SMS認証とは
SMS認証とは、ユーザーのスマホや携帯電話のSMS(ショートメッセージ)を利用して一時的な認証コードを送信し、そのコードを入力することで本人認証を行うシステムです。電話認証、SMS本人認証とも呼ばれています。携帯電話番号を利用するため認証方法が簡単かつアプリのインストールなどが不要で、ユーザーが手軽に利用できる点から普及が進んでいます。
SMS認証システムやSMS送信サービス(SMS配信サービス)など、SMS認証サービスを利用することで自社のサービスにSMS認証を採り入れることが可能です。
SMS認証が活用される理由
SMS認証が活用される理由は、電話番号を使用するため普及率・到達率・開封率が高いことが挙げられます。
現在は多くの人がスマホや携帯電話を所有しているためユーザーが利用しやすく、電話番号はメールアドレスのように盗用されるリスクが低いため安全性も高い認証方法です。また、SMSを利用することで迷惑メールやほかのアプリ・SNSの通知に埋もれず、開封率が高いことも特徴です。
さらにスマホや携帯電話は個人の所有物であるため、なりすましや不正アクセスが難しく、確実性が高い本人認証であることもSMS認証が活用される理由です。
セキュリティ対策の強化ができるため、重要書類のやり取りやクレジットカード情報、口座情報や金銭に関わる重要な個人情報を、インターネット上でやり取りする場合に活用されることが多くあります。
SMS認証の仕組み
携帯電話番号を知っている相手とメッセージを送り合える機能がショートメッセージサービスであり、その略称がSMSです。SMS認証は、SMSに送信される認証番号を用いてログインすることで本人認証をする仕組みです。
ID・パスワードは知識認証に該当するため、情報さえ覚えていれば誰でもログインできてしまうリスクがありセキュリティが高いとはいえません。
その反面、SMS認証は特定の個人のみが保有する電話番号に対して送られるため、セキュリティ性が高い認証方法です。主にID・パスワードを入力した後の二段階認証で利用することでセキュリティ強度を高めます。SMS認証で確認コードを受け取る側には料金もかかりません。
また、SMS認証を行うためには自社サービスとSMS認証システム・SMS送信サービスのAPI連携が必要です。APIとは、アプリケーション・プログラミング・インターフェイスの略で、サービスをつなげる役割を果たします。
確認コードを送信する企業側から見た流れは下記のとおりです。
- APIを介して、SMSへ確認コード送信の要求を行う
- ↓
- SMSがユーザーへ確認コードを送信
- ↓
- ユーザーがSMSから受信した確認コードを入力
- ↓
- APIを介して、認証が完了したことをSMSから企業へ報告して終了
続いて、確認コードを受信するユーザー側から見た流れは下記のとおりです。
- Webサービスへのログイン・Web上での決済申し込みなどを行う
- ↓
- 自身の電話番号を入力しSMS認証コードを送信する
- ↓
- スマホ・携帯電話がSMSで認証コードを受信する
- ↓
- 受信した認証コードを入力して本人確認を行う
- ↓
- コードが正しければサービスの利用が可能になる
SMS認証を導入するメリット
SMS認証を導入するメリットは、以下の3つが挙げられます。
- ・本人確認の強化でより安全な取引ができる
- ・企業の信頼や利益を守れる
- ・企業、ユーザーの双方が利用しやすい
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
本人確認の強化でより安全な取引ができる
インターネットで提供するサービスによっては、重要な個人情報や金銭・支払いに関わる情報をやり取りすることも少なくありません。そのため、なりすましや不正アクセスによってこれらの情報が他人に悪用されないために、サービスを提供する企業は強固なセキュリティ対策を講じる必要があります。
SMS認証は本人認証がしやすくユーザーの負担も少ないうえ、なりすましや不正アクセスが難しい認証方法です。二段階認証として利用すれば手軽にセキュリティ対策を強化できます。
企業の信頼や利益を守れる
個人が複数のアカウントを作成できる状態だと、自社サービスに損失が出てしまう可能性があります。例えば偽装アカウント作成などが行われ、自社サービスの質や信頼の低下につながるリスクが考えられます。
