AI CROSS株式会社(証券コード:4476)は、SMSとRCS(次世代メッセージングサービス)の配信基盤にAIを組み合わせ、企業の顧客コミュニケーションを支援するIT企業です。「Smart Work, Smart Life」をミッションに掲げ、中期経営計画「AIX2027 2025〜2027」に基づく事業運営を進めています。同計画では、メッセージングサービスのプラットフォーム提供から、メッセージングサービス×AIによるマーケティングソリューション提供へのモデル転換を打ち出しています。
2026年12月期 中間期(2026年1月〜6月)の連結業績は、売上高25億55百万円(前年同期比+33.0%)、営業利益3億39百万円(同+104.0%)となりました。経常利益は3億38百万円(同+101.7%)、親会社株主に帰属する中間純利益は2億26百万円(同+231.3%)です。増収率を大きく上回るペースで利益が伸び、収益性が一段引き上がった中間期となりました。
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【AI CROSS株式会社(証券コード:4476)決算解説】2026年12月期 第1四半期──売上高43%増・3セグメント体制で好スタート
1. 上半期の市場動向と後半への示唆
同社の説明によれば、当中間連結会計期間の我が国経済は緩やかに回復しました。今後については、雇用・所得環境の改善や政府による各種政策の効果が、引き続き緩やかな回復を支えることが期待されるとしています。一方で、中東情勢の影響や金融資本市場の変動には留意が必要な状況が続いているとの見方です。
同社が主戦場とするビジネスコミュニケーションプラットフォーム関連市場は成長を続けています。デロイト トーマツ ミック経済研究所の「ミックITリポート2025年12月号」によると、2030年度にはSMSの配信数が14,268百万通に達する見通しです。本人認証や未入金督促などの通知にとどまらず、RCSを活用したプロモーションやMA(マーケティングオートメーション)との連携が進むことが、成長の背景として挙げられています。
企業のAI活用ニーズも業種・規模を問わず拡大しています。生成AIをはじめとするAI技術の急速な普及が、その裾野をさらに広げている状況です。後半に向けては、配信量の拡大とAI機能の付加によって顧客単価をどこまで引き上げられるかが、収益性を左右する焦点になると見られます。
2. 業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
AI CROSS株式会社 2026年12月期 中間期(第2四半期)決算短信(PDF)
中間期の売上高は25億55百万円となり、前年同期の19億21百万円から+33.0%の増収となりました。前期通期の売上高41億51百万円と比べると、上半期だけで6割を超える水準に達しています。第1四半期の売上高13億31百万円に対し、第2四半期単独では12億24百万円と、四半期ベースではほぼ横ばいの推移です。
営業利益は3億39百万円(前年同期比+104.0%)と2倍を超える伸びとなりました。前年同期は1億66百万円でしたので、金額ベースでも1億73百万円の増益です。経常利益は3億38百万円(同+101.7%)、親会社株主に帰属する中間純利益は2億26百万円(同+231.3%)となっています。
営業利益率は13.3%まで上昇しました。前年同期の8.6%、前期通期の8.9%と比べると、明確な改善です。純利益の伸びが最も大きくなった背景には、前年同期に発生していた税負担や一時費用の影響が薄れたことがあると考えられます。1株当たり中間純利益は59円61銭です。
財政状態については、中間連結会計期間末の資産合計が31億62百万円となり、前連結会計年度末から78百万円増加しました。売掛金及び契約資産が70百万円減少した一方、現金及び預金が1億93百万円増加しています。負債合計は9億62百万円で、株主優待引当金87百万円の消滅や長期借入金46百万円の減少により1億75百万円減りました。純資産合計は22億円となり、利益剰余金の積み上がりを主因に2億53百万円増加しています。
