独自に投資一任システムを開発・維持する場合、数億円規模の初期費用と長い開発期間が必要になるケースも珍しくありません。SaaS型である「4RAP」は、こうした初期投資を抑えつつ早期にサービス提供を開始できる選択肢として位置づけられます。既存の口座・預り残高管理システムに対して大規模な改修を加えずに導入できる点も、実務上のメリットとして挙げられています(特許第7719671号)。

運用業者の選択自由度

「4RAP」の特徴の一つとして、FOLIO以外の運用業者も選択できる点があります。岡三UBSファンドラップではUBSアセット・マネジメントが運用助言を担いながら、販売を行う岡三証券が投資運用業務を担う形を採用しています。このような柔軟なスキーム設計が可能なのは、特許技術(特許第7611791号)による機能を持つ「4RAP」の設計思想によるものと説明されています。

機関投資家向けファンドへのアクセス

個人向けロボアドバイザーは一般に公募投資信託を組み合わせて運用しますが、岡三UBSファンドラップはファンド・オブ・ファンズ形式により、通常個人投資家が直接投資できない機関投資家向けファンドや海外ファンドを組み入れています。選べる投資スタイルは100通り以上とされており、リスク許容度に応じたきめ細かな対応が可能な点は、他の個人向けサービスとの差別化軸の一つと捉えられます。

導入実績と展開規模

SBI証券・愛媛銀行・足利銀行という異なる業態・規模の金融機関への導入実績は、システムの汎用性を示す材料となります。大手ネット証券から地方銀行まで対応できるとすれば、今後の展開余地はなお広いと見る向きもあります。

導入・検討時に確認しておきたいポイント

「4RAP」への興味・関心を持つ金融機関のIT担当者や事業企画担当者が、具体的な検討を進める際に押さえておくべき視点を整理します。

コスト構造の把握

SaaS型サービスである以上、月額固定費・取引量連動費用・初期設定費用など、料金体系の詳細を事前に確認することが重要です。預り残高が拡大するにつれてコストがどのように変化するか、損益分岐点のシミュレーションを導入前に行っておくことが望ましいと考えられます。

カスタマイズの範囲と制約

「各金融機関のニーズに合わせたカスタマイズが可能」とされていますが、標準機能の範囲内でどこまで対応できるか、追加開発が必要になるケースはどのような場合かを具体的に確認する必要があります。サービスデザインの自由度と、標準機能の制約との兼ね合いを見極めることが重要です。

既存システムとの連携方式

「既存システムへの大規模な改修は不要」とされていますが、口座管理システムや顧客管理システム(CRM)との連携に際してどのようなAPI仕様が求められるかを確認しておくことが実務的には欠かせません。特にレガシーシステムを抱える地方銀行や信用金庫にとっては、連携の手間やコストが導入判断に影響する場合があります。

運用業者選定の実務プロセス

「FOLIO以外の運用業者も選択できる」とされる点は自由度の高さを示していますが、実際にFOLIO以外の運用業者を選択する場合の手続きや条件についても確認が必要です。運用スキームの設計は、金融商品取引法に基づく各種登録や当局への届出手続きとも連動するため、法務・コンプライアンス部門との連携が不可欠です。

サポート体制と障害対応

金融機関向けシステムとして、障害発生時の対応フローや稼働率(SLA)の保証水準を明確にしておくことも重要な確認事項です。資産運用サービスにおいてシステム停止は顧客への影響が直接的であるため、バックアップ体制や復旧時間の目標値(RTO/RPO)についても事前に確認することが求められます。

金融機関の「資産運用DX」を支えるプラットフォームとして

岡三UBSファンドラップの預り資産1,000億円突破は、単一サービスの成長報告にとどまらず、「4RAP」というプラットフォームビジネスモデルの有効性を示す事例として受け取ることができます。サービス開始から1年半という期間でこの規模に到達したことは、個人の資産運用ニーズの高まりとともに、金融機関側でのサービス拡充意欲の強さを映し出しているとも言えます。

FOLIOはSBIグループの傘下にあることから、今後もグループ内外の金融機関との連携強化が見込まれます。「4RAP」の導入先が業態や地域を越えて広がることで、プラットフォームとしてのスケールメリットが生まれ、機能拡充や運用コスト低減につながる可能性もあります。

一方で、ファンドラップ市場では競合の動きも活発です。大手証券会社や銀行グループがそれぞれ独自のサービスを強化する中、SaaS型プラットフォームとしての「4RAP」がどこまで差別化を維持できるかは、今後の機能開発とパートナーシップの広がりにかかっていると言えそうです。

資産運用の「民主化」というテーマが金融業界全体で語られる中、金融機関向けのインフラとして機能する投資一任プラットフォームの動向は、今後も注目していく価値があります。

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