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決算個社ソフトウェア2026年09月14日

【サイバートラスト株式会社(証券コード:4498)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──増収率上回る営業31.4%増益

【サイバートラスト株式会社(証券コード:4498)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──増収率上回る営業31.4%増益

サイバートラスト株式会社(証券コード:4498)は、デジタルトラスト事業を主たる業務とする企業です。デジタル社会において、ヒト・モノ・コトの正当性や真正性を証明し、信頼を支えるサービスを提供しています。SSL/TLSサーバー証明書や電子認証サービス「iTrust」を扱うトラストサービスと、Linuxのサポートなどを担うプラットフォームサービスの2本柱で事業を展開しています。

2027年3月期第1四半期の売上高は21億32百万円となり、前年同期比+12.0%となりました。営業利益は4億6百万円(同+31.4%)、経常利益は4億8百万円(同+30.5%)です。親会社株主に帰属する四半期純利益は2億69百万円(同+116.1%)となりました。

増収率を上回る利益の伸びで、今期のスタートを切っています。1株当たり四半期純利益は16.45円で、前年同期の7.74円から大きく増えました。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【サイバートラスト株式会社(証券コード:4498)徹底解説】電子認証・Linux基盤を支えるデジタルトラスト企業

1. 今期スタートを取り巻く市場環境

同社は決算短信で、自社を取り巻く経営環境としてDX推進の流れが加速していると説明しています。デジタル技術の進歩や、電子化に伴う法制度の改正がその背景にあるとしています。加えてAIの急速な進化や、将来の量子コンピューティングの実用化にも言及しています。

そのうえで同社は、巧妙化するなりすましやフェイク情報への対策として、「データの真正性」や「システムの信頼性・安全性」を担保するデジタルトラストの重要性が一層高まっていると述べています。生成された情報の真偽が見分けにくくなるほど、発信元や改ざんの有無を技術的に証明する仕組みの価値が高まるという見方です。

もう一つの論点として、同社は各国でセキュリティの国際安全基準の整備や経済安全保障の動きが進んでいる点を挙げています。国内の重要インフラや、グローバルに事業を展開する製造業などを中心に、基準・法規制対応の必要性も顕在化しているとしています。規制対応が需要を生む構図が続いていると考えられます。

2. 業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
サイバートラスト株式会社 2027年3月期 第1四半期決算短信(PDF)

当第1四半期の売上高は21億32百万円となり、前年同期の19億3百万円から2億28百万円増加しました。増収率は+12.0%です。前期通期の売上高83億60百万円と比べると、四半期ベースで着実に規模を広げています。

営業利益は4億6百万円で、前年同期の3億9百万円から増加しました。増益率は+31.4%です。同社は継続した人員増加に伴う人件費の増加等により費用全体は増加傾向にあるとしたうえで、売上高が堅調に推移した結果と説明しています。営業利益率は19.0%となり、前年同期の16.2%から改善しました。

経常利益は4億8百万円で、前年同期比+30.5%です。受取利息や持分法による投資利益等の営業外収益と、為替差損等の営業外費用が発生したと説明されています。親会社株主に帰属する四半期純利益は2億69百万円となり、前年同期比+116.1%と大幅に伸びました。

最終利益が大きく増えた要因として、同社は前期における本社移転に伴う特別損失の剥落と、税効果会計の影響を挙げています。営業段階の増益に加え、前年同期に発生していた一時的な費用がなくなったことが重なった形です。

財政状態は、第1四半期末の総資産が107億64百万円となり、前期末から61百万円増加しました。純資産は75億21百万円で、前期末から79百万円の増加です。自己資本比率は前期末の69.5%から69.9%となりました。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で注目したいのは、サービス区分ごとの伸び方の違いです。トラストサービスの売上高は11億88百万円となり、前年同期比+10.5%でした。プラットフォームサービスの売上高は9億44百万円で、同+14.0%となっています。

トラストサービスの内訳では、電子認証サービス「iTrust」で金融機関向け本人確認サービスや、電子契約サービスのパートナー向け電子署名サービスが伸長したとしています。特に本人確認サービスは、改正犯罪収益移転防止法対応による利用拡大により前年同期比2.3倍と大きく成長しました。法制度の改正が直接的な需要につながった事例です。

一方で、SSL/TLSサーバー証明書は減収となりました。同社はWebの信頼性やセキュリティ向上のため、業界全体で証明書の有効期間短縮化の流れが進んでいることを要因として挙げています。更新頻度が上がる一方で、1件あたりの契約期間が短くなることが売上に影響したと考えられます。

取引形態別では、リカーリングサービスの売上高が14億62百万円(前年同期比+9.4%)となり、全体の約7割を占めています。プロフェッショナルサービスは4億92百万円(同+18.3%)、ライセンスは1億77百万円(同+17.6%)です。継続契約が収益の土台を支える構造が続いています。

4. 今期の重点領域と収益構造

同社の収益は、ライセンス、プロフェッショナルサービス、リカーリングサービスの3つの取引形態で構成されています。ライセンスは自社のLinux製品などの提供、プロフェッショナルサービスは製品のカスタマイズや導入支援、セキュリティコンサルティングなどが該当します。リカーリングサービスは電子認証サービスや自社製品のサポートサービスで、継続的な契約数を増やすことで収益の向上が見込まれる区分です。

今期第1四半期は、この3区分すべてが増収となりました。なかでも比率の大きいリカーリングサービスが14億62百万円と安定的に積み上がっている点が、収益の下支えになっていると考えられます。契約が積み上がるほど翌期以降の売上の見通しが立てやすくなる構造です。

