アプリケーション仮想化2つの方法
まず、アプリケーション仮想化の2つの方法をご紹介します。
方法1 サーバベースドコンピューティング
SBCとも呼ばれています。この方法は、サーバ上にインストールされたアプリケーションを、複数のユーザーが共同で利用するしくみです。アプリを起動するときは、サーバ上でアプリを実行し、その画面をユーザーに転送しています。個々のユーザーが操作するキーボードやマウスの信号をサーバ側に転送し、アプリを動かしている状態になります。
サーバベースドコンピューティングには欠点がいくつかあります。
- アプリケーションがマルチユーザー対応でなくてはならない
- 1つのアプリケーションを共有しているので、他の利用者に影響を与えてしまうことがあります。
- オフラインではアプリケーションが使用できない
- サーバと通信を行いつつアプリケーションを使用するので、常時ネットワーク接続が必要です。
方法2 アプリケーションストリーミング
アプリケーションの動作に必要なレジストリやファイルを、アプリケーションと合わせて一つのファイルにパッケージ化し、サーバから配信するしくみです。サーバベースドコンピューティングと異なるのは、アプリケーションをOSから切り離し、独立したパッケージでユーザーに配布しているということです。
通常のアプリケーションはOSと連動しています。アプリケーションを起動するには、レジストリというアプリケーションの設定部分が必要です。このレジストリはアプリケーションとは別個に存在し、OSがレジストリを読み込んでアプリケーションを起動させています。
しかし、アプリケーションストリーミングは、このレジストリがアプリケーションと同じパッケージ内に存在するので、OSと連動しなくてもアプリケーションを起動できます。したがって、社内で使っていたシステムがOSに対応していなくても、継続して使用することができます。オフラインでも使用可能です。
アプリケーション仮想化3つのメリット
それでは、アプリケーション仮想化には、どのようなメリットがあるのでしょうか。システム管理者とユーザーの、2つの視点から考えてみましょう。
メリット1 システム管理のコスト削減
- ■管理者のメリット
- ユーザーが使用するアプリケーションの管理を一括で行うことができるので、何よりインストールとバージョンアップを一括で完了できます。社員が何千人もいる企業では、1つのアプリケーションのアップデートを行うにも根気強い注意喚起が必要です。アプリケーション仮想化を行うと、サーバ側でアップデートを行うのでそのような注意喚起やセキュリティパッチの配布などの手間もかかりません。
また、ユーザーごとにアクセス制限をかけられるので、会社の役員用のデータなど重要な情報を管理することにも長けています。
- ■ユーザーのメリット
- 毎回自分でアップデートをしなければならなかった手間が省けます。アプリケーションストリーミングの場合、OSがなんであってもアプリケーションを起動することができるので、今まで使用していたアプリケーションを継続して使うことができます。
メリット2 情報漏えい対策
- ■管理者のメリット
- 重要なファイルやデータはすべてサーバの中にあるので、個人がデータを持ち歩くことがありません。社員にセキュリティ対策を強化してもらうという手間を省けます。
- ■ユーザーのメリット
- 同様に、自分の端末の中にデータが残らないので、端末を紛失した際やウイルスに感染した場合でも、情報漏えいにつながりません。
メリット3 リモートアクセス可能
- ■管理者のメリット
- 重要データを端末に残さないので、震災やパンデミック時にも出勤せず、自宅の個人所有のパソコンを使用して安全に勤務することが可能です。個人所有のパソコンに対しての追加投資もありません。これによって、業務を停止させない基盤を作ることができます。
- ■ユーザーのメリット
- 営業先でお客様の情報を確認したり、育児中や介護中の在宅勤務が可能になります。
まとめ
最近ではコワーキングスペースが増加し、リモートワークなどのワークスタイルを取り入れている企業もあります。他社と共同で仕事を進めることで、事業の新たな展開が望めるかもしれません。
2つの方法と3つのメリットをご紹介しました。自社にあったやり方を検討してみるとよいでしょう。