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決算個社ソフトウェア2026年09月25日

【トビラシステムズ株式会社(証券コード:4441)徹底解説】2026年10月期 第3四半期──増収27.1%、Q3単独で営業増益に転換

【トビラシステムズ株式会社(証券コード:4441)徹底解説】2026年10月期 第3四半期──増収27.1%、Q3単独で営業増益に転換

トビラシステムズ株式会社は、迷惑電話・迷惑SMSのフィルタリング技術を中核とする企業です。通信キャリアや金融機関を通じて迷惑情報データベースを提供するセキュリティ事業と、法人の電話業務のDXを支援するソリューション事業の2つを柱としています。「中期経営計画2028」では、2028年10月期に売上高60億円、営業利益17億円を目標に掲げています。

2026年10月期 第3四半期累計の業績は、売上高26億36百万円(前年同期比+27.1%)と大幅な増収になりました。営業利益は7億55百万円(同-0.6%)、経常利益は7億71百万円(同+1.0%)です。四半期純利益は5億16百万円(同+0.1%)となり、中間期時点の減益から前年並みの水準まで持ち直しました。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【トビラシステムズ株式会社(証券コード:4441)徹底解説】2026年10月期 中間期(第2四半期)──増収22.0%も先行投資で減益

通期着地を左右する市場環境

警察庁の公表によると、2026年上半期の特殊詐欺(SNS型投資・ロマンス詐欺を含む)の被害総額は1,816.2億円でした。前年同期比51.7%増と、被害は一段と深刻になっています。警察官などを名乗る「ニセ警察詐欺」が増え、ビデオ通話やメッセージアプリを悪用する手口も広がっています。

政府は「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に基づき、迷惑電話・迷惑SMS対策の強化を進めています。通信事業者の対策サービスについては、無償化を含む実効性向上策の検討・要請が続いています。受信遮断や警告機能は、社会全体で普及が進む見込みです。

通期の着地に向けては、こうした需要の拡大をどこまで収益に取り込めるかが焦点です。無償提供の広がりは利用者数を押し上げる一方、提供価格の設定次第で収益性にも影響します。第3四半期には価格条件を引き上げた契約更改もあり、需要拡大と収益確保の両立が進みつつあると見られます。

業績推移

2026年10月期の累計売上高は、第1四半期7億86百万円、中間期16億74百万円、第3四半期26億36百万円と推移しました。第3四半期単独の売上高は9億62百万円です。前年同期の第3四半期単独7億2百万円と比べると、約37%の増収となります。

利益面では、累計の営業利益が7億55百万円(前年同期比-0.6%)、経常利益が7億71百万円(同+1.0%)でした。四半期純利益は5億16百万円(同+0.1%)です。第3四半期単独の営業利益は2億70百万円で、前年同期の2億33百万円を上回りました。

通期予想は売上高33億66百万円、営業利益7億85百万円、純利益5億31百万円で、期初から変更はありません。第3四半期時点の進捗率は売上高78.3%、営業利益96.2%、純利益97.2%です。利益の進捗は、第3四半期の目安である75%を大きく上回っています。

財政状態は、総資産67億37百万円、純資産30億70百万円、自己資本比率45.6%です。総資産は前事業年度末から13億56百万円増加しました。負債側では契約負債が9億8百万円増加し、31億24百万円となっています。1株当たり四半期純利益(EPS)は50.57円でした。

直近決算の重要ポイント

今回の決算で最も注目すべき点は、第3四半期単独で営業増益に転じたことです。中間期の累計営業利益は前年同期比-7.7%でしたが、第3四半期累計では-0.6%まで縮小しました。先行投資による利益の押し下げを、増収効果が吸収し始めた形です。

牽引役は引き続きソリューション事業です。累計売上高は11億39百万円(前年同期比+79.0%)、セグメント利益は3億21百万円(同+141.3%)となりました。第3四半期単独でも売上高4億60百万円、セグメント利益1億31百万円を計上しています。

「トビラフォン Biz」シリーズの販売台数と「トビラフォン Cloud」の新規契約ID数は、第3四半期会計期間でいずれも過去最高を更新しました。一方、全社費用は5億90百万円(同+42.2%)と増加が続いています。採用を中心とした人的投資を続けながら、利益水準を前年並みに戻した点は評価できると考えられます。

セキュリティ事業の累計売上高は14億97百万円(同+4.1%)、セグメント利益は10億24百万円(同-1.6%)でした。中間期時点の増収率+2.5%から伸びが加速しています。一部の通信キャリアとの契約で価格条件を引き上げて更改したことも、第3四半期の新たな動きです。

Q3時点の事業進捗

セキュリティ事業では、データベースの提供先と提供形態の拡大が進みました。NTTタウンページと協業した警察庁推奨アプリ「詐欺対策 by NTTタウンページ」は、提供開始から約100日で累計100万ダウンロードを突破しています。固定電話向けでは、JCOMの「ケーブルプラス電話」で無料提供している迷惑電話ブロックの契約者数が増え続けています。

