AI・機械学習
2026年04月21日

AnthropicとAmazon、最大5ギガワットのコンピューティング能力確保で合意

AnthropicとAmazon、最大5ギガワットのコンピューティング能力確保で合意

AnthropicとAmazon、最大5ギガワットのコンピューティング能力確保で合意(写真はイメージ)

2026年4月20日、AnthropicはAmazonとの戦略的パートナーシップを大幅に拡大し、Claudeのトレーニングと展開のために最大5ギガワット(GW)のコンピューティング能力を確保する契約を締結しました。今年上半期にはTrainium2の新たな容量が稼働を開始し、年末までにはTrainium2とTrainium3を合わせて約1GWの容量が利用可能になる予定です。

両社の協業は2023年から続いており、現在では10万人以上の顧客がAmazon Bedrock上でClaudeを運用しています。世界最大級のコンピューティングクラスターであるProject Rainierでは、すでに100万個以上のTrainium2チップを使用してClaudeのトレーニングとサービス提供が行われています。

1,000億ドル規模のインフラ投資と技術選択

今回の合意では、Anthropicが今後10年間で1,000億ドル以上をAWSテクノロジーに投資し、GravitonおよびTrainium2からTrainium4までのチップを対象としたインフラ構築を進めます。将来的にAmazon独自のシリコンチップが利用可能になった際には、それらを購入するオプションも含まれています。

Trainium2の容量は第2四半期に大幅に増加する見込みで、Trainium3の拡張容量は今年後半に利用可能になる予定です。また、Amazon BedrockのClaude用容量も増設され、アジアとヨーロッパにおける推論機能の拡張も計画されています。

AmazonのCEOであるアンディ・ジャシー氏は、「Anthropicが今後10年間、大規模な言語モデルをAWS Trainium上で実行するというコミットメントは、当社がカスタムシリコンに関して共に成し遂げてきた進歩を反映している」とコメントしています。

AWS上でのClaude Platform統合

今回の協業拡大のもう一つの柱は、Claude Platformの全機能がAWS内で直接利用可能になることです。アカウント、コントロール、課金がすべて統合され、追加の認証情報や契約なしにClaudeの機能を利用できるようになります。

これにより、組織は既存のガバナンスおよびコンプライアンス要件を満たしながら、Claudeに直接アクセスできるようになります。Claudeは、AWS(Bedrock)、Google Cloud(Vertex AI)、Microsoft Azure(Foundry)という世界最大の3つのクラウドプラットフォームすべてで利用できる唯一の最先端AIモデルとなっています。なお、AWS上のClaude Platformは現在プライベートベータ版として提供されています。

最大250億ドルの追加投資

資金面では、Amazonが本日50億ドルをAnthropicに投資し、将来的にはさらに最大200億ドルを投資する予定です。これは、これまでの80億ドルの投資に上乗せされるもので、合計で最大330億ドル規模の投資となります。

AnthropicのCEO兼共同創設者であるダリオ・アモデイ氏は、「Amazonとの提携により、AI研究をさらに推進するとともに、AWS上で構築を行っている10万人以上のお客様を含む顧客にClaudeを提供できるようになる」と述べています。

生成AI基盤の競争軸が変わりつつある

今回の発表は、生成AIサービスにおける競争の構造が変化していることを示唆していると捉えられます。Anthropicの年間売上高は2025年末の約90億ドルから300億ドルを超えるまでに急成長しており、この成長を支えるためのインフラ確保が喫緊の課題となっていました。

特に注目すべきは、Anthropicが単一のクラウドプロバイダーに長期的なコミットメントを行いながらも、多様なチップにワークロードを分散させる「多角的なハードウェア戦略」を明示している点です。これは、AI基盤の選択において、単なるコスト効率だけでなく、供給の安定性、技術の進化への適応性、リスク分散といった要素が重要になっていることを示していると考えられます。

また、Claude Platformの主要クラウド3社での展開は、企業側の選択肢を広げる一方で、各クラウドプラットフォームとの統合深度を高めることで、既存のクラウド環境からの移行障壁を下げる戦略とも読み取れます。ガバナンスやコンプライアンス要件を既存の枠組みで満たせることは、特に大企業にとって導入判断の重要な要素になると見られます。

ITツール選定における示唆

法人向けITツールの選定担当者にとって、今回の動きは生成AI基盤の安定性と拡張性を評価する上での参考情報になると考えられます。特に、ピーク時のパフォーマンスや信頼性への言及は、実際の業務利用において無視できない要素です。

また、既存のクラウド環境との統合度合いや、ガバナンス・コンプライアンス要件への対応状況は、組織全体でのAI活用を検討する際の重要な検討項目となりそうです。

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まとめ

AnthropicとAmazonの協業拡大は、生成AIサービスが急速な成長期から安定供給と品質担保を求められる段階に移行しつつあることを象徴する動きと言えます。今後3ヶ月以内に十分なコンピューティング能力を提供し、年末までに約1GWの能力を実現するというタイムラインは、この業界の変化のスピードを物語っています。

生成AIを取り巻くインフラ投資の規模と長期的なコミットメントの深化は、今後も各プレイヤーの戦略や市場構造に影響を与えていくと見られます。企業がAIツールを選定する際には、こうした基盤レベルでの動向にも注目していく必要があると考えられます。

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