MSPサービスの市場規模
MSPサービスは、ITインフラの運用監視を外部に委託するサービスとして需要が拡大しています。公的な市場規模の統計は限られますが、クラウド利用の拡大やIT運用負荷の増加とともに、市場は成長傾向にあると考えられます。ここでは関連市場のデータをもとに、規模感と成長性を解説します。
国内市場の現状
MSPサービス単体の公的な市場統計は確認できません。ただし、関連性の高い国内パブリッククラウド市場は大きく拡大しています。クラウド利用が進むほど、監視や障害対応、設定変更、性能管理といった運用業務を外部に委ねるニーズも高まりやすくなります。
総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、日本のパブリッククラウドサービス市場は2024年に4兆1,423億円となりました。前年比26.1%増と高い成長を示しています。こうしたクラウド市場の拡大に伴い、運用を支えるMSPサービスの重要性も高まっていると考えられます。
海外市場の動向
海外では、クラウド運用やセキュリティ監視を外部委託する考え方が日本より先に広がってきました。特に北米では、複数クラウドの運用やセキュリティ対策を一体で任せる需要が強く、市場の成熟が進んでいます。
世界のパブリッククラウド市場が大きく伸びている点も、MSPサービスの追い風です。企業システムがクラウドへ移るほど、設計後の継続運用を支える外部パートナーの役割は重くなります。海外市場の拡大は、日本でも同様の需要が続くことを考える材料になります。
成長率の見方
MSPサービスの成長性を見るときは、MSP単体の売上額だけでなく、クラウド移行の進み具合や社内のIT人材不足、セキュリティ対策の負荷をあわせて見ることが大切です。これらの指標が伸びるほど、運用監視代行の必要性も高まりやすくなります。
実際に国内パブリッククラウド市場は高い伸びを示しており、企業のシステム運用が複雑になっていることがうかがえます。MSPサービスは、この複雑化に対応する役割を担うため、今後も需要が広がる余地がある分野です。
MSPサービス市場が広がる背景
MSPサービスの需要が増えている理由は、システムの運用が難しくなっているためです。DX推進やクラウド利用の拡大、サイバー攻撃対策の強化が重なり、社内だけで運用を完結しにくい企業が増えています。
DX推進の影響
多くの企業が業務のデジタル化を進める中で、運用対象となるシステムは増えています。基幹業務システムだけでなく、営業から会計、人事、顧客管理まで広くクラウドやネットワークに依存するようになり、止められないシステムが増えました。
その一方で、DXを進める人材は不足しやすい状況です。社内の限られた人員だけで新規施策と日常運用の両方を担うのは負担が大きく、運用監視を外部に任せる選択肢が現実味を増しています。
参考:DX動向2024 - 深刻化するDXを推進する人材不足と課題|独立行政法人情報処理推進機構
クラウド普及の影響
総務省の通信利用動向調査では、企業によるクラウドサービス利用状況が毎年把握されています。クラウド利用が広がるにつれて、オンプレミスとクラウドが混在する環境や、複数のクラウドを併用するケースも増えてきました。その結果、運用監視の難しさは以前より高まっているといえるでしょう。
こうした状況を背景に、監視対象の一元化から障害時の一次対応、定期的な運用報告までまとめて委託したい企業が増えています。MSPサービスは、複雑な環境を整理しながら安定運用を支える役割として注目されています。
セキュリティ需要の増加
運用監視の重要性が高まっている背景には、サイバー攻撃の深刻化もあります。警察庁の公表資料では、令和6年のランサムウェア被害報告件数は222件とされ、高い水準が続いています。
被害を防ぐには、障害監視だけでなく、不審な挙動の検知やログの確認、早い初動対応が欠かせません。MSPサービスの中でも、セキュリティ監視やインシデント対応を強化したサービスは、今後さらに選ばれやすくなるでしょう。
参考:令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁
MSPサービスの今後の展望
今後のMSPサービスは、監視業務の代行にとどまらず、クラウド運用の最適化やセキュリティ強化まで含めて役割を広げるとみられます。市場の拡大とともに、求められるサービス品質も高まっていく見込みです。
市場成長の予測
国内でMSPサービス単体の将来予測を示す公的統計は確認できませんでしたが、関連市場であるクラウド市場は引き続き成長が見込まれています。企業のシステムがクラウドへ移り、運用対象が増える流れは今後も続く可能性があります。
このため、社内の運用負荷を抑えたい企業や、24時間体制を自前で持ちにくい企業を中心に、MSPサービスの導入検討は進みやすいでしょう。特に中堅企業や複数拠点を持つ企業ではニーズが高まりやすい分野です。