プラットフォームサービスでは、「Linuxサポート」が前期より開始した大手事業者向けの大型サポート案件などにより伸長しました。組込み向けの「EMLinux」では、法規制や業界のサイバーセキュリティガイドライン対応に伴う脆弱性管理、長期サポートの需要を捉え、医療機器向けなどで新たに案件を獲得しています。

さらに同社は、欧州サイバーレジリエンス法関連等のセキュリティコンサルティングに加え、自動車関連研究開発の大型受託開発の継続受注によりプロフェッショナルサービスが伸長したとしています。規制対応を起点とした相談が、コンサルティングや開発の受注につながる流れが見て取れます。

5. 業界の注目ポイント

法制度の改正が生む認証需要

同社の本人確認サービスは、改正犯罪収益移転防止法への対応を背景に前年同期比2.3倍へ伸びました。法令が求める確認手続きが変わると、企業は期限までに対応する必要が生じます。この性質から、制度改正は需要の時期と規模をある程度読みやすくする要因になると考えられます。

同様の構図は公共分野にも見られます。同社は法務省の商業登記電子証明書のリモート署名システム案件について、7月の運用開始に向けた構築を完了したとしています。行政手続きの電子化が進むほど、その基盤を支える認証技術の出番が増えていくと見られます。

証明書の有効期間短縮が持つ両面性

SSL/TLSサーバー証明書の分野では、業界全体で有効期間を短くする流れが進んでいます。同社はこの流れを受けて当該サービスが減収となったと説明しています。1件あたりの契約期間が短くなれば、同じ契約数でも計上できる売上が減るためです。

一方で、有効期間が短くなるほど更新作業の頻度は上がります。管理する証明書の数が多い企業ほど、更新漏れによるサービス停止のリスクが高まる構造です。証明書の発行そのものより、期限管理や自動更新を含めた運用の支援に価値が移っていく可能性があると考えられます。

脆弱性診断と規制対応を結ぶ流れ

同社のトラストサービスには、ウェブセキュリティサービスおよび脆弱性診断サービスが含まれます。脆弱性診断は、システムに存在する弱点を洗い出し、対策の優先順位を決めるための工程です。単発の検査で終わらせず、継続的に実施することで初めて効果が積み上がります。

今期は欧州サイバーレジリエンス法関連等のセキュリティコンサルティングが伸長したとされています。規制が求める水準を満たすには、現状の把握から改善、証跡の整備までを一続きで進める必要があります。診断とコンサルティング、長期サポートを組み合わせて提供できる体制が、この領域での強みになると考えられます。

6. ITトレンド編集部の考察

前期の2026年3月期は、売上高83億60百万円、営業利益16億49百万円、経常利益16億57百万円、親会社株主に帰属する当期純利益9億89百万円で着地しました。今期第1四半期は増収率+12.0%、営業増益率+31.4%と、前期の水準を上回るペースでのスタートです。

通期予想に対する進捗率を見ると、売上高は92億50百万円の予想に対して21億32百万円で約23.0%です。営業利益は18億60百万円の予想に対して4億6百万円で約21.8%、当期純利益は12億40百万円の予想に対して2億69百万円で約21.7%となっています。第1四半期の目安である25%はやや下回る水準です。

もっとも、同社の売上は下期に厚みが出やすい傾向があります。前期も第1四半期の売上高19億3百万円に対し、通期は83億60百万円で着地しました。単純な4分の1との比較だけで判断する必要はないと考えられます。

通期予想は売上高92億50百万円(前期比+10.6%)、営業利益18億60百万円(同+12.8%)、経常利益18億67百万円、親会社株主に帰属する当期純利益12億40百万円(同+25.3%)です。配当予想は年14円で、前期の12円から増配の計画となっています。なお通期予想は2026年4月27日の公表から変更されていません。

今後の注目点は、SSL/TLSサーバー証明書の減収をほかの領域でどこまで補えるかです。本人確認サービスやLinuxサポートの伸びが続けば、全体の増収基調は維持できると見ています。人員増加に伴う人件費の増加が続く中で、営業利益率19.0%の水準を保てるかも確認したい点です。

7. まとめ

  • 2027年3月期第1四半期:売上高21億32百万円(前年同期比+12.0%)、営業利益4億6百万円(同+31.4%)、経常利益4億8百万円(同+30.5%)、親会社株主に帰属する四半期純利益2億69百万円(同+116.1%)
  • 営業利益率は19.0%へ改善(前年同期は16.2%)、1株当たり四半期純利益は16.45円(同7.74円)
  • サービス別:トラストサービス11億88百万円(同+10.5%)、プラットフォームサービス9億44百万円(同+14.0%)
  • 取引形態別:リカーリングサービス14億62百万円(同+9.4%)、プロフェッショナルサービス4億92百万円(同+18.3%)、ライセンス1億77百万円(同+17.6%)
  • 本人確認サービスは改正犯罪収益移転防止法対応により前年同期比2.3倍、一方でSSL/TLSサーバー証明書は有効期間短縮化の流れを受け減収
  • 第1四半期末の総資産107億64百万円、純資産75億21百万円、自己資本比率は69.5%から69.9%へ上昇
  • 2027年3月期通期予想:売上高92億50百万円(前期比+10.6%)、営業利益18億60百万円(同+12.8%)、経常利益18億67百万円、親会社株主に帰属する当期純利益12億40百万円(同+25.3%)、配当予想は年14円

ITトレンド編集部

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