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決算個社IT・インターネット2026年05月21日

【トビラシステムズ株式会社(証券コード:4441)徹底解説】迷惑電話対策から法人向け電話DXへ

【トビラシステムズ株式会社(証券コード:4441)徹底解説】迷惑電話対策から法人向け電話DXへ

トビラシステムズ株式会社は、迷惑電話・迷惑SMS対策を中心とするセキュリティ事業と、法人向け電話ソリューションを展開するソリューション事業を持つ企業です。2026年10月期第1四半期は、売上高7億86百万円(前年同期比16.8%増)と増収となった一方、営業利益は2億26百万円(同12.5%減)と減益でした。

背景には、特殊詐欺被害の高止まりや、政府による迷惑電話・迷惑SMS対策強化の流れがあります。一方で、同社は中期経営計画の2年目として、採用を中心とした人的投資や新規事業開発への投資を継続しており、短期的には利益を押し下げています。

本記事では、同社の市場環境、決算内容、事業構造、ストック収益の特徴を整理しながら、IT・業務視点で「迷惑電話対策」「カスハラ対策」「法人電話業務のDX」がどのように接続しているのかを解説します。


1. 市場背景と業界構造

トビラシステムズ株式会社が属するのは、迷惑電話・迷惑SMS対策、法人向け電話管理、通話セキュリティの領域です。2025年における全国の特殊詐欺被害額は1,414億円を超え、認知件数は27,758件となっており、被害額・認知件数ともに高水準です。

市場拡大の背景には、詐欺手口の多様化・巧妙化があります。特に「ニセ警察詐欺」の多発や、携帯電話のビデオ通話機能、メッセージアプリを悪用した接触の増加が指摘されています。これにより、従来の電話番号ブロックだけでなく、通信経路全体での警告・遮断・識別機能が求められています。

また、政府は「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に基づき、迷惑電話・迷惑SMS対策の強化を推進しています。通信事業者が提供する迷惑電話・迷惑SMS対策サービスについて、無償化を含めた実効性向上策を検討・要請しており、社会全体で受信遮断・警告機能の普及が進む見通しです。

この業界でIT化・データ化・自動化が影響するのは、迷惑番号情報の収集・判定、通話の自動録音、着信管理、顧客対応履歴の可視化、電話業務のクラウド化です。トビラシステムズ株式会社は迷惑情報データベースを活用する技術を持ち、通信キャリアや金融機関を通じてサービスを提供しています。つまり、同社は社会的なセキュリティ課題に対して、ITで対策を提供する“推進側”の企業といえます。


2. 過去数年の業績推移

2026年10月期第1四半期の売上高は7億86百万円で、前年同期比16.8%増となりました。増収の主因は、法人向け電話ソリューションの拡大です。一方で営業利益は2億26百万円で同12.5%減、経常利益は2億33百万円で同9.4%減、四半期純利益は1億56百万円で同9.2%減となりました。

セグメント別に見ると、セキュリティ事業は売上高4億92百万円で前年同期比0.1%減、セグメント利益3億31百万円で同9.3%減でした。「ケーブルプラス電話」での「迷惑電話ブロック」無料提供により契約数は増加したものの、売上・利益は前年同期を下回っています。

一方、ソリューション事業は売上高2億93百万円で前年同期比63.2%増、セグメント利益は8,047万円で同124.7%増と大幅に伸びています。「トビラフォン Cloud」や「トビラフォン Biz」の拡販が進んだことが背景です。

全社としては増収減益です。これは、企業規模の拡大に伴う管理コスト増加などにより、全社費用が1億84百万円(前年同期比30.4%増)となったためです。現在は「中期経営計画2028」の2年目であり、成長加速に向けて人的投資や新規事業開発への戦略投資を継続しているフェーズと整理できます。

IT視点で見ると、同社の収益はストック型が中心です。2026年10月期第1四半期のストック収益は6億41百万円で、フロー収益1億45百万円を大きく上回っています。サービス提供期間に応じて売上計上される収益が大きく、継続利用を前提とした事業構造です。


3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で重要なのは、セキュリティ事業の安定基盤と、ソリューション事業の成長加速が対照的に表れている点です。

セキュリティ事業では、JCOM株式会社が提供する「ケーブルプラス電話」において、同社の迷惑情報データベースを活用した「迷惑電話ブロック」が無料提供されることとなりました。加えて、NTTタウンページ株式会社との連携によるサービス提供も推進しています。通信キャリアや関連事業者との連携は、迷惑電話対策の普及において重要な販売・提供経路です。

ソリューション事業では、「トビラフォン Cloud」や「トビラフォン Biz」が伸びています。特に「トビラフォン Biz」は、カスタマーハラスメント対策商材としての需要拡大を背景に、販売代理店との連携強化が進められています。近年、顧客対応の記録や通話管理は、単なる電話機能ではなく、従業員保護やコンプライアンス対応の一部になりつつあります。

