セキュリティ
2026年06月25日

Windows 11に「個人ファイルも戻せる」新復元機能、ポイントインタイム リストア登場——情シスとセキュリティ運用への影響

Windows 11に「個人ファイルも戻せる」新復元機能、ポイントインタイム リストア登場——情シスとセキュリティ運用への影響

Windows 11に「個人ファイルも戻せる」新復元機能、ポイントインタイム リストア登場——情シスとセキュリティ運用への影響(写真はイメージ)

Microsoftは2026年6月23日、Windows 11 バージョン26H1向けのプレビュー更新「KB5095091(OSビルド 28000.2340)」を公開しました。最大の注目点は、新たに搭載された復元機能「ポイントインタイム リストア(Point-in-Time Restore)」です。アプリや設定だけでなく個人ファイルも対象に、PCを直近の自動復元ポイントへ素早く戻せる仕組みで、誤削除・アプリ破損・ランサムウェアといったトラブルからの早期復旧を狙った機能と位置づけられます。

ポイントインタイム リストアとは——「PCのタイムマシン化」を進める新機能

ポイントインタイム リストアは、Windowsが自動的に作成する復元ポイントから、アプリ・設定・個人ファイルをまとめて元の状態に巻き戻せる機能です。これまでのシステムの復元では設定・レジストリ・ドライバーが中心で、ユーザーのドキュメントや写真は対象外でしたが、新機能では個人ファイルも含めて一括で戻せる点が大きな違いです。

事前にユーザーがバックアップ計画を立てる必要がなく、自動で蓄積された復元ポイントを選んで戻すだけで作業が完結する設計とされています。トラブル発生時のダウンタイム短縮を意識した実装で、Microsoftはリリースノートで「アプリ・設定・個人用ファイルを最近の自動復元ポイントにすばやくロールバックできる」と説明しています。

その他のアップデート——NPU使用率表示やWindows Hello強化

同更新には、復元機能以外にも実務に直結する改善が複数含まれています。タスクマネージャーでは新たにNPU使用率の表示に対応し、AI PCを業務利用する際の負荷確認が容易になりました。生成AIや画像処理アプリの導入が進む現場では、CPU・GPUに続く第3のリソースとしてNPUの監視ニーズが高まっており、標準ツール側での可視化が後押し材料になりそうです。

このほか、拡大鏡のスクリーンリーダー連携強化、カメラのマルチアプリ同時利用、Windows Helloの認証強化などが盛り込まれています。アクセシビリティ・認証・周辺機器活用といった日常業務に近い領域での改善が並んでおり、業務PCの標準機能としての完成度を高めるアップデートと整理できます。

情シス・セキュリティ運用への示唆——ランサム対策・誤削除対策の標準装備化

ポイントインタイム リストアは、企業の情シス部門にとってもインパクトの大きい機能追加です。これまでランサムウェア対策や誤削除対策では、サードパーティのバックアップ製品やシャドウコピー設定の運用が必要でした。OS標準で個人ファイル単位の復元が可能になれば、軽微なインシデントの一次対応をエンドユーザー自身で完結できる範囲が広がり、ヘルプデスクへの問い合わせ削減や復旧時間の短縮につながる可能性があります。

ただし、復元ポイントの保存先・容量・世代数といった運用設計は別途検討が必要です。攻撃者が復元ポイントごと暗号化・削除する手口も知られており、OS標準機能だけに頼らず、別領域へのバックアップとの併用が望ましい運用イメージになります。情報システム部門としては、新機能を「最終手段の1つ」として組み込みつつ、既存のバックアップ運用と役割分担を整理しておくことが現実的な対応になりそうです。

既知の問題と展開時の注意点

リリースノートでは、サードパーティ製ソフトから一部のMicrosoft Officeアプリが起動できなくなる既知の問題が報告されており、今後の修正予定とされています。プレビュー更新という性質上、検証環境での先行確認や、業務影響度の高い端末への配信タイミング調整が推奨されます。

26H1自体がまだ展開フェーズにある段階のため、社内標準PCへの本格適用は、修正版リリースを待ったうえで段階的に進める形が現実的だと考えられます。当面はパイロット部門での評価運用を行い、ポイントインタイム リストアの動作・保存容量・復元時間といった指標を取得しておくと、その後の全社展開時の判断材料になりそうです。

前回のWindowsの更新プログラムもチェック![Windows 11、2026年5月の累積更新プログラム (KB5089573) がプレビュー版として公開]

まとめ

Windows 11 26H1(KB5095091)で導入されたポイントインタイム リストアは、「個人ファイルも自動復元ポイントから戻せる」点で、これまでのシステムの復元から一歩踏み込んだ機能と位置づけられます。MacのTime MachineやiCloudの世代管理に対抗する位置取りとも受け取れ、Windows業務PCの復旧運用に少なくない影響を与える可能性があります。

情シス・セキュリティ担当としては、ランサム対策・誤削除対策の標準装備化と捉えつつ、既存のバックアップ運用との役割分担や、復元ポイントを狙う攻撃シナリオへの備えを並行して進める形が望ましそうです。NPU使用率の可視化など、AI PC運用に向けた改善も同時に進んでおり、Windows 11の業務PCとしての存在感が一段と高まるアップデートといえそうです。

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