バリューコマース株式会社は、成果報酬型広告(アフィリエイト)を中心としたマーケティング支援サービスを提供する企業です。加えて、オンラインモール向け広告ソリューションや宿泊施設向けの予約システムなど、EC支援やトラベルテック領域にも事業を展開しています。
2025年12月期の業績は、売上高241億69百万円(前年比20.5%減)、営業利益19億71百万円(同52.6%減)と大幅な減収減益となりました。これは、ECソリューションズ事業の主要サービスが2025年7月末で提供終了したことが主な要因です。
本記事では、広告テック市場の環境、同社の事業構造、今回の決算のポイントを整理しながら、広告・EC支援・トラベルDXの分野で同社がどのような役割を担う企業なのかを解説します。
市場背景と業界構造
バリューコマースが属するのは、インターネット広告とEC支援の領域です。特にアフィリエイト広告は、EC事業者が成果報酬型で広告を出稿できるマーケティング手法として広く利用されています。
ただし、決算資料では既存事業について「大幅な成長は見込めない環境」とされており、市場は成熟段階にあると整理されています。消費行動の変化も進んでおり、広告プラットフォームやECマーケティングの競争環境は変化しています。
マクロ環境では、日本経済は個人消費に支えられて緩やかな回復を見せていますが、物価上昇や不安定な国際情勢が景気の下押しリスクとして挙げられています。
一方で、同社が展開するトラベルテック領域では宿泊施設の投資意欲が回復しており、ホテルシステムの導入需要は一定程度存在しています。
この業界では、主に以下のプレイヤーが存在します。
- 広告プラットフォーム企業
- EC支援企業
- マーケティングテック企業
- 宿泊予約システムなどのトラベルテック企業
IT化・データ活用の影響が大きいのは次の業務領域と一般的には言われています。。
- デジタル広告配信
- ECマーケティング
- 顧客データ分析
- 宿泊予約管理
- オンライン広告の最適化
バリューコマースは、こうした領域でマーケティング支援や広告配信を行う「デジタルマーケティング基盤」を提供する企業です。
過去数年の業績推移
バリューコマースの業績は2025年に大きく変化しました。
2024年12月期の売上高は304億10百万円(前年比3.4%増)でした。これに対し、2025年12月期は241億69百万円(前年比20.5%減)と大幅な減収となりました。
営業利益は2024年の41億60百万円から、2025年は19億71百万円へ減少しました。営業利益率も13.7%から8.2%へ低下しています。
経常利益は41億21百万円から14億81百万円へ減少し、純利益も28億55百万円から4億87百万円へ減少しました。
この大幅な減収減益の主な要因は、ECソリューションズ事業の主要サービスである
- StoreMatch
- STORE’s R∞
の2サービスが2025年7月31日付で提供終了したことです。
ECソリューションズ事業は売上高98億31百万円(前年比40.2%減)となり、利益も大きく減少しました。
一方で、マーケティングソリューションズ事業は売上高130億25百万円(前年比2.6%増)と堅調に推移しています。
直近決算の重要ポイント
今回の決算では、ECソリューションズ事業のサービス終了による影響が最大のポイントです。
また、固定資産の回収可能性を検討した結果、減損損失12億74百万円を計上しました。これにより純利益は大きく減少しています。
一方で、新しい事業の取り組みも進められています。
2025年にはダイナテック株式会社を吸収合併し、トラベルテック事業のブランドを「DYNATECH」に統一しました。宿泊施設向けシステムを中心とした事業展開を明確化しています。
また、新しいマーケティングサービスとして次の取り組みが開始されています。
- インフルエンサーマッチングプラットフォーム「BUZMA」
- SNSメディア向けCPC専用広告プログラム
- 成果報酬型広告「リワードDSP」
- 宿泊予約システム上での広告配信
IT技術面では、機械学習モデルによる来訪者スコアリングを用いた広告配信機能が導入されています。
さらに、ホテル管理システム「DYNA PMS」では、キャンセル料の請求・回収業務をデジタル化する外部サービスとの連携が開始されています。
事業構造と収益モデルの解説
バリューコマースの事業は3つのセグメントで構成されています。
マーケティングソリューションズ事業
売上高130億25百万円。
成果報酬型広告(アフィリエイト)を中心としたマーケティング支援サービスです。
広告主は成果が発生した場合のみ広告費を支払う仕組みです。
ECソリューションズ事業
売上高98億31百万円。
オンラインモールの店舗向け広告やCRMツールを提供していましたが、主要サービスは2025年7月末で終了しています。
トラベルテック事業
売上高13億25百万円。
宿泊施設向けの予約システム「DYNA IBE」やホテル管理システム「DYNA PMS」を提供しています。
IT視点では、この会社のサービスは次の業務プロセスと関係します。
- ECサイトの集客
- デジタル広告運用
- 宿泊予約管理
- マーケティングデータ分析
つまり、コマース事業者の集客と販売促進、および宿泊施設への集客とDXを支えるITサービスと整理できます。
業界の注目ポイント
ポイント1:広告市場の成熟化
アフィリエイト市場は成熟段階にあり、大幅な成長は期待しにくい環境であると考えます。。IT導入による広告最適化は可能ですが、市場自体の成長とは別の問題です。
ポイント2:ECマーケティングの変化
消費者の購買行動の変化により、広告やEC支援サービスの形も変化しています。データ分析や広告最適化の技術が重要になります。
ポイント3:宿泊業界のDX
宿泊施設では予約管理や料金管理などのデジタル化が進んでいます。これはIT導入によって改善可能な領域です。
ITトレンド編集部の考察
バリューコマースは、広告テック企業であると同時に、ECマーケティング支援企業でもあります。
今回の決算では、ECソリューションズ事業のサービス終了によって業績が大きく変動しました。これは事業構造の転換期にあることを示しています。
同社のITサービスは主に次の企業に向いています。
- EC事業者
- 中小事業者
- ローカルビジネス
- 宿泊施設
特にトラベルテック領域では、宿泊予約やホテル管理システムなどのDX需要が存在しています。
企業が同社サービスを検討する場合、広告マーケティングだけでなく、EC運用や予約管理などの業務プロセスとの関係を整理することが重要になります。
まとめ
バリューコマースを一言で表すと、「広告テックとEC支援を軸にしたマーケティングプラットフォーム企業」です。
2025年12月期は
- 売上:241億円(△20.5%)
- 営業利益:19億円(△52.6%)
と大きく減収減益となりましたが、これは主要サービスの終了による影響が大きいものです。
IT・業務観点で整理すると、同社は
- 成果報酬型広告
- ECマーケティング支援
- 宿泊予約システム
といった領域で企業の顧客獲得業務を支援するサービスを提供しています。
広告市場の成熟化が進む中で、新しい収益の柱となるサービスの創出が同社の今後のテーマとなっています。