SMS認証は携帯電話番号に紐づいて行われるため、メールアドレスのみを利用する場合と異なり電話番号1つにつき1アカウントしか作成できません。そのため、複製されたり不正なアカウントを作成されたりする事態は起こりにくいでしょう。
また、SMS認証はユーザーに個人情報の電話番号を登録させることで、不正行為の抑止をします。このようにして自社サービスのセキュリティを向上させ、信頼や利益を守れます。
企業・ユーザーの双方が利用しやすい
本人認証のために馴染みのない認証方法で電話番号の登録をさせると、ユーザーに不信感を与えかねません。企業など配信者側にとってもSMS以外の独自認証を行うには手間がかかります。
SMSはスマホや携帯電話に元々搭載されているため、新たにアプリをインストールしたりサイトに登録したりする必要がありません。利用者にとって馴染みがあり、ほとんどの人が通知を受け取れる状態なのですぐに認証番号の受信に気づけます。
また、生体認証や所有物認証など、二要素認証に用いられるほかの方法と比較して本人確認がしやすい点もメリットです。生体認証は指紋や顔、静脈、虹彩などの身体的な特徴を利用した認証方法です。なりすましの防止に有効ですが、導入コストが高額になる傾向があります。
所有物認証はクレジットカードや身分証明書に加え、ワンタイムパスワードといったセキュリティトークンを組み合わせた認証方法です。ワンタイムパスワードは一定時間しか使用できないため不正アクセスをされにくい点がメリットですが、クレジットカードなどの認証媒体を紛失するリスクがある点がデメリットです。
二要素認証については以下の記事で詳しく解説しているので、SMS認証以外の認証方法についても理解を深めたい方はあわせてご覧ください。
SMS認証を導入する際の注意点
SMS認証を導入する際には、以下の注意点が挙げられます。
- ・メッセージの到達がユーザーのプランや設定に左右される
- ・端末の状況変化によりログイン不可になるリスクがある
それぞれの注意点について詳しく解説します。
メッセージの到達がユーザーのプランや設定に左右される
ユーザーの携帯電話のキャリアプランや設定状況によって、認証番号のメッセージが届かずSMS認証ができない場合があります。SMS認証が利用できないパターンは次のとおりです。
- ・格安SIM
- 格安SIMには電話回線が含まれていないプランがあり、SMSを利用できません。解約するかデュアルSIMにするかを検討し、電話回線用のキャリアを別で契約する必要があります。
- ・SMS受信拒否設定
- メッセージが届かないように設定画面で受信拒否を行えます。通知が煩わしいと感じるユーザーは拒否設定をしている可能性があり、認証番号を送信してもユーザーはそれを確認できないことがあります。SMS認証を行う前にあらかじめ設定の確認を促すとよいでしょう。
端末の状況変化によりログイン不可になるリスクがある
電話番号の変更など、端末の状況変化が原因でSMS認証ができなくなるケースもあります。電話番号が変わる要因は次のとおりです。
- ・キャリア変更
- スマホ・携帯電話のキャリア切り替えに伴い、電話番号を変更するケースもあるでしょう。この場合、変更した電話番号をユーザーが登録しないとSMS認証ができなくなります。携帯番号を変更する前にパスワードでログインできる状態にすると、スムーズに切り替えが可能です。
- ・端末の紛失
- 認証番号は電話回線と契約している端末に送信されます。端末を紛失すると、認証コードの確認ができません。紛失時は情報漏えいするリスクもあるため、ユーザーに注意を促す必要があります。
SMS認証代行を利用される可能性がある
SMS認証代行とは、他人から電話番号を提供してもらうことで匿名性の高いアカウントを作成できるサービスです。SMS認証代行は日本では犯罪行為とされていますが、悪意を持ったユーザーが海外サービスを利用したり、違法な手段で他人から電話番号の提供を受けたりしてSMS認証に利用する場合があります。
SMS認証は本人確認の手段として有効ですが、このような手段で特殊詐欺やマネーロンダリングなどに利用されるケースがあるため注意が必要です。よりセキュリティ対策を強化するためには、生体認証などほかの認証方法とあわせて活用するとよいでしょう。
