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決算個社IT・インターネット2026年09月25日

【株式会社サイバーエージェント(証券コード:4751)徹底解説】2026年9月期 第3四半期──営業利益38.2%増、ABEMA黒字化が効く

【株式会社サイバーエージェント(証券コード:4751)徹底解説】2026年9月期 第3四半期──営業利益38.2%増、ABEMA黒字化が効く

株式会社サイバーエージェント(証券コード:4751)は、「ABEMA」を中心としたメディア&IP事業、インターネット広告事業、ゲーム事業を三本柱とする企業です。同社は2016年に開局した「ABEMA」を中心とした事業拡大を目指しています。近年はメディアミックス戦略を軸としたIPビジネスの成長を受け、「ABEMA」と親和性の高いIP事業の強化に取り組んでいます。

2026年9月期第3四半期連結累計期間の売上高は7,092億72百万円となり、前年同期比+12.2%の増収でした。営業利益は674億49百万円(同+38.2%)、経常利益は691億82百万円(同+42.3%)です。親会社株主に帰属する四半期純利益は360億35百万円(同+49.5%)となりました。

主要3事業であるメディア&IP事業、インターネット広告事業、ゲーム事業がそろって増収となっています。増収率を大きく上回る利益の伸びが、今回の決算の特徴です。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【株式会社サイバーエージェント(証券コード:4751)徹底解説】IP×広告×ゲームの三層構造

1. 通期着地を左右する市場環境

同社は決算短信で、日本のみならず世界においてメディアミックス戦略を中心としたIPビジネスが急成長していると説明しています。その流れを受けて、「ABEMA」と親和性の高いIP事業の強化に取り組んでいるとしています。映像配信を起点に、関連するコンテンツ展開まで収益機会を広げる考え方です。

この方針は、動画配信事業の位置づけが変わりつつあることを示していると考えられます。配信プラットフォーム単体で収益を確保するのではなく、作品や権利を軸に複数の事業へ収益を波及させる構造だからです。広告、課金、ゲーム、グッズなど、収益源が分散するほど単一市場の変動に左右されにくくなると見られます。

一方で、インターネット広告の領域では引き続き競争が続いています。同社のインターネット広告事業は第3四半期累計で増収を確保しましたが、営業利益は前年同期を下回りました。通期の着地は、広告事業の収益性がどこまで戻るかと、ゲーム事業の勢いが続くかの両面に左右されると考えられます。

2. 業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
株式会社サイバーエージェント 2026年9月期 第3四半期決算短信(PDF)

第3四半期連結累計期間の売上高は7,092億72百万円で、前年同期の6,319億93百万円から772億79百万円増加しました。増収率は+12.2%です。第1四半期累計が+14.0%、第2四半期累計が+13.6%でしたので、二桁の増収ペースが3四半期続いています。

営業利益は674億49百万円となり、前年同期の487億98百万円から186億51百万円増えました。増益率は+38.2%です。営業利益率は9.5%となり、前年同期の7.7%から1.8ポイント改善しました。増収以上に利益が伸びており、費用の伸びを売上の伸びが上回った形です。

経常利益は691億82百万円で、前年同期比+42.3%となりました。為替差益9億65百万円の計上などにより、営業外収益が前年同期より増えたことが寄与しています。親会社株主に帰属する四半期純利益は360億35百万円で、前年同期比+49.5%です。前年同期に計上した減損損失が縮小した点も、最終利益の伸びにつながっています。

財政状態は、第3四半期末の総資産が5,511億72百万円となり、前期末から59億89百万円減少しました。法人税等および配当金の支払いに伴う現金及び預金の減少が主因です。純資産は2,978億97百万円となり、前期末から222億16百万円増加しました。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で最も重要なのは、利益の伸び方が事業ごとに大きく異なる点です。売上高全体は+12.2%の増収でしたが、営業利益は+38.2%と3倍以上の伸びを示しました。この差がどこから生まれているかを見ると、同社の収益構造の変化がわかります。

メディア&IP事業は売上高1,839億31百万円(前年同期比+8.9%)に対し、営業利益は131億78百万円(同+88.0%)と大幅な増益でした。同社は増益の要因として、株式会社AbemaTVの黒字化等が寄与したと説明しています。長く先行投資が続いた領域が利益貢献の段階に入ったことを示す数字です。

ゲーム事業は売上高1,933億91百万円(同+37.8%)、営業利益509億23百万円(同+44.8%)と大幅な増収増益でした。同社は主力タイトルの好調さに加え、カジュアルゲームがグローバルでヒットしたことを要因として挙げています。一方、インターネット広告事業は売上高3,636億87百万円(同+4.9%)に対し、営業利益は154億25百万円(同-1.7%)と減益でした。

なお同社は2026年8月7日に、2025年11月14日公表の通期連結業績予想を修正しています。第3四半期までの進捗が計画を上回ったことが背景にあると考えられます。

4. Q3時点の事業進捗

通期予想に対する進捗率を確認します。売上高は9,500億円の予想に対して累計7,092億72百万円で、進捗率は約74.7%です。第3四半期の目安である75%とほぼ同水準となっています。