キャッシュ・フローも改善しました。営業活動によるキャッシュ・フローは2億22百万円の獲得(前年同期は4百万円の収入)です。投資活動では投資有価証券の売却により14百万円を獲得し、財務活動では長期借入金の返済により43百万円を使用しました。現金及び現金同等物は1億93百万円増加して20億9百万円となっています。
3. 直近決算の重要ポイント
今回の決算で最も注目すべきは、増収率を上回る増益率です。売上高が+33.0%伸びるなか、営業利益は+104.0%、中間純利益は+231.3%と、利益段階を下るほど伸び率が高まりました。売上の伸びが固定費を吸収し、営業レバレッジが効いた形です。
二つ目は、主力のスマートメッセージング事業の安定成長です。中間期の売上高は21億90百万円(前年同期比+16.8%)、セグメント利益は5億59百万円(同+9.8%)でした。収益性の高い国内顧客への注力と、金融・人材関連サービスを中心とした業界特化施策が進んでいると説明されています。
三つ目は、AIトランスフォーメーション事業の黒字定着です。売上高は84百万円(前年同期比+83.5%)と小規模ながら高い伸びを示しました。セグメント利益は196万円となり、前年同期の2,636万円のセグメント損失から黒字に転じています。事業規模はまだ小さいものの、収益モデルが成立し始めた点は重要な変化です。
四つ目は、通期予想の据え置きです。中間期の業績は概ね当初計画どおり推移していることから、2026年2月13日公表の通期業績予想から変更はないとされています。通期予想は売上高53億円、営業利益6億円、当期純利益3億60百万円です。中間期時点の進捗率は売上高で48.2%、営業利益で56.5%、純利益で62.8%となり、利益面は計画を先行して消化しています。
4. 中間期が示す事業の実力
同社は2026年1月より報告セグメントを3つに再編しました。従来の「Smart AI Engagement事業」を「スマートメッセージング事業」と「AIトランスフォーメーション事業」に分割し、子会社である株式会社ロウプの「マーケティングソリューション事業」を加えた構成です。中間期はこの新体制で初めて半期の実績が揃った期間となりました。
売上構成を見ると、スマートメッセージング事業が21億90百万円で全体の約85%を占めます。マーケティングソリューション事業が2億88百万円で約11%、AIトランスフォーメーション事業が84百万円で約3%という内訳です。収益の中核は依然としてメッセージング配信基盤にあり、利益面でもセグメント利益5億59百万円と圧倒的な貢献度を持ちます。
収益モデルとしては、配信量に連動する従量課金と継続利用型のストック収益が土台です。ここにAIトランスフォーメーション事業のノーコードAI分析ツール「Deep Predictor」によるサブスクリプション収益、マーケティングソリューション事業のプロジェクト型収益が上乗せされる構造になっています。単価の異なる3層の収益源を持つことが、利益率の改善余地につながっていると考えられます。
マーケティングソリューション事業では、主要取引先を中心とした既存案件の深耕と新規案件の提案活動を継続しているとしています。セグメント利益は33百万円で、前年同期は連結対象外であったため増減率の比較はありません。グループのメッセージング×AIとの連携を深めることで、統合的なマーケティング支援を強化する方針が示されています。
5. 業界の注目ポイント
RCSの商業利用が広げる配信市場
RCSは世界的に標準化が進む次世代メッセージングの国際規格で、画像や動画、ボタン付きメッセージの送受信に対応します。従来のSMSでは難しかったリッチな表現が可能になるため、プロモーション用途での活用余地が大きく広がります。同社は「絶対リーチ!RCS」としてこの領域をいち早く展開してきました。
市場全体では、2030年度にSMSの配信数が14,268百万通に達するという調査結果が示されています。配信数の拡大は従量課金型の収益に直結するため、市場成長がそのまま売上機会の拡大につながる構造です。ただし配信単価には競争圧力もかかりやすく、単価維持にはRCSやAI連携といった付加価値の提示が欠かせないと考えられます。
ノーコードAI分析ツールの需要
