情シス担当者の負担を左右する専用AI構築プラットフォームの運用体制
専用AI構築プラットフォームは、導入後の運用体制によって現場の負担が大きく変わります。ここでは、少人数の情シスでも回せる条件と、情シスが不在の企業がつまずきやすいポイントを整理します。
少人数の情シスでも運用しやすい体制の条件
専用AI構築プラットフォームを1人の情シス担当が運用するには、日常的な保守作業を自動化できる機能が欠かせません。アカウント発行やアクセス権限の設定、利用ログの確認などを管理画面から一元的に行える製品であれば、専門知識が少ない担当者でも業務を継続できます。障害発生時に自動で通知が届く仕組みがあれば、常時監視をしなくても異常に気付けます。
具体的には、ユーザー管理をテンプレート化できる機能や、異常な利用があった際に通知を受け取れる仕組みが役立ちます。加えて、ベンダー側のサポート窓口が電話やチャットで日本語対応しているかどうかも、運用負担を左右する確認事項です。導入前に問い合わせ対応の範囲や対応時間、休日の対応可否まで確認しておくと安心です。
情シス不在の企業がつまずきやすいポイント
情シス担当がいない企業では、専用AI構築プラットフォームの初期設定やトラブル対応を外部委託先や兼任の担当者に頼ることが一般的です。設定項目が複雑な製品を選ぶと、導入までに時間がかかり、現場での活用が進まない状況に陥りやすくなります。総務や経理の担当者が片手間で管理を任されるケースも珍しくありません。
そのため、導入時の初期設定を代行してくれるサービスや、操作マニュアルが整っている製品を選ぶことが大切です。加えて、既存の社内システムとの連携があらかじめテンプレートで用意されている製品であれば、専門的な開発工数をかけずに運用を始められます。無料相談窓口を用意しているベンダーを選ぶのも一つの方法で、契約前に対応可能な範囲を確認しておくと安心です。
この記事をご覧の方には、以下の記事もおすすめです。あわせて参考にしてください。
多拠点とグループ会社のデータをまとめて活用する専用AI構築プラットフォームの仕組み
拠点やグループ会社が増えるほど、データが分散して活用しづらくなります。ここでは、データを統合する方法と、グループ会社のナレッジを共有する際の基準を紹介します。
拠点ごとに分散したデータをまとめる方法
多拠点でシステムを利用している企業では、拠点ごとにデータの形式や管理ルールが異なることが少なくありません。専用AI構築プラットフォームを導入する際は、複数拠点のデータを1つの基盤に集約できる連携機能があるかどうかを確認する必要があります。拠点間でシステムの導入時期がずれている場合も、統合後に運用ルールを整理しておくと混乱を防げます。
例えば、拠点ごとのファイルサーバーやクラウドストレージと連携し、自動的にデータを取り込める製品であれば、手作業でのデータ移行が不要です。データの重複や表記ゆれを自動で整理する機能があると、統合後の活用範囲がさらに広がります。回線の帯域や拠点数によっては、段階的な移行計画を立て、優先度の高い拠点から順に統合を進めることも検討してください。
グループ会社のナレッジを統合活用する観点
グループ会社ごとに蓄積されたノウハウや業務資料は、共有の仕組みがないと個別に埋もれてしまいます。専用AI構築プラットフォームでナレッジを統合するには、各社の情報を横断的に検索できる機能が欠かせません。加えて、アクセス権限を会社単位で細かく設定できる仕組みも必要です。過去の問い合わせ履歴や社内マニュアルもあわせて集約すると、検索の精度がさらに高まります。
加えて、グループ会社ごとに利用状況を分けて把握できるレポート機能があれば、活用が進んでいない会社を早期に見つけ、フォローアップしやすくなります。運用担当者は、四半期ごとなど定期的に利用状況を確認する体制をあらかじめ整えておくとよいでしょう。活用が進んだ会社の事例を、他のグループ会社へ共有する仕組みも用意しておくと効果的です。
本社で全社のAI活用状況を一括管理する方法
複数拠点や複数部門でAI活用が進むと、本社が全体像を把握しづらくなります。ここでは、活用状況を可視化する機能と、部門ごとのルールを統一する進め方を紹介します。
利用状況を可視化する管理機能
本社の情シス担当が全社のAI活用状況を把握するには、部門別・拠点別に利用状況を集計できるダッシュボード機能が役立ちます。誰がどのくらいAIを活用しているかを一覧で確認できれば、活用が停滞している部門への支援を優先的に行えます。グラフや表で表示できる製品であれば、経営層への報告資料としてもそのまま使え、説明の手間を減らせるでしょう。
また、利用データをもとに費用対効果を分析できる機能があれば、投資判断の材料としても活用できます。管理者権限を持つ担当者を複数拠点に配置し、本社と現場で情報を共有する運用ルールをあらかじめ決めておくと、状況把握が確実です。月次でレポートを共有する仕組みを作り、改善点を継続的に見直すことも有効です。
部門ごとの利用ルール統一の進め方