利益面の進捗はこれを上回ります。営業利益は770億円の予想に対して累計674億49百万円で、進捗率は約87.6%です。親会社株主に帰属する当期純利益は410億円の予想に対して累計360億35百万円で、進捗率は約87.9%となっています。売上は計画どおり、利益は計画を先行して積み上がっている状態です。

事業別に見ると、収益モデルの違いが進捗の差に表れていると考えられます。インターネット広告事業は人手と運用の比重が大きく、売上が伸びても利益率が上がりにくい構造です。これに対しゲーム事業やメディア事業は、ヒットや黒字化の局面で利益が一気に立ち上がりやすい性質があります。

投資育成事業は売上高2億43百万円(前年同期比-83.0%)、営業損失16億48百万円となりました。前年同期の営業損失8億60百万円から損失が拡大しています。規模は小さいものの、ファンド運営の評価によって振れやすい領域と見られます。

5. 業界の注目ポイント

動画配信事業の黒字化が持つ意味

同社はメディア&IP事業の増益要因として、株式会社AbemaTVの黒字化等を挙げています。動画配信は、番組制作費や配信インフラなど固定的な費用が先に発生する事業です。視聴者数と広告・課金収入が一定の水準を超えるまで、赤字が続きやすい構造にあります。

その段階を越えると、追加の視聴者から得られる収入の多くが利益に残ります。メディア&IP事業の売上が+8.9%の伸びにとどまる中で営業利益が+88.0%増えたのは、この性質が表れた結果と考えられます。今後は視聴時間の維持と制作投資のバランスが焦点になると見られます。

IP軸のメディアミックスという収益の広げ方

同社はIPビジネスの急成長を背景に、「ABEMA」と親和性の高いIP事業の強化に取り組むとしています。メディア&IP事業には「ABEMA」「WINTICKET」に加え、アニメ&IP事業本部や株式会社サイピク等が含まれます。作品の企画・制作から配信、関連展開までを自社グループ内に持つ形です。

この構造は、一つの作品から複数の収益機会を生む点に特徴があります。配信、広告、ゲーム化、関連商品といった形で収益が積み上がるためです。同社が「それらが重層的に売上を積み上げ」と表現しているのは、こうした構造を指していると考えられます。

広告事業の利益率とデジタル接点の設計

インターネット広告事業は売上高が+4.9%と増収を確保する一方、営業利益は-1.7%と小幅な減益でした。同社は直前四半期以降、高い増収率を継続していると説明しています。売上の勢いは戻りつつあるものの、利益率の回復には時間がかかっている状況です。

広告出稿の効果は、遷移先となる企業のWebサイトやランディングページの設計に左右されます。広告で流入を増やしても、受け皿となるページが問い合わせや購入につながらなければ成果は伸びません。広告運用とWebサイト制作・改善を一体で捉える発想が、発注側にも求められていると考えられます。

6. ITトレンド編集部の考察

前期の2025年9月期は売上高8,740億30百万円、営業利益717億2百万円、親会社株主に帰属する当期純利益316億67百万円で着地しました。今期は第3四半期累計の時点で営業利益674億49百万円に達しており、前期通期の水準に迫っています。利益の質が明確に変わった一年と評価できます。

注目したいのは、三本柱の役割分担が入れ替わりつつある点です。売上規模では依然としてインターネット広告事業が3,636億87百万円と最大ですが、営業利益ではゲーム事業の509億23百万円が突出しています。メディア&IP事業も131億78百万円と利益貢献の段階に入りました。

通期予想は売上高9,500億円(前期比+8.7%)、営業利益770億円(同+7.4%)、経常利益780億円(同+8.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益410億円(同+29.5%)です。配当予想は年20円で、前期の17円から増配の計画となっています。第3四半期までの利益進捗が9割近くに達している点を踏まえると、計画には余裕があると見られます。

一方で、ゲーム事業の伸びはヒットタイトルの寄与が大きく、四半期ごとの振れ幅も大きい領域です。広告事業の利益率がどこまで戻るかと、「ABEMA」の黒字基調が定着するかが、来期以降の安定性を左右すると考えています。

7. まとめ

  • 2026年9月期第3四半期累計:売上高7,092億72百万円(前年同期比+12.2%)、営業利益674億49百万円(同+38.2%)、経常利益691億82百万円(同+42.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益360億35百万円(同+49.5%)
  • 営業利益率は9.5%へ改善(前年同期は7.7%)、1株当たり四半期純利益は71.07円
  • セグメント別:メディア&IP事業は売上高1,839億31百万円(同+8.9%)・営業利益131億78百万円(同+88.0%)、インターネット広告事業は売上高3,636億87百万円(同+4.9%)・営業利益154億25百万円(同-1.7%)、ゲーム事業は売上高1,933億91百万円(同+37.8%)・営業利益509億23百万円(同+44.8%)
  • 投資育成事業は売上高2億43百万円(同-83.0%)、営業損失16億48百万円
  • 第3四半期末の総資産5,511億72百万円(前期末比59億89百万円減)、純資産2,978億97百万円(同222億16百万円増)
  • 2026年8月7日に通期業績予想および配当予想を修正
  • 2026年9月期通期予想:売上高9,500億円(前期比+8.7%)、営業利益770億円(同+7.4%)、経常利益780億円(同+8.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益410億円(同+29.5%)、配当予想は年20円

ITトレンド編集部

IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

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