株式会社図研(証券コード:6947)は、エレクトロニクス・自動車関連・産業機器製造業を主な顧客とし、基板設計ソリューションや回路設計ソリューションを中心としたエンジニアリングITカンパニーです。「CR-8000」や「E3.series」などの設計ツール群、「DS-2」をはじめとするDSシリーズ、通信システム設計の「GENESYS」といった製品を軸に、製造業の設計・開発DXを国内外で支援しています。
2026年3月期通期の決算では、売上高431億01百万円(前期比+5.8%)、営業利益58億65百万円(同+8.8%)、経常利益71億34百万円(同+20.2%)、純利益54億円(同+3.3%)と増収増益を達成しました。売上高・営業利益・経常利益はいずれも5期連続で過去最高を更新しており、製造業のDX投資を追い風とした事業拡大が続いていることがうかがえます。
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【株式会社 図研(6947)徹底解説】製造業の設計・開発DXを支えるEDA/ITソリューション企業
2026年3月期を振り返る市場・業界の変化
2026年3月期は、米国の通商政策の影響や中東情勢への懸念などから、世界経済の先行きは不透明な状況が続きました。一方で、企業収益の拡大を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移したと見られます。
こうした中、製造業におけるDXへの取り組みは加速していきました。図研の主要顧客であるエレクトロニクス製造業や自動車関連・産業機器製造業においても、DXに向けたIT投資は引き続き活発な状況が続いたとみられます。生成AIをはじめとする先端テクノロジーの活用が広がったことも、設計・開発プロセスの効率化ニーズを後押ししたと考えられます。
図研はこの環境の中で、世界のモノづくり企業が抱える設計・製造上の課題解決に向けたソリューション提供を進めてきました。主力製品の拡販に加え、新機能の開発と機能拡充にも注力しており、顧客企業の設計プロセス全体の効率化に対応する体制を強化してきたことが、今期の増収増益につながったと考えられます。
業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
株式会社図研 2026年3月期 通期決算短信(PDF)
図研の2026年3月期通期の連結業績は、売上高431億01百万円(前期比+5.8%)、営業利益58億65百万円(同+8.8%)、経常利益71億34百万円(同+20.2%)、純利益54億円(同+3.3%)でした。売上高は5期連続の増収となり、営業利益・経常利益も5期連続で過去最高を更新しています。
財政状態を見ると、総資産は676億25百万円、純資産は412億78百万円となりました。自己資本比率は61.0%と高水準を維持しており、財務基盤は引き続き健全です。1株当たり当期純利益(EPS)は253.15円、年間配当金は中間50円・期末150円の合計200円となりました。
キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが61億31百万円のプラス、投資活動によるキャッシュ・フローが-7億58百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが-52億12百万円でした。営業活動で得た資金を投資と株主還元に振り向けるバランスの取れたキャッシュ配分になっていると見られます。
直近決算の重要ポイント
今期決算で特に注目されるのは、経常利益の伸び率が営業利益を大きく上回った点です。営業利益が前期比+8.8%であったのに対し、経常利益は同+20.2%と大幅な増益となりました。営業外損益における改善が経常利益を押し上げた形であり、本業以外の要因も含めた総合的な収益力の強化がうかがえます。
純利益の伸び率は+3.3%と、営業利益・経常利益の伸びに比べるとやや緩やかでした。この背景には、税負担や特別損益などの要因が影響した可能性があると考えられます。とはいえ、純利益も54億円と過去最高水準を維持しており、収益基盤そのものは着実に拡大しているといえます。
通期実績が示す収益モデルの現在地
図研の事業は、基板設計ソリューション「CR-8000」、回路設計ソリューション「E3.series」や「DSシリーズ」、通信システム設計の「GENESYS」といった設計ツール群に加え、ITソリューションやクライアントサービスなど、製品・サービスが多岐にわたります。特にPLM領域と関わりの深い基板設計・回路設計ソリューションは、エレクトロニクス製造業や自動車関連・産業機器製造業の設計現場におけるDX推進の受け皿となってきました。
今期の増収増益は、こうした主力製品の拡販と新機能開発への投資が着実に成果へつながった結果と考えられます。営業利益率は13.6%前後の水準にあり、ソフトウェア・ソリューション事業らしい高い収益性を維持しています。製造業各社が設計から製造までのプロセス全体を見直す動きが続く中、図研の製品群は継続的な収益機会を生み出す基盤になっていると見られます。
自己資本比率61.0%という健全な財務基盤も、研究開発投資や新機能拡充を継続的に行ううえでの支えになっていると考えられます。収益性と財務健全性を両立させながら事業を拡大している点は、同社の収益モデルの特徴といえるでしょう。
業界の注目ポイント
製造業DX投資の継続的な活発化
エレクトロニクス製造業や自動車関連・産業機器製造業では、設計・開発プロセスのDX投資が引き続き活発な状況にあります。製品の高機能化・複雑化が進む中、設計データを一元管理し、開発効率を高めるソリューションへの需要は今後も底堅く推移すると見られます。図研の主力製品群は、こうした需要を取り込む位置にあると考えられます。
生成AIなど先端テクノロジーの活用拡大
生成AIをはじめとする先端テクノロジーの活用が製造業でも広がりつつあります。設計・開発プロセスへのAI活用は、モノづくり企業が取り組むべき事業領域をさらに拡大させる要因になると見込まれます。図研にとっても、新機能開発や機能拡充を通じてこうした変化に対応していくことが、中長期的な成長機会になると考えられます。
グローバル需要と地政学リスクへの対応
米国の通商政策や中東情勢など、先行き不透明な国際情勢は今後も続くと見られます。図研は国内外で事業を展開しているため、こうした地政学リスクの影響を受ける可能性がある一方、世界のモノづくり企業を支援するグローバルな事業基盤は、特定地域の変動リスクを分散させる要素にもなっていると考えられます。
ITトレンド編集部の考察
今回の決算で最も印象的なのは、売上高・営業利益・経常利益がそろって5期連続で過去最高を更新した点です。単年度の好業績にとどまらず、複数期にわたり成長を継続できていることは、製造業DXという構造的な追い風を着実に事業成長へ変換できていることの表れと見られます。
特に経常利益が前期比+20.2%と大きく伸びた点は、本業の稼ぐ力に加えて収益構造全体が改善していることを示唆していると考えられます。一方で純利益の伸び率は+3.3%にとどまっており、営業段階・経常段階での増益ほどには最終利益が伸びていない点は、今後の決算でも注視すべきポイントといえるでしょう。
翌期は売上高460億円(前期比+6.7%)、営業利益67億円(同+14.2%)、経常利益78億円(同+9.3%)、純利益57億円(同+5.6%)という増収増益計画が示されています。製造業のDX投資意欲が継続する限り、図研の主力製品群への需要も底堅く推移すると見られ、翌期以降も最高益更新が続くかが注目されます。
まとめ
- 売上高:431億01百万円(前期比+5.8%、5期連続最高)
- 営業利益:58億65百万円(同+8.8%、5期連続最高)
- 経常利益:71億34百万円(同+20.2%、5期連続最高)
- 純利益:54億円(同+3.3%)
- 自己資本比率:61.0%、EPS:253.15円、年間配当:200円
- 翌期予想:売上高460億円(+6.7%)、営業利益67億円(+14.2%)、経常利益78億円(+9.3%)、純利益57億円(+5.6%)
ITトレンド編集部
IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

