レプリケーションツールの得意領域を知る
各ツールの得意領域を確認します。代表的なものを整理していきましょう。
- ●複数の異なる商用データベースに対応している製品
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異なる仕様のデータベース間のレプリケーション機能を提供します。
ある商用データベースから別のデータベースにデータ変換して複製するなどがこれにあたります。
- ●オープンソースデータベースPostgreSQLへ特化した製品
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PostgreSQLはオープンソースDBですから、データベースにはサポートがありません。
レプリケーションツールの提供事業者は、その分、手厚いサポートを売りにしています。
- ●バックアップを得意とする製品
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バックアップの一環として、レプリケーション機能が用意されています。
バックアップを目的とするのであれば候補になるでしょう。
- ●災害対策・事業継続対策(BCP)に特化した製品
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遠隔地にデータを複製します。さらに複数の拠点に分散させることもあります。
日本国内ではなく、世界中の拠点に複製を作成するツールもあります。
- ●負荷分散を目的にしている製品
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この場合、遅延のある非同期レプリケーションになります。
チェックするべき機能
引き続き、レプリケーションツールに用意されている個々の機能に注目していきます。
これらの機能(用語)を覚えておくと比較しやすくなります。
- ■フェイルオーバー
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本番系から予備系に自動的に切り替わる機能がフェイルオーバーです。予備系はいつでもサービスを引き継げる体制で準備されており、障害を察知すると自動で切り替わります。この間、まったくサービスには影響を与えず、利用者は切り替わったことに気づくことがありません。
一方、人間が主導で切り替えることもできます。これをスイッチオーバーといいます。
- ■同期/非同期
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レプリケーションのモードに同期と非同期があります。同期はリアルタイムにデータが更新されます。これに対し、非同期は若干の遅延があります。
同期は本番系の更新が終了した時点でデーが転送されるため、十分な帯域のネットワークが必要となります。ミッションクリティカルな重要システムに用いられます。
非同期はスケジュールされた間隔でレプリケーションが開始されます。さほど広帯域のネットワークが必要ないので、海外にレプリケーションすることも可能となります。
ほとんどのレプリケーションツールには同期/非同期の両方の機能が装備されています。バックアップや負荷分散が主たる目的のツールでは非同期のみの場合もあります。
- ■ミラーリング
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レプリケーションと似たような機能に「ミラーリング」があります。レプリケーションは本番系と予備系で、2つのシステムを用意しますが、ミラーリングで用意するのはストレージなどのディスク型のみとなります。1つのシステムに本番系と予備系の2つのストレージ(ハードディスク)を用意して、データを同時に書き込みます。
回転などの駆動系のパーツを持つハードディスクが故障しやすいことから、データの書き込みや読み出しを安定化させる目的で利用される機能が「ミラーリング」です。
したがって、ミラーリングで保証できるのはデータのみとなります。システムが障害で停止したら、データだけあってもサービスを継続できません。このため、ミラーリングは災害対策などには向いていません。災害対策や事業継続対策(BCP)が目的の場合は、レプリケーション機能が必要です。
目的や用途に合わせて、自社に適した製品を検討することが、データレプリケーションを有効活用する第一歩と言えるでしょう。各性能をチェックして、製品を選んでください。