技術進化の影響
近年は、人工知能を使った異常検知や、運用作業を自動化する仕組みが広がっています。これにより、従来は人手で行っていたログ確認や通知対応の一部を効率化しやすくなりました。
今後のMSPサービスでは、監視項目を増やすだけでなく、異常の兆候を早めにつかみ、障害前に対処する体制が競争力につながります。利用企業にとっては、対応スピードだけでなく、再発防止まで提案できるかが比較ポイントになります。
サービス高度化の動向
今後は、監視や障害対応、運用報告だけのサービスよりも、クラウド費用の見直しや構成改善、セキュリティ運用の支援まで含むサービスが伸びやすいと考えられます。企業側は、外部委託先に実務対応だけでなく改善提案も期待するためです。
そのため、監視ツールの充実度よりも、運用設計の見直しや継続改善まで伴走できるかが重要になります。MSPサービス選びでは、サポート範囲と改善提案力を確認しておくと比較しやすくなるでしょう。
今後伸びやすいMSPサービスの特徴
市場が広がる中でも、すべてのMSPサービスが同じように評価されるわけではありません。今後は、運用負荷を下げるだけでなく、事業継続やセキュリティの観点で価値を示せるサービスが選ばれやすくなります。
クラウド運用に強い
今後伸びやすいのは、クラウド環境の監視や設定変更、障害切り分けに強いサービスです。企業ではオンプレミスからクラウドへの移行が続いており、従来型のサーバ監視だけでは対応しにくい場面が増えています。
複数のクラウドをまたいで監視できるか、運用ルールを整理してくれるか、レポートがわかりやすいかといった点が、選定時の差になりやすいでしょう。
セキュリティ運用を支援できる
サイバー攻撃のリスクが高まる中、監視とあわせてセキュリティ運用を支援できるサービスは評価されやすくなります。通知を出すだけでなく、危険度の整理や初動支援まで行えると、社内の負担を抑えられるからです。
特に情報システム部門の人数が限られる企業では、夜間や休日の対応を含めて支えられる体制が重要です。日常運用とセキュリティ対策を分けずに見直せる点は、大きな導入理由になりやすいでしょう。
改善提案まで担える
監視結果を報告するだけでなく、障害の傾向や負荷の高い時間帯を分析し、改善案を提示できるサービスは価値を示しやすくなります。運用を任せたあとも、環境の変化に応じて見直しを続けられるためです。
導入後の満足度を高めるには、対応範囲の広さだけでなく、継続的に改善していく視点が欠かせません。価格だけでなく、改善提案の質や報告内容も確認すると比較しやすくなります。
MSPサービスの主要メーカー
MSPサービス市場には、国内の事業者や外資系の事業者、クラウドベンダーの関連パートナーなど多様なメーカーが存在します。特徴を把握しておくと、自社に合う比較軸を整理しやすくなります。
国内企業の特徴
国内企業は、日本語での細かな連絡や、既存の業務フローに合わせた調整に強みを持つ傾向があります。問い合わせ窓口の使いやすさや、報告書の見やすさを重視する企業にとっては比較しやすい選択肢です。
また、オンプレミス環境を含む運用や、社内ルールに沿った申請手続きへの対応など、日本企業ならではの要件に合わせやすい点も特徴です。初めて外部委託する場合でも検討しやすいでしょう。
外資系企業の特徴
外資系企業は、クラウド運用や大規模環境の監視に豊富な実績を持つケースが多くあります。海外拠点を含む運用や、標準化された手順を重視する企業と相性がよいでしょう。
一方で、サポート時間帯や連絡方法、契約条件の考え方は事前に確認しておきたいポイントです。自社に必要な支援範囲と合うかどうかを見ながら比較することが大切です。
ベンダーの役割
MSPサービスを提供する事業者には、監視と障害対応を中心に担う会社もあれば、設計変更や運用改善まで支援する会社もあります。役割の違いを理解せずに選ぶと、導入後に期待とずれが出る可能性があります。
比較時には、監視対象や対応時間、障害時の連絡範囲、定例報告の有無、改善提案の内容を整理して見るのが有効です。価格だけではなく、自社の運用課題にどこまで寄り添えるかを確認すると失敗を防ぎやすくなります。
以下の記事ではMSPサービス(運用監視代行)の価格や機能、サポート体制などを、具体的に比較して紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
MSPサービス単体の公的な市場規模は確認しにくい一方で、国内クラウド市場の拡大やDX推進人材の不足、サイバー攻撃対策の重要性を踏まえると、運用監視代行への需要は今後も続く可能性が高いといえます。特に、クラウド運用からセキュリティ監視、改善提案まで支援できるサービスは比較対象として注目しやすいでしょう。
自社に合うMSPサービスを見極めるには、複数サービスの価格や機能、サポート体制をまとめて比較するのが近道です。ITトレンドの資料請求を活用し、効率よく比較検討を進めてください。