部門ごとに異なるルールでAIを利用していると、情報漏えいのリスクや管理の手間が増えます。専用AI構築プラットフォームを全社展開する際は、入力を禁止する情報の範囲や、承認が必要な業務の基準をあらかじめ統一しておくことが重要です。個人情報や取引先の機密情報を扱う業務は、特に慎重にルールを定める必要があります。部門間で解釈のずれが生じないよう、用語の定義も明文化しておくとよいでしょう。
ルールを浸透させるには、部門ごとの担当者を決めて定期的な説明会を開くなど、丁寧な周知の工夫が必要です。ルール違反があった場合の対応フローや、問い合わせ窓口の連絡先も事前に決めておくと、トラブル発生時に速やかに対応でき、現場の混乱も抑えられます。新入社員向けの研修資料にルールを組み込むことも検討してください。
情シスとDX推進担当が分業しやすい専用AI構築プラットフォームの運用フロー
情シスとDX推進担当の役割が重なると、意思決定が遅れる原因となります。ここでは、役割分担の考え方と、導入後の連携で押さえておきたいポイントを紹介します。
役割分担を明確にする体制づくり
情シス担当がシステムの保守や権限管理を担当します。一方、DX推進担当は業務改善や活用促進を担当します。このように役割を明確に分けることが、専用AI構築プラットフォーム導入をスムーズに進める鍵です。役割があいまいなままだと、判断が滞り、現場への展開が遅れる原因になりかねません。小規模な組織では兼任も想定し、優先順位を明確にしておくことが重要です。
役割分担を決める際は、業務範囲を文書化しておくとよいでしょう。例えば、技術的な設定は情シス、活用ルールの策定や現場への周知はDX推進担当が担うと分かりやすくなります。文書化しておけば、担当者が変わった場合でも運用を引き継ぎやすくなります。責任範囲を図示した資料を用意し、双方が確認できる場所に保管しておくのもおすすめです。
導入後の運用フェーズでの連携ポイント
導入後は、情シスとDX推進担当が定期的に情報交換する場を設けることが大切です。システムの稼働状況や不具合の有無を情シスが報告し、現場での活用状況や課題をDX推進担当が共有することで、双方の観点を運用改善に反映できます。議事録を残しておけば、後から経緯を振り返る際にも役立ち、担当者間の認識のずれも防げるため、長期的な運用の安定にもつながります。
また、活用が進んでいない部門があれば、情シスとDX推進担当が連携して原因を分析することが大切です。そのうえで、操作研修やマニュアルの見直しなど具体的な対策を講じることが求められます。定例会議の頻度をあらかじめ決めておくと、担当者が異動しても連携を継続しやすくなり、引き継ぎの負担も軽減できます。
権限管理と拠点間連携で選ぶ専用AI構築プラットフォーム
ここまで紹介してきた運用体制づくりの観点をふまえ、権限管理やセルフホスト対応、拠点・部門をまたいだ活用状況の把握といった機能を持つ製品を紹介します。
Jitera
- 従来の開発よりも3倍速くできる開発自動化プラットフォーム
- 平均コスト削減は70%で、平均開発時間削減は80%
- 最短の投資回収期間は6か月
株式会社イーゼが提供する「Jitera」は、AIエージェントによるノーコード・ローコード開発に対応したツールです。専用AI構築プラットフォームとして、セルフホスト(オンプレミス)導入にも対応しています。IPアドレス制御や権限管理機能を備え、閉じたネットワーク環境でも運用しやすい設計になっています。テクニカルアカウントマネージャーによる伴走支援や、Teams・Slack・メールでの問い合わせ窓口が用意されています。情シス担当者が少人数の企業でも、初期設定や運用開始後のサポートを受けながら導入を進められる点が特徴です。
Nutanix Enterprise AI (ニュータニックス・ジャパン合同会社)
- Kubernetes上でAIモデルや推論サービスを管理。
- LLMなど検証済みAIモデルを活用したAI基盤を提供。
- オンプレミスやクラウドなど多様な環境で利用可能。
Cisco AI Infrastructure (シスコシステムズ合同会社)
- コンピュート・ネットワーク・ストレージを統合したAI基盤。
- 事前検証済みの設計に基づくAIインフラ構成を提供。
- モジュール型設計によりAI環境の拡張に対応。
Dell AI Factory with NVIDIA (デル・テクノロジーズ株式会社)
- DellとNVIDIAの技術を組み合わせたAIソリューション。
- AIインフラ、ソフトウェア、サービスを統合して提供。
- AIの開発・導入・運用までライフサイクル全体を支援。
HPE Machine Learning Development System (日本ヒューレット・パッカード合同会社)
- 機械学習ソフトウェアとAIインフラを統合した開発基盤。
- AIモデルの開発からトレーニングまでの環境を提供。
- GPUなどの計算資源を活用した大規模学習環境に対応。
まとめ
専用AI構築プラットフォームの運用体制は、情シスの人数やDX推進担当との役割分担、多拠点・グループ会社のデータ統合方法によって最適な形が異なります。管理機能やサポート体制が整った製品を選び、本社での一括管理と現場での活用を両立できる体制を整えることが、導入効果を高めるポイントです。自社の状況にあわせて、無理のない運用フローを検討しましょう。