新規サービスとしては、小規模事業者向けプラン「トビラフォン BizLite」を開発しました。これにより、法人向け電話ソリューションの対象を小規模事業者へ広げる方向が示されています。

一方で、人的投資や新規事業開発への投資、管理コストの増加により、全社利益は減少しています。したがって今回の決算は、短期的な利益よりも、中期的な成長基盤を拡充する投資局面として読む必要があります。


4. 事業構造と収益モデルの解説

トビラシステムズ株式会社の事業は、セキュリティ事業とソリューション事業の2つです。

セキュリティ事業は、モバイル向け、固定電話向け、その他の迷惑電話・迷惑SMS対策サービスを提供しています。通信キャリアや金融機関を通じたサービス提供により、安定的な収益基盤を構築しています。

ソリューション事業は、「トビラフォン Cloud」「トビラフォン Biz」などを中心とする法人向け電話ソリューションです。業務プロセスとしては、代表電話対応、通話録音、着信管理、問い合わせ対応、カスタマーハラスメント対策などに関係します。

収益モデルを見ると、ストック収益が6億41百万円、フロー収益が1億45百万円です。ストック収益の内訳は、セキュリティ事業が4億67百万円、ソリューション事業が1億73百万円です。フロー収益は、商品の納品・検収時に一括で売上計上されるもので、ソリューション事業が1億20百万円を占めます。

契約負債は25億31百万円です。これは将来にわたるサービス提供に伴い収益化される前受け的な要素を含み、継続型サービスの事業構造を理解するうえで重要な指標です。

IT・業務視点では、同社サービスは「電話業務のセキュリティ化」と「電話対応のクラウド化」に関わります。特に、通話を記録・管理し、迷惑電話や不審な着信を識別する仕組みは、総務、カスタマーサポート、店舗運営、金融機関の顧客対応などと深く関係します。


5. 業界の注目ポイント

ポイント1:特殊詐欺対策の社会的要請
特殊詐欺被害額が高水準で推移しており、迷惑電話・迷惑SMS対策の重要性が高まっています。これはIT導入で改善可能な領域です。迷惑情報データベースや自動警告・遮断機能は、被害抑止のための具体的な仕組みになります。

ポイント2:電話業務のクラウド化
法人の電話対応は、録音、履歴管理、転送、在宅対応などの観点からクラウド化が進みやすい領域です。これはIT導入で改善可能です。特に小規模事業者向けの「BizLite」は、電話DXの対象を広げる動きといえます。

ポイント3:カスタマーハラスメント対策
電話対応の記録や管理は、従業員保護やトラブル対応の証跡管理として重要です。これはIT導入によって改善可能です。ただし、システム導入だけでなく、社内ルールや対応フローとあわせて整備する必要があります。


6. ITトレンド編集部の考察

トビラシステムズ株式会社は、迷惑電話対策を起点に、電話業務のセキュリティと業務効率化を支援する企業です。個人向け・通信キャリア経由の迷惑電話対策だけでなく、法人向けの「トビラフォン Cloud」「トビラフォン Biz」によって、企業の電話業務にも入り込んでいます。

導入検討者にとって重要なのは、同社サービスを単なる電話機や迷惑電話ブロック機能として見ないことです。法人の電話対応は、顧客接点、苦情対応、問い合わせ管理、従業員保護、証跡管理といった業務プロセスに直結します。特にカスタマーハラスメント対策の文脈では、通話録音や履歴管理がリスク管理の一部になります。

同社は現在、人的投資と新規事業開発への投資を続けています。短期的には管理コスト増により減益となっていますが、ソリューション事業は大きく伸びており、法人向け電話DXの需要を取り込んでいる状況です。

比較検討時には、迷惑電話対策の精度、通話管理機能、クラウド電話としての使いやすさ、既存電話環境との接続、小規模事業者向けプランの有無を確認することが重要です。特に、セキュリティ対策と業務効率化を同時に進めたい企業にとって、検討対象になりやすい領域です。


7. まとめ

トビラシステムズ株式会社を一言で表すなら、迷惑電話対策と法人電話DXを支えるセキュリティSaaS企業です。

2026年10月期第1四半期は、売上高7億86百万円(16.8%増)と増収でしたが、営業利益は2億26百万円(12.5%減)と減益でした。背景には、人的投資や新規事業開発、管理コスト増があります。一方で、ソリューション事業は売上・利益ともに大きく伸びており、法人向け電話DXの成長余地が示されています。

IT・業務観点では、同社の価値は「電話を安全に使う」だけでなく、「電話対応を記録・管理・効率化する」点にあります。特殊詐欺対策、カスハラ対策、問い合わせ対応の効率化を検討する企業にとって、電話業務のDXは重要なテーマになりつつあります。

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