業務効率化
2026年08月06日

キオクシアとサンディスクが第10世代3次元フラッシュメモリを発表——332層積層で37Gb/mm²超、密度は第8世代比60%向上

キオクシアとサンディスクが第10世代3次元フラッシュメモリを発表——332層積層で37Gb/mm²超、密度は第8世代比60%向上

キオクシアとサンディスクが第10世代3次元フラッシュメモリを発表——332層積層で37Gb/mm²超、密度は第8世代比60%向上(写真はイメージ)

キオクシアとサンディスクは2026年8月4日、共同開発による第10世代3次元フラッシュメモリを発表しました。332層積層とQLC(Quad-Level-Cell、4ビット/セル)技術の組み合わせにより、業界最高水準となる37Gb/mm²超のビット密度を達成。第8世代3次元フラッシュメモリと比較して、最大60%のビット密度向上を実現しています。NANDインターフェース速度は4.8Gb/sで、CBA(CMOS directly Bonded to Array)構造やToggle DDR6.0といった新技術も採用されました。AIワークロード向けの大容量・高帯域・高効率ストレージが求められる中で、次世代インフラの土台となる技術発表として業界の注目を集めています。

発表の骨子——332層積層×QLCで37Gb/mm²超

第10世代3次元フラッシュメモリの中核スペックは、332層積層とQLC技術の組み合わせによる37Gb/mm²超のビット密度です。この数値は、第8世代3次元フラッシュメモリと比較して最大60%のビット密度向上に相当します。1平方mmあたりに詰め込めるデータ量が飛躍的に増えることで、同じチップ面積でより大容量のストレージを実現できるようになります。

NANDインターフェースの帯域面では、4.8Gb/sの転送速度を実現し、Toggle DDR6.0およびSeparate Command Address(SCA)プロトコルを採用しました。「大容量化」だけでなく「大量データを高速にやり取りできる帯域幅」も同時に確保する設計で、AIワークロードに求められる特性を意識した構成となっています。

採用された主要技術——CBAとPI-LTT

第10世代の性能を支える主要技術として、2つの実装が明示されています。

CMOS directly Bonded to Array(CBA)技術 CMOSロジック回路とメモリアレイを別々のウエハー上に形成し、高精度に貼り合わせる構造です。ロジックとメモリのそれぞれに最適な製造プロセスを適用できるため、性能と製造効率を同時に高められるアプローチです。

Power-Isolated Low-Tapped Termination(PI-LTT)技術 I/Oデータ転送時の電力効率を高めるための実装です。データセンターの消費電力が世界的な課題となる中、単位性能あたりの電力消費を抑える設計は、TCO(総所有コスト)改善に直結する要素として重要性が高まっています。

これらは単独でも意味のある技術ですが、332層積層+QLC+高速インターフェースと組み合わさることで、「高密度・高帯域・高電力効率」を同時に実現する設計思想を成立させています。

想定用途——AIストレージとハイパースケールデータセンター

キオクシアが発表で明示する想定用途は、AI向けストレージアーキテクチャ、クラウドプラットフォーム、ハイパースケールデータセンターなどです。生成AIの学習・推論に必要な大量データを効率的に保存・アクセスできる基盤としての位置付けが明確です。

生成AIワークロードの拡大に伴い、モデル学習用のデータセット、ベクトルインデックス、キャッシュ、推論ログといったストレージへの要求は、量・速度・省エネの全方向で高まっています。第10世代フラッシュメモリのように、密度と帯域と電力効率を同時に改善する要素技術は、AIデータセンター全体のコスト構造を変える可能性を持ちます。

両社のコメント——「QLC NANDの性能と効率の限界を押し広げる」

キオクシアの技術統括責任者・宮島秀史氏は、「急速に増加するデータを効率的に保存することを可能にし、AIシステムの性能向上とスケーラビリティの実現をサポートする」と発言しています。生成AI時代のインフラ需要をキャッチアップするための技術戦略として、第10世代を位置付けている姿勢が読み取れます。

サンディスクの最高技術責任者・Alper Ilkbahar氏は、「QLC NANDの性能と効率の限界を押し広げることで、高密度化、高帯域化、エネルギー効率向上を同時に実現する」と表現しています。QLC NANDは大容量化に向く一方で、書き換え耐性や書き込み性能に課題があった系統ですが、第10世代はそこも含めた実用性向上を狙った内容といえます。量産開始時期は本発表では明示されておらず、「製品化に向けて開発を加速させる」段階とされています。

日本企業への示唆——AIインフラ調達に「ストレージ選定」の観点を組み込む

日本企業にとってのポイントは、生成AI基盤の調達議論に「ストレージ設計」の観点を組み込む重要性が増していることです。GPUの選定に議論が偏りがちですが、モデル学習・推論に必要なデータをどう保管し、どれだけの帯域と電力効率で読み書きするかも、全体のワークロード性能と運用コストを大きく左右します。

第10世代フラッシュメモリのような高密度QLC NANDが本格採用される段階に入れば、企業のAI基盤コスト構造が変わる可能性があります。情シス・データ活用推進部門としては、GPU予算・電力・冷却と並んで、NANDフラッシュ世代・SSDインターフェース世代(Gen 5→Gen 6)・データセンター側のI/O設計も検討項目に含めておくと、フロンティアAI導入時の総合設計がしやすくなります。国内でキオクシアが調達可能である点は、供給網の安定性・国産インフラ活用の観点でも意味を持ちます。

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まとめ

キオクシアとサンディスクの第10世代3次元フラッシュメモリは、332層積層と37Gb/mm²超の密度、Toggle DDR6.0による4.8Gb/sの帯域、CBAとPI-LTTによる電力効率改善を一体で提供する、AIデータセンター時代の要素技術として位置付けられます。第8世代比60%のビット密度向上という数字は、同じ物理スペースでより多くのデータを扱えるようになる意味で、インフラ設計の前提を変え得る変化です。

量産時期の詳細はこれからの続報を待つ段階ですが、AIインフラ調達を検討する企業としては、GPUだけでなくストレージ層まで含めた総合設計の重要性を再認識する良いタイミングです。フロンティアAI導入と並行して、SSD・NAND世代の動向を継続的にウォッチしていくことが、これから数年のインフラ戦略の土台になりそうです。

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