クラウドストライクは、AIエージェントの普及を見据えた5つの新機能を発表した。米国で2026年9月1日から2日にかけて公表し、日本法人も9月9日から16日にかけて抄訳を発表した。いずれも年次イベント「Fal.Con 2026」に合わせて打ち出されたものだ。
5つの機能は、AIを使って防御を強める取り組みと、企業が使うAIエージェント自体を守る取り組みに大きく分かれる。攻撃と防御のモデルを組み合わせた「CrowdStrike SafeMind」、エージェントを実行環境で保護する「Falcon Guardian」が中心となる。このほか、エージェント用のID基盤、SOCの調査機能、ソフトウェアサプライチェーンの保護が含まれる。
攻撃と防御のモデルを1つのループで回す「SafeMind」
「CrowdStrike SafeMind」は、セキュリティ向けのモデルとハーネスのファミリーである。開発したのは、同社のCyber Superintelligence Labだ。攻撃パスを見つける攻撃モデル「Red Tempest」と、攻撃パスを封じる防御モデル「Blue Solano」で構成される。両者を同じループの中で運用するハーネスが一体になっている点が特徴だ。
ハーネスは2つのモデルを閉じたループ内で継続的に競わせ、改善を図る。各モデルはNVIDIAとの連携により、オープンモデルのNVIDIA Nemotronを使って構築した。トレーニングと推論にはCoreWeave AI Cloudを使う。トレーニングには、Falconセンサーのテレメトリや15年間のインシデント対応の知見などを用いたという。
同社の評価では、主要なフロンティアモデルやオープンソースのベースラインと比べて、検知率が29%向上した。エンドツーエンドの修復は6倍速くなり、検知と修復のコストは99%削減できたとしている。SafeMindはFalconプラットフォーム上で動作し、単体のモデルとハーネスは「Project QuiltWorks」の一環で提供される。
社内のAIエージェントを見つけて制御する「Falcon Guardian」
Falcon Guardianは、AIDR(AI検知・対応)ソリューションである。AIエージェントが動くエンドポイントを起点に、企業全体の可視化と実行時の制御を担う。Falconセンサーが、WindowsとmacOS上の既知のAIエージェントとシャドーAIエージェントを検出する。誰が展開したのかやセキュリティの状態を含め、リアルタイムの一覧を作る。
エージェントの動きは、ユーザーのプロンプトからツール呼び出し、その後のシステム操作まで追跡できる。管理対象の端末で実行を許すエージェントを定め、未承認のものは止められる。MCPを含むAI通信を一元的に管理するAIゲートウェイや、24時間365日の監視サービスも用意する。
エージェントに固有のIDを発行する「Agentic IdP」
CrowdStrike Agentic Identity Provider(Agentic IdP)は、AIエージェントに信頼できるIDを与える仕組みだ。Falcon Guardianが検出したエージェントを、オンラインになった時点で単一のディレクトリに登録する。各エージェントには、なりすましや共有ができない暗号学的に検証可能なIDを発行する。
エージェントに常に使える認証情報は渡さない。タスクごとに、必要最小限の範囲と時間に絞ったトークンでアクセスを仲介する。エージェントの操作はすべて、代行元の人間やワークロードに結び付けられ、責任の所在を追える。同社は、従来のIDプロバイダーではエージェントをサービスアカウントやAPIキーとして扱うしかなかったと指摘している。
SOCの調査とサプライチェーン防御も強化
エージェント型SOCの次なる進化では、複数のエージェントが連携して調査を進める機能を打ち出した。エンドポイント、ID、SaaS、クラウド、ネットワークを同時に調べる。エージェントは共有のコンテキスト層を通じて学んだ内容を共有し、従来は数時間かかった調査を数分に縮めるという。データパイプラインの機能では、データ保管コストを最大50%削減できるとしている。
Real-Time Supply Chain Attack Protectionは、悪意のあるオープンソースパッケージを端末上で実行前に止める機能だ。Windows、macOS、Linuxで、npmとPyPIのインストール処理を埋め込みスクリプトの実行前に遮断する。公開から一定期間がたっていないパッケージを入れさせない、といった制御も設定できる。
同社は背景として、コーディングエージェントが人の確認を上回る速さでパッケージを取得している点を挙げる。2026年版の脅威ハンティングレポートでは、北朝鮮関連のSTARDUST CHOLLIMAが131の信頼されたAIフレームワークパッケージを汚染したという。
企業への示唆
社内でAIエージェントの利用が広がると、どのエージェントがどの権限で動いているかを把握すること自体が課題になる。まずは、従業員の端末で動くエージェントやAIツールの棚卸しから始めたい。そのうえで、エージェントに付与している認証情報の範囲と有効期間を見直すとよい。
開発部門でコーディングエージェントを使っている場合は、npmやPyPIのパッケージ取り込みの管理も確認が必要だ。なお、Agentic IdPなど3件の発表には、未リリースの機能が含まれ、内容が変わる可能性があると注記されている。日本での提供時期や価格も示されていないため、導入を検討する際は提供状況を販売元に確認したい。
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まとめ
クラウドストライクは、AIエージェント時代に向けて5つの新機能を発表した。攻撃と防御のモデルを組み合わせたSafeMindに加え、エージェントの保護、ID管理、SOCの調査、サプライチェーン防御まで幅広く手当てしている。いずれもFalconプラットフォームの上で動くことを前提とする。
一部の機能は開発中で、日本での提供時期や価格は示されていない。AIエージェントを業務で使い始めた企業は、エージェントの把握と権限管理を自社の課題として整理しておきたい。