2026年7月には、迷惑情報データベースをWeb API連携で利用できる「迷惑情報データベース Web API」の提供を開始しました。専用アプリや端末を介さず、他社のシステムに直接データベースを組み込める提供形態です。提供先の業種や規模を広げる施策と位置づけられます。

ソリューション事業では、販売チャネルの拡充が目立ちました。2026年7月にJCOMと「トビラフォン Cloud」の販売代理店契約を締結し、同社の法人顧客網を活用する体制を整えています。「トビラフォン Cloud」にはFAX送受信機能も追加されました。

同じく2026年7月には、クラウドPBX「INNOVERA」を展開するプロディライトと資本業務提携を結びました。両社の技術や顧客基盤、販売チャネルを相互に活用し、クラウドPBX市場での販売拡大を目指します。売上の内訳では、ソリューション事業のストック収益が6億14百万円と、前年同期の3億53百万円から大きく伸びています。

業界の注目ポイント

アプリからAPIへ広がる詐欺対策データの供給経路

迷惑電話・迷惑SMS対策は、これまで利用者が専用アプリを入れて使う形が中心でした。最近は通信キャリアの会員サービスへの組み込みや、ケーブル電話サービスへの標準搭載など、利用者が意識せずに使える形が増えています。導入の手間がなくなることで、対策の普及速度は大きく変わります。

さらにWeb APIでの提供は、金融機関やコールセンター、各種業務システムなど、電話回線以外の場面にもデータ活用を広げる可能性があります。データベース事業者にとっては、提供先ごとの個別開発を減らしながら接点を増やせる手段です。供給経路の多様化が、データの蓄積と精度向上をさらに後押しすると考えられます。

クラウドPBX市場で進む提携と販路の再編

オフィスの固定電話をクラウドに置き換えるクラウドPBXは、テレワークの定着や拠点の再編を背景に導入が進んでいる領域です。参入事業者が多く、機能だけで差別化するのは難しくなりつつあります。そのため、販売代理店網や既存の顧客基盤をどれだけ押さえられるかが競争の軸になっています。

通信事業者との代理店契約や同業との資本業務提携は、単独では届きにくい顧客層に販路を広げる手段です。電話業務のDXでは、回線や端末と一体で提案できる事業者が有利になりやすい傾向があります。提携による規模拡大が今後の業界再編の一つの流れになると見られます。

契約負債の積み上がりが示す前受け型収益の厚み

サブスクリプション型のサービスでは、利用期間分の料金を前受けし、提供期間に応じて売上に計上するケースがあります。この前受け分は貸借対照表上の契約負債として計上され、将来の売上の先行指標として見ることができます。同社の契約負債は第3四半期末で31億24百万円と、前事業年度末から大きく増えました。

前受け型の収益が厚くなるほど、将来の売上の見通しは立てやすくなり、キャッシュも先に確保できます。成長投資を続けながら財務の安定性を保てる点は、ストック型のセキュリティ関連事業に共通する強みです。一方で、計上時期のずれにより、足元の売上と受注の勢いが一致しにくい点には注意が必要と考えられます。

ITトレンド編集部の考察

今回の第3四半期決算は、先行投資フェーズからの転換点が見え始めた内容です。累計の営業利益は前年同期比-0.6%とほぼ前年並みに戻り、第3四半期単独では2億70百万円と前年同期を上回りました。全社費用が+42.2%増えるなかでの増益転換であり、成長事業の利益貢献が本格化していると考えられます。

注目したいのは、営業利益の通期予想に対する進捗率が96.2%に達している点です。第4四半期に大きな費用計上がなければ、通期予想の営業利益7億85百万円を上回る余地があります。会社は予想を据え置いていますが、第4四半期の投資規模次第で着地が変わる可能性があります。

また、7月に集中した提携や新サービスは、来期以降の成長の布石になると見られます。プロディライトとの資本業務提携やJCOMとの代理店契約が、ソリューション事業の伸びをどこまで持続させるかが焦点です。価格条件の改定が進むセキュリティ事業の利益回復とあわせて、通期決算での利益水準を注視したいところです。

まとめ

  • 2026年10月期第3四半期累計の売上高は26億36百万円(前年同期比+27.1%)と大幅増収
  • 営業利益は7億55百万円(同-0.6%)、経常利益は7億71百万円(同+1.0%)とほぼ前年並み
  • 四半期純利益は5億16百万円(同+0.1%)、EPSは50.57円
  • 第3四半期単独の営業利益は2億70百万円で、前年同期の2億33百万円から増益に転換
  • ソリューション事業は売上高11億39百万円(+79.0%)、セグメント利益3億21百万円(+141.3%)
  • セキュリティ事業は売上高14億97百万円(+4.1%)、一部キャリアとの契約で価格条件を引き上げ
  • 2026年7月にプロディライトと資本業務提携、JCOMと販売代理店契約を締結
  • 総資産67億37百万円、純資産30億70百万円、自己資本比率45.6%
  • 通期予想は据え置きで、売上高33億66百万円(前期比+20.0%)、営業利益7億85百万円(同-12.7%)
  • 通期の経常利益予想は7億96百万円、純利益予想は5億31百万円(同-15.1%)

ITトレンド編集部

IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

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