「Deep Predictor」は、従来データサイエンティストが担っていたAI分析を、専門知識のない担当者でも実行できるようにするツールです。直感的なインターフェースにより、業務部門が自力で分析を回せる点が特徴です。企業のAI活用ニーズが業種・規模を問わず拡大するなかで、分析人材の不足を補う選択肢として位置づけられます。
生成AIの普及により、文章生成や要約といった用途の敷居は大きく下がりました。一方で、需要予測や顧客分析、異常検知など自社データを扱う領域では、依然として設計力が必要な場面が残ります。中間期のセグメント売上が+83.5%伸びた事実は、この領域の需要が実在していることを示していると見られます。
配信からクリエイティブまでの一気通貫体制
3セグメント体制の意味は、顧客の課題解決の流れをグループ内で完結できる点にあります。SMS・RCS配信、AIによる分析・予測、クリエイティブ制作とマーケティング設計という一連の工程が揃っています。発注側から見れば、複数ベンダーを併用する手間を減らせる利点があります。
同社側から見ても、取引の深度が増すことで解約率の低下につながりやすい構造です。中間期はマーケティングソリューション事業が売上構成比の約11%を担い、グループの収益源として定着してきました。今後はセグメント間の相互送客がどこまで数字に表れるかが、統合効果を測る目安になりそうです。
6. ITトレンド編集部の考察
2026年12月期 中間期は、モデル転換が損益に表れ始めた決算だったと受け止めています。売上高25億55百万円(前年同期比+33.0%)に対し、営業利益3億39百万円(同+104.0%)という伸びの差が、その内容を端的に示しています。営業利益率は前年同期の8.6%から13.3%へと大きく改善しました。
成長の内訳を見ると、主力のスマートメッセージング事業が+16.8%と二桁の自力成長を維持しています。そこに前期に連結化したマーケティングソリューション事業の2億88百万円が加わり、全体で+33.0%の増収につながりました。外部成長と有機的成長が両輪で機能している点は、収益基盤の厚みという意味で評価できます。
通期予想は売上高53億円、営業利益6億円、当期純利益3億60百万円で据え置かれました。中間期の進捗率は営業利益で56.5%、純利益で62.8%に達しており、下期の投資判断次第では計画を上回る余地もあると考えられます。一方で、AIトランスフォーメーション事業の売上は84百万円と全体の約3%にとどまります。中期経営計画が掲げるモデル転換の実効性を測るうえでは、この事業の規模拡大が次の評価軸になると見られます。
IT製品を検討する企業の視点では、配信基盤からAI分析、クリエイティブ制作までを1社に集約できる点が実用的な価値になります。顧客接点の自動化やコミュニケーション効率化を課題として抱える企業にとって、比較検討の対象として捉えやすい体制です。
7. まとめ
AI CROSS株式会社(証券コード:4476)の2026年12月期 中間期(第2四半期)決算のポイントを整理します。
- 売上高は25億55百万円(前年同期比+33.0%)、営業利益は3億39百万円(同+104.0%)と大幅な増収増益
- 経常利益は3億38百万円(同+101.7%)、中間純利益は2億26百万円(同+231.3%)と利益段階を下るほど伸びが拡大
- 営業利益率は13.3%となり、前年同期の8.6%、前期通期の8.9%から明確に改善
- セグメント別ではスマートメッセージング事業が21億90百万円(+16.8%)、AIトランスフォーメーション事業が84百万円(+83.5%・黒字転換)、マーケティングソリューション事業が2億88百万円
- 資産合計31億62百万円、純資産22億円。営業活動によるキャッシュ・フローは2億22百万円の獲得で、現金及び現金同等物は20億9百万円
- 通期予想は据え置きで、売上高53億円、営業利益6億円、当期純利益3億60百万円、1株当たり配当予想は0円
- 中間期の進捗率は売上高48.2%、営業利益56.5%、純利益62.8%と利益面が先行
ITトレンド編集部
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