SMS認証の活用例
SMS認証は、以下のようなWebサービス利用時に活用されます。
- ・ネットバンキング、決済サービスの利用時
- ・ECサイトやオンラインサービスの利用時
- ・SNSへのログイン時
それぞれの活用例について詳しく解説します。
ネットバンキング・決済サービスの利用時
ネットバンキングや決済サービスは、口座情報や支払い情報など金銭に関わる情報をやり取りするサービスです。なりすましや不正アクセスが発生した場合には大きな事件となるため、セキュリティ対策を強化する必要があります。
SMS認証を通常のログインパスワードなどに加えた二段階認証として利用することで、より不正アクセスを難しい状態にできるため、金融機関などで多く採用されています。
ECサイトやオンラインサービスの利用時
ECサイトや有料のオンラインサービスを利用する際には、クレジットカードなどの支払い方法を登録して取引をすることが大半です。会員登録時やログイン時に加え、商品の購入などの決済時にもSMS認証が活用されています。
スマホや携帯電話に届く本人認証番号がなければ商品やサービスの購入ができないため、不正利用に対するセキュリティ対策の強化が可能です。
SNSへのログイン時
最近では有名人のSNSアカウントへの不正アクセス、いわゆる「乗っ取り」が問題となることが増えています。現在のSNSはプライベートでの利用のみならず、ビジネスなどさまざまな用途で活用されているため、セキュリティ対策強化による安全性の確保は重要です。
また、SMS認証を利用することで複数のアカウント作成が防止でき、不正利用や迷惑行為などを防止する目的でも利用されています。
SMS認証の導入手順
SMS認証導入の手順は次のとおりです。
- ・API連携が可能なSMS認証サービスの選定
- APIはSMSと自社サービスをつなぐ役割を果たします。API連携していないとSMS認証ができないため、事前に連携可能かを確認しましょう。
- ・SMSとAPI連携する作業
- SMS認証サービスを導入した後に、自社サービスのAPIと連携するための作業を実施します。作業をできる人がいなければ、業者に依頼できます。
- ・テスト後に本格運用
- SMS認証サービスではユーザーの個人情報を扱うため、慎重に運用することが重要です。そのため、API連携する作業が完了したら、必ず運用テストを実施しましょう。テストをしてSMS認証が問題なく完了すれば、本格運用をはじめられます。
SMS認証サービスの選定ポイント
SMS認証サービスを選定する際のポイントは、以下の4つが挙げられます。
- ■国内回線か
- 電話認証には、国内回線網と国際回線網の2種類のルートがあります。国際回線網の場合、SMS送信を行うとスパムメッセージと判断され一定数ブロックされるリスクがあります。
- ■API連携が可能か
- 自社システムに電話認証を組みこみたい場合、API連携ができるサービスを選ぶ必要があります。連携する際の繋ぎこみには工数がかかるため、自社の開発部門の負担が少なくてすむものを選ぶとよいでしょう。
- ■遅延対策に対応しているか
- SMSの送信量が多いと、送信が遅延する場合があります。自社のSMS送信量に対応したサービスや、優先送信制御などの遅延対策がとられているSMS認証サービスを選びましょう。
- ■対応キャリア数は十分か
- 主要なキャリアに対応していることに加え、対応キャリア数が多いSMS認証サービスかを確認しましょう。対応キャリア数が少ないと、サービスを利用できないユーザーが多くなります。
また、以下の記事ではSMS認証サービスについて詳しく解説しています。失敗しない選び方も解説しているので、興味がある方はあわせてご覧ください。
SMS認証の仕組みやメリットを理解して導入を検討しよう
SMS認証はなりすましや不正アクセスが難しい本人認証システムで、セキュリティ対策としてインターネットでサービスを提供する企業で多く活用されています。手軽にセキュリティ対策を強化できる一方で、導入には注意点もあるためよく確認したうえで導入を検討しましょう。
SMS認証サービスの資料請求を行い、各製品にどのような機能やメリットがあるか詳しくわかれば選定の悩みを解決できるでしょう。